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茶の湯ってこんなにロックだぜ。
ベイベー
和樂編集長 セバスチャン高木

突然ですが、私非常に反省をしております。何を反省しているかというと、この今月号の見どころ紹介において、いつも前置きばかりが長くなって見どころ紹介に入る頃にはすでに半分以上経過しているということを深く自省しております。ということで、今回はサクッと見どころ紹介に入りますよ。

和樂十二月号の特集は「茶の湯ROCK」。え、茶の湯ROCK、またまたウケ狙いでなどと思う方もいらっしゃると思いますが、さにあらず。私はいたって真面目です。

そもそもロックンロールの語源は「揺れて転がる」。現状に甘んじず、自由な発想で新しい価値観の音楽を紡ぐことがロックの精神です。今でこそ高尚でオーソドックスな伝統というイメージが強い茶の湯ですが、実は千利休を筆頭に、茶人たちが先人の美に挑戦し、新しい美をつくりだそうとした知的反逆心の系譜。音楽と茶の湯というジャンルの違いこそあれ、根底に流れる精神は共通なものがあるように見えるのです。

たとえばクラッシュのポール・シムノンはこう言います。「自分がプレイしているのは音楽ではなく、姿勢であり人生だ」と。また、ルー・リードは「俺のルールの一つは(略)自分の古い作品は絶対聴くな、だ」と語ります。この音楽とか作品を茶の湯に置き換えてみると、あら不思議。茶の湯の精神そのものではないですか。茶の湯というのは、「姿勢であり人生」で、その一期一会の思想は「古い作品は絶対聴くな」に見事に一致します。

今回の特集では伝説のミュージシャンの名言が各所に散りばめられています。その名言とともに見る名茶碗がまたなんとも言えないんです。たとえばボブ・ディランの「自分のためにではなく、他人のために音楽を作ってみたところで、それは多分、その人たちと関わることにはならないだろう」という言葉には、千利休が己の美の体現として長次郎に焼かせた樂茶碗の俊寛を合わせました。音楽も茶の湯もだれかのためにではなく、自分のためなんですよ、きっと。

千利休は「茶の湯ROCK」においてはKing of Rockです。名茶室「待庵」の無駄を削ぎ落とした美はギター一本で奏でるロックの咆哮、北野大茶会はフェス、その日その客に合わせた茶会の趣向はライブに例えられます。ロックの視点から茶の湯を見てみると、なんとなく見ていた茶の湯の新しい姿が浮かび上がってくるのです。

現在、私たちにとって、茶の湯よりロックの方が身近な存在なように思えます。ですから「茶の湯への入り口をロックにしてみたらどうなるかな」、というふとした思いつきがそもそもの企画の発端。スタッフ一同「何を言ってるのこの人」から始まった特集がどんな形になったのかは、ぜひ和樂十二月号をご覧ください。

ああ、もう十一月ですよ、みなさん。雑誌にとって十一月は、イコール年末なんです。和樂年末のお楽しみといえばカレンダー。前代未聞の一冊にふたつのカレンダー、二号連続カレンダー付録、新暦旧暦ダブルカレンダーと来て、今年のカレンダーはと言いますと、伊藤若冲と鈴木其一の一度で二度美味しいワンダフルカレンダーです。しかも、この号はさらに江戸琳派の雄、酒井抱一、近代富士山の巨匠、横山大観、元祖爆裂富士山、片岡球子の富士山三大名作を年賀状としてつけてみました。カレンダーと年賀状のダブル付録が和樂名物出血大サービス付録となっています。

第二特集は今「火の国九州極楽温泉紀行」。第三特集は和樂スタッフによる全日本選手権シリーズの「お酒のおとも全日本選手権」をご用意しました。口絵の特別撮影「中村福助、歓喜の舞台へ」とともにお楽しみいただければ幸いに存じます。

ふー、今月はなんとなくまともな見どころ紹介になってほっとしております。

LATEST ISSUE 12月号

衝撃!感激!
茶の湯ROCK

11月1日発売(木)

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