昼も夜も、自由に活動できるようになってきた現代。そこには、「照明」の発達が大きく影響しています。
今ほどではありませんが、江戸時代の日本にも、闇を照らす明かりがありました。
「行灯」。これは何と読む、どんなものだったのでしょう?
「こうとう」? 「ぎょうとう」? 普通はこの漢字ならそう読みますが、違います。
「ぎょうどん」? ちょっと美味しそうですが、これも違います。
「ゴードン」? いえいえ、海外のかたの名前ではありません。
では、なんと読むのでしょう?
答えは、「あんどん」!
答えは、「あんどん」。
そんなの知ってるよ! だったでしょうか、初めて聞いた! だったでしょうか?
植物油や魚油・ろうそくなどを入れた火皿を、枠に和紙を張った風よけで覆った照明器具が、行灯です。
和風旅館など以外では、あまり見たり使ったりする機会がなくなってしまった行灯ですが、昔はとても重宝されていました。
行灯にはいくつかの種類があり、縦長の箱状や円筒形、置き型や掛け型、光量の調節ができるものなどが知られています。
現在では内部に電球などを使っていてとても明るいのですが、本来、行灯の光はとても穏やかで、昼間に使っていてもその実力を発揮できませんでした。そのことから、ぼんやりしている、あまり役に立たない、といったことを示す「昼行灯(ひるあんどん)」という言葉が生まれます。
一説に、忠臣蔵で有名な大石内蔵助(おおいしくらのすけ)が、はた目にはぼんやりしているように見えたことから、こうあだ名されていたともいいます。
化け猫が行灯の油を舐めるのはどうして?
怪談などで、化け猫が行灯の油を舐める、というシーンがあります。
化け猫が行灯の油を舐めるのは、魚の油が使われていることも多かったから。
ろうそくや菜種油は高価だったため、低価格のいわし油などを使用していて、これを化け猫さんが舐めに来ていたのですね。
ただ、魚の油は燃やすとかなり臭かったといいます。
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アイキャッチ画像:喜多川歌麿『蚊帳の中の文読み美人』、メトロポリタン美術館より