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こんな歌舞伎の特集は
もう二度とつくれないかも。
だから見てね
和樂編集長 セバスチャン高木

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みなさん、こんにちは。いつも前のめりで、ドライでクールなスタッフにいやがられているセバスチャン高木です。先月そのことに気がついてちょっと落ち込んでいる私ですが、みなさん、お元気ですか。

さて、いつも前置きが長いと悪評が高い(お、なんだか今回は自虐テイストだなぁ)今月号の見どころ紹介ですが、今回はもうさくっと紹介に入ってしまいますよ。なぜなら、「KABUKI Vale Tudo」と銘打った久々の歌舞伎特集、もう二度とこんな歌舞伎特集はできないかも、っていうくらい、スタッフ渾身の特集だからです。

ちなみにVale Tudo(バーリトゥードって読むんですよ)とはポルトガル語で「なんでもあり」を意味します。私が愛する格闘技の世界ではよく知られた言葉なのですが、みなさんはご存じでしたか?え?知っていようが知っていまいが歌舞伎とは関係ない?それがですね、大いに関係があるんですよ、これが。

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現在和樂では、女形歌舞伎俳優の至宝である坂東玉三郎さんに「かぶき夢譚」という連載をしていただいています。連載が始まる前に、たいへんありがたいことに何度か玉三郞さんにお会いする機会に恵まれました。その際、玉三郞さんがおっしゃった言葉のインパクトがあまりに強くてずっと私の頭の中に残っていたのです。それは、「高木さん、今でこそ歌舞伎は伝統芸能と言われるけれど、お客様を楽しませるためになんでもやってきた。だからこそ四百年続いてきた」というものでした。この言葉を聞いた時、冗談ではなく、私は雷に打たれたような衝撃を感じました。と同時に、ものすごーく反省をしたのです。私は和樂の編集をしていますが、「はたしてみなさんに和樂を楽しんでいただくためになんでもしているのだろうか?」と。

私の反省は置いておくとして、そう、歌舞伎はお客様を楽しませるためになんでもしてきた、すなわち、Vale Tudo(なんでもあり)な芸能なのです。ね、歌舞伎とVale Tudo、関係があるどころではないでしょう。

では、歌舞伎のどんなところがVale Tudoなのでしょう?特集に入る前に「坂東玉三郎のVale Tudo的歌舞伎論」として、たっぷりと語っていただきました。いや、この話しもいいのですが、私が何よりみなさんに見ていただきたいのが、冒頭の四ページです。玉三郞さんの鷺娘と伝説のバレリーナ、アンナ・パブロワの瀕死の白鳥がならんだページは美しすぎて卒倒してしまいそうです。そして、ページをめくると、、、。これは見てのお楽しみ。

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で、特集に入るのですが、まずは和樂名物対決シリーズということで、歌舞伎と世界の舞台芸術を対決させてみました。バレエやオペラはもちろんのこと、プロレスや漫画まで。「まさか、和樂でジャイアント馬場の十六文キックの写真を探す羽目になるとは、、、、」と、和樂歌舞伎担当のMorikoを嘆かせた前代未聞の企画でしたが、対決をして見えたのは歌舞伎が世界の舞台芸術にくらべてもまったくひけをとらない存在で、しかも美しくて、斬新で、モダンであると言うこと。歌舞伎を見る目が変わること間違いなし、の八番勝負です。

「歌舞伎、四百年年の革命伝説」「浮世絵で楽しむ歌舞伎ワンダーランド」「Kabuki 未知との遭遇」「歌舞伎theめし」と特集は続き、どれもこれもVale Tudoかつフリーダムでロックしているのですが、なかでも注目をしていただきたいのが、和樂インテリア番長の異名をとるWakoちゃんが文字通り命を削りながらつくった「Kabuki、未知との遭遇」です。

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この企画は、ロラン・バルト、チャップリン、カラヤンなど、歌舞伎を愛した海外のインテリゲンチャたちが歌舞伎を見た時、どんな衝撃を受けたのか?あるいは、歌舞伎のどんなところに魅力を感じたのか?を集めたものですが、ちょっとページのデザインが滅茶苦茶かっこいいんですよ。「え?そこ?」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、私ども雑誌の編集にとって、ページがかっこよくなかったらもうその時点で敗北なんです。その点、このページは最初から飛ばしてます。

中身はというと、これが実にいい。たとえばフランスの批評家ロラン・バルトは「東洋の女形は女性をコピーしない。女性を生き写しにした、工夫の限りをつくして女性に化けた男性ではなく、純粋な表徴体なのである」って言ってます。ロラン・バルト曰く、西洋はものごとを意味で満たそうとするけれど、日本は意味を持つことを拒否する、そこが魅力なんですって。そう考えると、歌舞伎や能、あるいは、相撲といったものがあれほど型を大切にすることがわかるような気がします。ほかにも、チャップリンは歌舞伎にディレクターがいないことに驚いたりして、みなさん、さすが見るところ見てますねー。

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見どころ満載の特集に続き、次は付録です。はい、和樂十二月号は三年連続となるダブルカレンダーです。思えば二年前、「かわいい動物&きれいな植物ダブルカレンダー」は、世界の雑誌ではじめてカレンダーを付録にふたつつけたと話題になりました。今だから告白しますが、実は二年前、動物と植物どちらかにしようと二案カレンダーをつくっていたのですが、どっちとも上がりがよくて選ぶことができなくて、「ええい、両方つけちゃえ」ってダブルカレンダーになったんです。で、去年は世界初にこだわって、二号連続付録にカレンダーをつけるという暴挙にでてしまいました。

その意味では、今回の付録がはじめて意味のあるダブルカレンダーと言ってもよいかもしれません。いや、日本の雑誌だからあんまり意味を求めては、ロラン・バルト的にはいけないのかもしれませんが。兎にも角にも今年のダブルカレンダーは新暦と旧暦のダブルカレンダーです。

新暦の方は「日本美術のかわいい『わんにゃん』カレンダー」。二〇十八年は戌年ですからね、かわいいわんこばかりを集めようと思っていたのですが、「ええ?猫はいないの?」という猫派の意見も取り入れ、「わんにゃん」となりました。登場する数のバランスを考えると「わんわんにゃん」くらいかもしれませんが、もうキュンとなること間違い無しのかわいさです。

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そして、旧暦カレンダーですが、これがもうカレンダーを担当したメガちゃんが本気で泣きそうになりながらつくった本格仕様です。だいたい世の中の旧暦カレンダーを見ると、旧暦とは言っても新暦のほうが頭にあって、どちらかというと旧暦がおかずみたいになっていますが、「浮世の旧暦カレンダー」は本当に旧暦がメイン。月例と二十四節気、七十二候もついていますので、日本人が本来送っていたという旧暦暮らしを目指すにはぴったりのカレンダーですよ。こちらのビジュアルは歌川広重の名作「名所江戸百景」があしらわれていて、見た目もいい自慢の逸品。本誌のカレンダーの使い方と合わせて使えば最強ですよ。

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特集と付録以外にも「ニッポンの国宝温泉」「喫茶去(きっさこ)ってなんだ?」「Rimpa in Late Autumn(晩秋の琳派)」など、見どころ満載でお届けする和樂十二月号をお楽しみください。

あ、最後になりますが、とうとうできた、カップヌードル×瀬戸本業窯×和樂「カップヌードル専用縄文DOKI★DOKIクッカー」の企画もお見逃しなく。構想二十年、私の夢がかなった奇跡の企画です。

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LATEST ISSUE 12月号

KABUKI Vale Tudo!
歌舞伎は面白い!

11月1日(水)発売

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