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故人の好きなものをローソクに。カメヤマ株式会社「好物キャンドル」が本物そっくり!

藤澤 みづえ

お墓や仏壇でお参りする際の必需品、それはローソクとお線香です。

日本には故人を偲ぶとき、お墓や仏壇にローソクやお線香を供える習わしがあり、お供えには故人が好きだった食べ物や飲み物を選ぶという方が多いようです。

世界でも有数のキャンドルメーカーであるカメヤマ株式会社には「故人の好物シリーズ」というローソクとお線香があります。好きだったものをお供えすることで、故人への思い巡らせることができるアイテムとして生みだされました。

アイテム数3,500以上、約196時間燃え続ける商品も

カメヤマ株式会社の歴史は谷川兵三郎氏が三重県鈴鹿郡(現在の亀山市)に谷川蝋燭製造所を立ち上げたことに始まります。1927年のことです。

神仏用ローソクの製造販売を始めたものの、1930年代には家庭の照明がローソクや石油ランプから電灯へシフトしつつあり、事業は早々に行き詰まります。

神仏用ローソクに代わる新しい商品の開発に迫られていた2代目の谷川正士氏はあるとき、欧米では食事の席や教会の祭事でキャンドルを灯す習慣があることを知ります。

これだ! と思った正士氏は苦心の末、ローソクの外側が螺旋状の「スパイラルキャンドル」を生みだし、1938年には欧米への輸出にこぎつけます。そして、それを皮切りにカメヤマローソクの名前は世界に知れ渡ることとなるのです。

国内シェアの約5割を占める同社は現在、3,500種類を超える商品を販売しています。スタンダードな神仏用ローソクだけでも100種類以上におよび、なんと約196時間燃え続ける商品があるんです。

年間約50万個を売り上げる「故人の好物シリーズ」

近年、お墓へのお供え物を禁止する墓地や自治体が増えています。食べ物のお供え物が腐敗するといった理由だけでなく、カラス等が食べ散らかすといった鳥獣被害が少なくないからです。

とはいえ、故人の好物をお供えしたいもの。

ただの白いローソクではなく故人の好きだった食べ物や飲み物をかたどったキャンドルやお線香をお供えすることができれば、より深く故人を偲ぶことができると考えた同社は2009年「故人の好物シリーズ」を生みだします。

好物をお供えしたい、といった願いを叶える「故人の好物シリーズ」には「好物キャンドル」と「好物線香」があり、現在約60種類もの商品が発売されています。

年間約50万個を売り上げる大ヒット商品であり、2015年には「好物キャンドル」がグッドデザイン賞を受賞しました。

本物そっくりの「好物キャンドル」

「好物キャンドル」にはステーキやうな重、日本酒や焼酎といったさまざまなアイテムがありますが、よりリアルに見えるよう、それぞれの商品は何度も試作を重ねて作られています。

本物と見比べながら色出しをしつつ、きちんと燃焼させるため、原料の配合や芯糸の選択には、カメヤマならではの伝統と技術が生かされているのです。

例えばこちらは、キャンドルで再現されたステーキ。

フライドポテトやニンジンのグラッセ、インゲンが付け合わせとして添えられたステーキは、灯すと香ばしい香りが広がります。特別な日に家族で食べた洋食屋さんのステーキを思い出すかもしれません。

鰻好きの方には、うな重キャンドルがおすすめです。

炭火で炙り、焼き目のついた鰻とタレがたっぷりかかったご飯をリアルに再現。山椒の葉まであしらわれるなど、細部にまでこだわりが感じられます。馴染みの鰻屋で食べた、あのうな重だ! ときっと喜んでくれるはずです。

甘いもの好きには、豆大福キャンドルはいかがでしょう。

灯すと、なんと中からあんこが出てくる仕掛け。桜餅キャンドルやどらやきキャンドルも同様です。

あのカップヌードルがキャンドルに!?

