Culture
2020.12.10

渋沢栄一とは?「日本資本主義の父」から学ぶ、心に留めたい名言・言葉30選

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2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」でも話題を集めている渋沢栄一。この記事では、彼の残した数々の名言を一挙に紹介する。

渋沢栄一とは

日本の資本主義を先導

渋沢栄一は、1840年、武蔵国榛沢郡血洗島村(むさしのくにはんざわぐんちあらいじまむら・現在の埼玉県深谷市)の農家で生まれた。家業の畑作や養蚕、藍玉の製造などを手伝う一方で、従弟の影響を受け「論語」などを学ぶ。

「尊王攘夷」思想の影響を受けた渋沢は、従弟と共に高崎城乗っ取りの計画を立てるなどするものの断念し、京都で一橋慶喜に仕えることになり頭角を表す。27歳の時には、15代将軍となった徳川慶喜の実弟であり、のちの水戸藩主である徳川昭武に随行し欧州を巡った。パリの万国博覧会も見学したという。西欧の文明をリアルに体験した彼は経済の重要性に目覚め、帰国後静岡で「商法会所」を設立、その功績が国に認められ官僚となり、のちに日本初の近代銀行である第一国立銀行を設立。日本の経済の安定に尽力するのである。

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「銀行」の言葉の生みの親!?

明治政府に招かれ大蔵省の一員として新しい経済の仕組み作りに邁進していた渋沢栄一だったが、1873年に大蔵省を辞任。満を期して日本で最初の銀行である第一国立銀行を設立、頭取に就任する。英語の「bank」を「銀行」と訳したのも、渋沢が最初だとも言われている。これが本当だったら、すごい才能ではないか。

それだけではない、第一国立銀行(現みずほ銀行)、東京海上保険会社(現東京海上日勤)、東京瓦斯会社(現東京ガス)、袱紙会社(現王子製紙)、と錚々たる企業の設立に関わり、東京株式取引所、東京手形交換所、商法講習所(現一橋大学)、そして日本女子大学校(現日本女子大学)といった、今の日本経済を支える組織に次々と関与した。渋沢が生涯で関係した企業の数500社、社会公共事業の数も600にものぼるというのだからすごい。

「論語と算盤」

渋沢栄一といえば、必ず取り上げられるのが「論語と算盤」だ。これは彼が晩年に行った講演の内容をまとめた講演録であり、彼が直接執筆したものではない。しかし、それだからこそ、生の彼の直接的な考え方の集大成ともいえるものでもあるのだ。

論語とはおなじみ中国の思想家、孔子と弟子の会話をまとめたものである。日本人が初めて手にした書物ともいわれており、日本という国に道徳という多大な影響を与えた。例えば……

■過ぎたるは及ばざるごとし(訳:過と不足は同じことだ)
■義を見てせざるは勇無きなり(訳:義だとわかっていてそれをしないのは卑怯だ)
■過ちて改めず、これを過ちという(訳:過ちを犯したのに改めない。これを本当の過ちという)

どれもどこかで耳にしたことがあるだろう。これはすべて論語の中の言葉なのである。

なお、算盤とは商売のこと。商売においては、ついずるくなったり、誰かを出し抜いたりしたいと考えがちだ。しかし、渋沢はその商売の際にも道徳やルールも大事にすべし、という公平な考え方を持っていたのだ。

「日本資本主義の父」の心に留めたい言葉30選

そんな経済の申し子である渋沢栄一は多くの名言を残している。多くの運を自ら引き寄せた彼の言葉、その価値を改めて紹介する。不確実さの蔓延する今だからこそ、未来の指針となる言葉が見つかるかもしれない。

人生に迷ったときに読みたい6つの言葉

多く聞き、多く見て、その中より最も善きものを選び、これに従うて行作せねばならぬのは中人の常なり。されどあまり見聞のみを博くしても、その人に取捨の見識がなければ、選択の見当がつかなくなって迷うようになるものだ。

長所を発揮するように努力すれば、短所は自然に消滅する。

真似をするときには、その形ではなく、その心を真似するのが良い。

目的には理想が伴わねばならない。その理想を実現するのが、人の務めである。

一人ひとりに天の使命があり、その天命を楽しんで生きることが処世上の第一要件である。

すべて物を励むには競うということが必要であって、競うから励みが生ずるのである。いやしくも正しい道を、あくまで進んで行こうとすれば、絶対に争いを避けることはできぬものである。

