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「Rin Rin Rimpa 琳派(りんぱ)の大冒険」ってタイトルにしたかったなぁ。みなさんのご意見をお待ちしております
和樂編集長 セバスチャン高木

みなさん、こんにちは。和樂編集長のセバスチャン高木です。突然ですが、私、今月は非常に深い悩みをいくつも抱えています。編集長という仕事はなかなか孤独なもので、そんな悩みを相談する相手もおりません。相談しようものなら虎視眈々と編集長の座を狙うどう猛な部下たちがどんな手を打ってくるかわからないのです。ですから、この場を借りて皆さんに悩みを打ち明けさせていただきます。

私が抱えている一番の悩み、それは特集のタイトル問題です。ここのところの和樂の特集タイトル、みなさんご存知ですか。「北斎★The Superstar」「茶の湯レボリューション」「歌舞伎バーリィトゥード」「A Happy New 日本美術」。どうですか、勢いはあるけど、ちょっとノリだけでつけている感じがしませんか。私が思いつきだけでつけているタイトルのせいで、和樂のスタッフが全身全霊をかけてつくった雑誌が売れなかったらどうしよう。もうそう考えると夜も寝られなくなってしまうのです。いや、その分編集部のデスクで昼寝をするのですが。

今号の琳派特集も最初は「琳派の大冒険」ってつけていました。このタイトルからみなさん何を想像されますか。子どものころ流行ったちょっとエッチな歌「キンタの大冒険」を思いつかれた方、ビンゴ、大当たりです。いや、元歌はちょっとなぁという感じですが、タイトルに込めた思いは大真面目なんです。

よく言われることですが、琳派は狩野派や歌川派のように、血縁や師弟関係で構成された絵師の集団ではありません。琳派は本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)、俵屋宗達(たわらやそうたつ)、尾形光琳(おがたこうりん)、酒井抱一(さかいほういつ)、鈴木其一(すずききいつ)といった、江戸時代を代表する絵師たちが、時を超えて憧れで紡いできた美の系譜なんです。縁もゆかりもない絵師たちが先人の才能に惚れ込んでその想いだけで系譜をつないできた、それを数百年におよぶ大冒険と呼ばずしてなんと呼べば良いでしょう。

なんて、意気揚々とタイトルをつけて喜んでいたところ、編集長の座をまったくもって狙っていない和樂の良心、mocciがこんなことを言ってきたのです。「ねえ、セバスチャン、このタイトル、わかりにくくない」と。がーん。「わかりにくい」、この言葉は編集長がもっとも言われたくない言葉のひとつです。和樂の使命は「日本文化の入り口」になること。入り口なのにわかりにくい入り口を作ってどうしようというのでしょう。

猛省した私はタイトルをつけ直すことにしました。琳派の一番の魅力ってなんだろう。琳派は美しい。デザイン的。キンキラキン。でも、その前に琳派の作品を目の当たりにすると、まず巻き起こる感情がわくわくする「楽しさ」なんです。ということで、もうシンプルに「琳派って楽しい」にしてみました。このタイトルに関しては皆さんのご感想をお待ちしております。

ふぅ。悩みを打ち明けたところでようやく今月号の見どころを紹介させていただきます。今回の琳派特集ですが、まずは口絵で琳派に描かれた初夏の花々を集めてみました。蓮、藤、ヒマワリ、モクレンなどなど、見ているだけで心が浮き立つような琳派の花畑は、ちょっと疲れて帰って来た自宅でゆっくりとめくっていただきたいページです。

続いては琳派の名作のキャラクターを集めて編集部が作成した「勝手に四季鳥獣花木図」。尾形光琳の虎、神坂雪佳(かみさかせっか)の犬、抱一の花や鳥などを一堂に会した夢のオールスター競演です。最初こんなのできるのかなぁと思っていたのですが、さすがそこは憧れによって結ばれてきた絵師たちだけに、集めてみるとなんだかしっくりとくるんです。琳派300年の名作たちがどんな作品にしあがったかはぜひ本誌でじっくりとご覧ください。

特集のメインイベントは「三大名作で知る琳派のすべて」と「琳派vs若冲vs狩野派、美のトライアングル」です。キンキラキンな光琳の「燕子花図屏風」、光琳に憧れた抱一の「夏秋草図屏風」、宗達の真骨頂である水墨の「犬図」。その三作に込められた琳派の美の秘密に迫ります。なぜか琳派と若冲と狩野派を対決させてしまった日本美術の異種格闘技戦も楽しいですよ。

第二特集は「日々是喫茶去」と書いて「まいにちおちゃをたのしみませう」と読む、お茶の提案です。あーあ、大特集の琳派はわかりやすいタイトルに変更したくせに、第二特集はこんなわかりずらいことをやってしまいました。でも、許してください。どこかで自分を出さないとだめになってしまう私なんです。

忙しい時こそ、少しだけ一服する時間って必要ですよね。部屋の中のお気に入りの場所で、お気に入りの器で一服立てる。その時間こそが毎日を豊かにするのではないかと編集部は考えています。毎日を少しだけ幸せにしてくれる茶のある時間=喫茶去(きっさこ)はこれからも提案をしていきたいライフスタイルなんです。

第三特集は「ニッポンのかわいい建築紀行」。もはや世界の共通語となった「かわいい」は日本文化を象徴するキーワード。今回の企画では「かわいい」を切り口に日本の建築を探訪しました。世界的にも類を見ない会津若松のさざえ堂は私も大好きな日本で一番かわいい建築物。なんでさざえ堂はこんなにかわいいのか。建築家の藤森照信さんにその秘密を解説いただきました。

そして、最後になりますが和樂名物の付録はなんと、「琳派の名作、一筆箋、二筆箋、三筆箋」のセット、名付けて「ひふみせん」です。書きたい相手、書きたい量に合わせて選ぶことができる気の利いたレターセットは重宝すること間違いなし。しかも、琳派の名作をさりげなくあしらったデザインもいいんですよ。これはいつも手の届くところに置いておいて、思いついた時に一筆、二筆、三筆書いてみたいですね。

和樂6月号はこんな内容でお届けしています。和樂がみなさんにとって、日本文化の入り口になりますように。

LATEST ISSUE 6月号

琳派って楽しい!

4月28日(土)発売

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