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日本文化の一番の魅力、それは間違いなく、いや(汗)、おそらく、多様性なのではないかと思う今日この頃です
和樂編集長 セバスチャン高木

突然ですがみなさん、日本の魅力ってなんだと思いますか。わびさび、おもてなし、はい、もちろんそれもそうだと思うのですが、私が和樂の編集生活約十五年(まだまだ短いのは重々承知しております)を経て辿り着いた結論、それは「日本文化の一番の魅力は多様性である」ということなのです。

そもそもニッポン、ニッポンと言いますが、この国が日本という言葉でひとくくりにされるようになったのは、明治以降のこと。黒船でペリーさんが乗ってやってきて、大政奉還が成されて、国が開いてからですよね。それまでは江戸三百藩という言葉に代表されるように、この小さい島国は三百近くの、それぞれが違った文化を持つ国が集まったような存在でした(ざっくりとした話しで恐縮です)。

それぞれの国はそれぞれの風土に基づいた食や技などを育んできました。それが明治という時代に、突如小さな三百近くの国が、しかもわりと無理矢理ひとつになりました。ですから、逆にひとつになるためにそれまでなかった日本的なるもの=日本のシンボルを探したり、システムを作る必要があったのです。それが「わびさび」という言葉であったり、全国で画一的な教育を施すことだったのだろう、などと思ったりする次第です。だってEUを見てください。あれくらいの数だってひとつにまとまるのたいへんでしょうに、それが三百ですよ。

なんとなく私たちは、日本っていうと均質だったり画一的だったりと自分たちのことを思い込んでいるような気がします。ですが、日本の魅力は、北から南、東から西に長く伸びた国土ならではの多彩な風土、そして土地土地でまったく違った顔を見せる文化の多様性にあるんだよーっと思う今日この頃なんです。

たとえば北海道に降り立って、二週間くらいかけて沖縄までホッピングするような旅をご想像ください。いや、一週間でもいいでしょう。そこで目にする自然、食や工芸の多様さたるや世界一周にも負けないくらいのものがあると思いませんか。

ですから私たちはまだまだニッポンのことを知りません。そして、まだまだ知りたいニッポンがそこかしこにあるのです。そこで今回の大特集では、「ニッポンの旅100」と銘打ち、日本文化の多様性を知るための100の旅を編集部総力取材でお届けします。

土門拳、木村伊兵衛、入江泰吉、昭和を代表する大写真家たちがレンズを通して切り取った懐かしくも美しいニッポンの原風景。江戸の絵師たちが描いたアート空間をそのまま味わえる日本美術を巡る旅。ものに込められた技と思いを感じ取る買い物風土記。そこでしか味わうことができない食文化を求めて名宿へなど、日本文化ってほんとうに多様だよなぁと思わず口にしてしまう100の物語です。

さらに今回はスペシャル企画として、和樂の編集スタッフ五人に二ページずつあげちゃいました。「もう好きにしていいよ、好きなところ行って」と。だっていつも無理難題を言って困らせているではないですか。少しはスタッフの皆様にサービスをしたい、そんな気持ちから大盤振る舞いをしたんです。ですが、皆さんそこはプロフェッショナルです。そうは言いながらもきちんと読者の皆さんによりそったページを作ってきました(約一名本当に自分の夢を叶えてきた方もいらっしゃいましたが、気にしない、気にしない)。五人のスタッフがフリーダムにつくった渾身のコラムも見逃せません。

第二特集はファンのみなさんお待たせしました。いや、お待たせしすぎました。和樂初の刀剣特集です。しかしながら、私、刀剣の魅力を皆様にご紹介できるほどの力を持っておりません。そこで今回の特集では、京都国立博物館の刀剣マスターこと、末兼俊彦さんに「あなたを必ず刀好きにする十の物語」をたっぷりと聞いてまいりました。

でも、何事にも疑り深い私はそれだけではとっても不安です。物語でだめなら実物をみせるしかない、でも雑誌だから実物は見せられない。どうする、どうする、と悩んだ末、できるだけ実物に近い原寸大のポスターをつけることにしました。しかも三枚も。いやーポスターにしてみると刀って長いですよね。最近の雑誌ではとんと見られない四つ折りです。

「三日月宗近」「鬼切丸 別名鬚切」は両面で一枚ずつ計二枚、そして、「骨喰藤四郎」と「へし切り長谷部」を裏表一枚で、全部で三枚。もう贅沢この上ない作りです。もちろん、お金使いすぎとまたまた上司に怒られてしまいました。えへ。

これまた突然ですが、私は国際プロレスが大好きです。はい、あの国際プロレスです。ストロング小林、ラッシャー木村、鶴見五郎などの超個性派レスラーの数々、外国人レスラーにも稲妻太郎などと名付けるはちゃめちゃさ、そして、レスラーの入場時にテーマソングを流すという奇抜かつ優れたアイディア。編集者として参考にしたいアイディアが満載なの、皆さんにだけこっそり教えちゃいますね。

実は和樂が掲げる日本美術の対決路線はプロレスに対するオマージュだったのです。で、今回の付録は、ちょっと早いのですがお中元代わりに、そのオマージュの詰め合わせセットを無理矢理皆さんにお贈りします。題して「ニッポンの国宝対世界の名宝 世紀の対決」ですって。「肖像画頂上決戦、ニヒルなダンディズム・伝源頼朝対ほほえみの貴婦人・モナリザ」、はては「天下を揺るがした同“門”対決、陽明門対凱旋門」をはじめとするニッポンの国宝と世界の名宝の異種格闘技戦がついに実現しました。

冗談っぽく言っておりますが、くらべたり、対決してみたりすると、それまで見えてこなかった名作の新しい魅力が発見できます。もちろんじっくりと作品に対峙したり、名作の背景を知識として学ぶことは必要です。ですが、日本美術を楽しむためのものさしっていっぱいあるんじゃない、そして、新しいものさしを皆さんと楽しみたい、と編集部一同考えているんですよ。

その他、なんともかわいい土偶たちを原寸で紹介する口絵や和樂でしか読むことができない豪華連載陣。さらには和樂が本気で作った置き畳「ちょい畳のすべて」など、たっぷり二か月楽しめる、和樂8・9月号をどうぞよろしくお願いいたします。

LATEST ISSUE 8月号

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6月30日(土)発売

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