現状に不満ばかりのときに読みたい6つの言葉

最も重んずべきは信である。信を守らねばたちまち失敗す。

言葉は禍福ともに引き起こす入口のようなものだ。ほんのちょっとした言葉であっても、軽率に口にしてはならない。

言葉は真心を込め、行いは慎み深く、事を取りさばき、人に接するには必ず誠意を持って臨め。

心を穏やかにさせるには思いやりを持つことが大事である。一切の私心をはさまずに物事にあたり、 人に接するならば心は穏やかで余裕を持つことができるのだ。

富貴に驕ってはならない。貧賤を憂えてはならない。ただ知識を磨き、徳を高めて、真の幸福を求めようとすること。

ことに望んで感激すれば、おのずからやる気が出て奮い立つのだ。

孤独や嫉妬で落ち込んだときに読みたい6つの言葉

道は誰でも行うことができる。人はみな道を行うだけの力がある。ただその道と力との大きさに差があるだけである。

自分が相手を疑いながら、自分を信用せよとは虫のいい話だ。

人生の行路は様々で、時に善人が悪人に負けたごとく見えることもあるが、長い間の善悪の差別は確然とつくものである。

すべて物を励むには競うということが必要であって、競うから励みが生ずるのである。

他人を押し倒してひとり利益を獲得するのと、他人をも利して、ともにその利益を獲得するといずれを優れりとするや。

成功には嫉妬が伴い、成功者の多くは老獪(ろうかい)と目されやすい。地位と名誉には、それぞれ付随する慎みがあることを忘れてはならぬ。

夢に挫折したときに読みたい6つの言葉

夢なき者は理想なし、理想なき者は信念なし、信念なき者は計画なし、計画なき者は実行なし、実行なき者は成果なし、成果なき者は幸福なし、ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず。

四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら、百まで待てと追い返せ。

人は死ぬまで同じ事をするものではない。理想にしたがって生きるのが素晴らしいのだ。

夢なき者は理想なし、理想なき者は信念なし、信念なき者は計画なし、計画なき者は実行なし、実行なき者は成果なし、成果なき者は幸福なし、ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず。

もうこれで満足だという時は、すなわち衰える時である。

その仕事が真に有望で、且つ、その人が真に信用ある人なら資本ができぬはずがない。

人間関係に悩んだときに読みたい6つの言葉

交際の奥の手は至誠である。理にかない調和がとれていればひとりでにうまくいく。

親から子に対して孝を励めよと強ゆるのは、かえって子を不孝の子たらしむるものである。

人は全て自主独立すべきものである。自立の精神は人への思いやりと共に人生の根本を成すものである。

信用はのれんや見た目から得られるものではなく、確固たる信念から生まれる。

反対者には反対者の論理がある。それを聞かないうちに、いきなりけしからん奴だと怒ってもはじまらない。問題の本質的な解決には結びつかない。

一人ひとりに天の使命があり、その天命を楽しんで生きることが、処世上の第一要件である。

今だからこそ染みる先駆者の言葉

さまざまな変化の中で、つい自分を見失うことは誰にもあるものだ。しかし、よく考えてみよう、渋沢栄一が生きた時代は、明治維新前後。現在の何倍もの激動の時代だったのだ。そんな中を、時には挫折しながらも乗り越えてきた先駆者の言葉は、きっと今の自分たちにも大きな指針となるに違いない。

参考書籍:渋沢栄一 一日一訓 [現代語抄訳]青淵先生訓言集 渋沢 栄一 (著) PHP理念経営研究センター (編集)

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インターネット黎明期よりIT業界にてさまざまな業務に関わる。多くのWEBメディアやコンテンツ制作を経験したことからライターに。 現在はオウンドメディアにおけるSEO支援に関わる会社員でもある。過去にオランダに四年、香港に三年半生活した経験があり、好奇心が尽きることがないのが悩み。 プライベートでは普段から着物を愛用し、普段着物研究家を自称。日常で着物を着る人を増やしたい野望をせっせとSNSなどで発信中。美味しいお酒に目がない。https://www.daily-kimono.tokyo/