さてこちらは、どこからどう見てもカップヌードルですが、

もちろんキャンドル。
日清食品ホールディングス株式会社とコラボしたこの商品は、注意書きも本物のカップヌードルと見紛うほどで、

中身もちゃんと再現されています。スープの中に具材がしっかり入っていて、まるで本物! 灯すと美味しそうなんです。

お線香のイメージを変えた「好物線香」

ローソクがあるならお線香も! と線香市場に進出した同社は、他社製品との差別化を図るため、従来のお線香のイメージを大きく覆す商品を企画します。

それが「好物線香」です。

株式会社不二家とコラボした「ミルキーの香りのミニ寸線香」はミルキーの懐かしいミルクの香りが、サクマ製菓株式会社とコラボした「サクマドロップスミニ寸線香」では、いちご、りんご、オレンジ、メロンの4つの香りが楽しめます。

近年は供養はもちろん、お部屋の芳香やインセンスとして購入する方も多くなっているようです。

忠実に再現された「ワンカップ大関ローソク」

「故人の好物シリーズ」の中には、キャンドルとお線香両方で展開されている商品があります。

例えば、こちらは大関株式会社とコラボした「ワンカップ大関ローソク」。

昔から日本酒はお清めに使われてきましたが、お線香にも煙や香りで場を清める意味があります。

そこで登場したのが「ワンカップ大関ミニ寸線香」。300年以上の歴史を誇る「大関」の日本酒が配合されているお線香です。

両方一緒にお供えすれば、日本酒好きのご先祖様に思う存分お酒を楽しんでいただけるかもしれません。

井村屋あずきバーがキャンドル&お線香で楽しめる!

天国のあずきバーファンにぜひお届けしたいのが「井村屋あずきバーキャンドル」と「井村屋あずきバーミニ寸線香」です。

亀山市発祥の同社と三重県津市に本社を置く井村屋が「三重県企業コラボ企画」として発売した商品で、誰もが知っているパッケージデザインは忠実に再現され、

キャンドルはアイスの形状だけでなく、あずき粒の煮崩れのあるなしにまでこだわって作られており、

お線香はあずきのほんのりとした甘い香りが再現されています。

天国のねこちゃんに贈る「黒缶」

ところで、ペットはもはや家族の一員であり、かけがえのない存在ですが、先立たれると、その悲しみから立ち直れず、体調を崩す方も多いようです。

同社では、惜しみない愛情を注いでくれたペットたちにありがとうの気持ちを伝えるとともに、深い悲しみから立ち直るためのペット供養用アイテムも開発しています。

こちらはキャットフードのロングセラー「黒缶」のキャンドル。ペットフードメーカーのアイシア株式会社とコラボした商品です。

パッケージはもちろん、まぐろのフレークをイメージした中身もこのとおり再現性が高く美味しそうです。

墓前やお仏壇に供えられるよう本物の黒缶より一回り小さくなっています。

このキャンドルなら、天国へと旅立ったねこちゃんに生前好きだったものを供えてあげたい、という思いも叶えられそうです。

そして、黒缶にはキャンドルだけでなくお線香もあるんです。

ミニ寸タイプの微煙線香はかつおだしの良い香りがしますので、ねこちゃんも喜んでくれるのではないでしょうか。

灯されたローソクやお線香がだんだん減っていく様子を見ると「まるで故人が食べたり飲んだりしてくれたようだ」と感じる方が多いようです。

故人への思いをはせるひとときに「故人の好物シリーズ」いかがですか?

カメヤマ株式会社

住所:〒531-0076 大阪市北区大淀中2-9-11
公式サイト:https://www.kameyama.co.jp/

藤澤 みづえ

医療分野を中心に活動。日本酒が好き。取材終わりは必ず美味しいものを食べて帰ると心に決めている。文句なく美味しいものに出合うと「もうこれで死んでもいい!」と発語し、周囲を呆れさせる。工芸であれ、絵画であれ「超絶なもの」に心惹かれる。お気に入りは安藤緑山と吉村芳生。