夏休みもいよいよ終盤。最後にどこかへ出かけたいけれど、暑い所はちょっと…という方も多いのではないでしょうか?今回は、快適な室内にいながらにして、驚きがたくさん発見できるとっておきの美術展情報をお届けします。
特別展 地獄絵ワンダーランド
三井記念美術館
左 『熊野観心十界曼荼羅』 紙本着色 1幅 江戸時代 日本民藝館蔵 右 『水木しげるとのんのんばあの地獄めぐり』より「閻魔大王」 2013年水木しげるプロダクション蔵 ©︎水木プロダクション
まずは水木しげるの『水木少年とのんのんばあの地獄めぐり』から始まる「地獄絵ワンダーランド」。八大地獄を巡り、地獄の様子をリアルに描いた六道絵を見て、さらには地獄の構成メンバーである閻魔王・十王(えんまおう・じゅうおう)・地蔵菩薩に出会い、世界のすべてが描かれた曼荼羅(まんだら)の前で自分は極楽行きか地獄行きかと胸に手を当て…。漫画のようなタッチが楽しくて間抜けな、民衆的な地獄絵まで登場する、地獄ざんまいの展覧会です。自由に広がってゆく地獄のイメージを楽しみながら、日本人が抱いてきた死生観を辿ることは、現代を生きる私たちにも深い共感を呼び起こします。
企画展 そこまでやるか壮大なプロジェクト展
21_21DESIGN SIGHT
左 フローティング・ピアーズ イタリア・イセオ湖 2014-16でのクリスト Photo:Wolfgang Volz 右 ダニ・カラヴァン『大都市軸』1980〜現在 ©︎Lionel Pagés
知らず知らずのうちに「常識」に縛られている私たち。この展覧会ではそんな常識から考えれば「不可能」なことを成し遂げたアーティストの作品、情熱、ポジティブな姿勢に迫ります。綿密な計画を練り、多くの人の協力と賛同を得ながらプロジェクトを実現する様子は、完成した壮大なスケールの作品と合わせて、「そこまでやるか」という驚きを呼び起こします。ビニールテープやネットなどを使った作品を生み出しているアーティスト集団ヌーメン フォー・ユースの新作インスタレーションも必見。