なにかとストレスの多い今日この頃。「たまには日常を脱け出してリフレッシュしたい」わかります、その気持ち。
そんなときにぴったりな場所といえば、自然の中。
埼玉県北本市にある雑木林は、都心から1時間弱で行ける「人間に一番近い自然」。木を揺らす風の音、小鳥のさえずり。雑木林をめぐる散歩は自然との出会い、そして癒しに満ちた小旅行です。
しかも特別な装備は必要なし、普段着にスニーカーで出かけられるのもうれしいところ。思い立ったら“日帰りぶらり”してみませんか。おすすめの散歩コースはこちらです。
【まずは気軽に】南部雑木林めぐり
雑木林の魅力にふれる入門コース。北本駅から歩いて10~20分ほどの住宅地エリアに点在するまちの雑木林を巡ってみて。
そこは地元の人が買いもののついでにベンチで休む憩いの場。子どもたちが鬼ごっこをしたり、どんぐりや落ち葉をひろったりする遊び場でもあります。
暮らしに一番近い自然のなかでほっと一息つけば、多分ちょっと心が軽くなるはず。
■北本南部雑木林MAPはこちら
(NPO法人北本雑木林の会)
雑木林のベンチでゆっくり読書をしたり、ぼーっとしたり。
南部雑木林をぐるっと回って歩き疲れたら、駅前のカフェでお茶やランチを楽しむもよし、まだまだ元気なら、荒川の方まで足をのばしてみるもよし。
■北本のそば粉を使ったガレットが評判!
gallery&cafe yaichi
【足をのばして】北本自然観察公園たんけん
もっとたっぷり自然を感じたいなら、約33ヘクタール(東京ドーム7個分)の敷地に昔ながらの里山の風景が残る「北本自然観察公園」へ。北本駅から北本自然観察公園までは歩いて1時間程度。バスなら15分ほどです。
園内には雑木林、草はら、水辺などが貴重な景観を織りなし、これまでに昆虫2000種以上、植物800種以上、野鳥約170種が見つかっています。
春の池にはメダカやドジョウ、夏の夜にはヘイケボタル。オオタカ、キツネ、タヌキなどの野生動物にも会えるかも?
公園内の無料施設「埼玉県自然学習センター」では里山の自然についてさまざまな展示で学べるほか、ガイドツアーや工作教室などの体験イベントもいろいろ。開催スケジュールは公式サイトでチェックしてみて。
北本自然観察公園・埼玉県自然学習センター 基本情報
住所:埼玉県北本市荒井5-200
電話:048-593-2891
営業時間:9~17時(季節変動あり。要問合せ)
料金:見学無料
駐車場:あり(約100台)
公式webサイト
【歴史にふれる】いざ幻の鎌倉街道へ
北本の自然の中には、鎌倉~室町時代の歴史の息吹が感じられる場所がひっそりと残されています。
北本自然観察公園内にある自然遊歩道の一部になっているのが、史跡「一夜堤」。永禄5(1562)年の上杉氏と後北条氏との戦いで、一夜にして谷の沼地に堤が築かれ、難攻不落といわれた石戸城が落城したと伝えられています。
石戸城は西側が荒川、北と東側が谷津と呼ばれる低湿地に囲まれた天然の要塞でした。室町時代中期に扇谷上杉氏(おうぎがやつうえすぎし)が築城、のちの戦では上杉謙信が着陣したという記録も。現在、「石戸城跡」にわずかな土塁と空堀跡を見ることができます。
北本自然観察公園の南口から歩いてすぐの場所にある、東光寺の石戸蒲ザクラは国の天然記念物。源頼朝の異母弟「蒲冠者源範頼(かばのかじゃみなもとののりより)」の伝説が残る樹齢約800年の古木で、「日本五大桜」のひとつにも数えられています。
石戸蒲ザクラ 基本情報
住所:埼玉県北本市石戸宿3-119 東光寺境内
電話:048-594-5566(生涯学習課内)
営業時間:見学自由
料金:無料
荒川沿いには鎌倉幕府の御家人たちが「いざ鎌倉」と駆けた鎌倉街道が走っていたと伝えられています。開発によって今では正確な道筋を追うのが難しくなってしまった幻の古道を思い浮かべながら、荒川の土手を散策してみませんか。
【桜も満喫】まほろばの郷歩き
北本市内には桜の名所がたくさん。江戸時代に田畑を水害から守るために作られた城ヶ谷堤は、桜土手の名でも親しまれ、約60本の桜のトンネル(4月上旬頃)が見事です。埼玉県自然学習センターから徒歩約10~12分。
城ヶ谷堤 基本情報
住所:埼玉県北本市石戸宿7
電話:048-594-5566(生涯学習課内)
営業時間:見学自由
料金:無料
城ヶ谷堤から荒川の土手を左手に北上していくと、約1.5Kmでまほろばの郷と呼ばれるエリアに到着。その入り口は「高尾宮岡の景観地」です。小高い台地に深い谷が刻まれ、斜面林と湿地が独特の景色を作るここは、埼玉県が優れた自然環境を末永く保存するために定めた緑のトラスト保全第8号地。
谷の奥には氷川神社・厳島神社・須賀神社と3つのお社が並んでいます。湿地をうるおしている水のみなもとは、神社の下からコンコンと湧く泉。そう考えると、ちょっと神秘的な自然です。
春にはクロアゲハ、夏にはオニヤンマ。ホンシュウオオイチモンジシマゲンゴロウなど絶滅危惧種も確認され、“すばらしいところ”という意味の「まほろば」の名のとおり、貴重な動植物の楽園でもあります。
高尾宮岡の景観地 基本情報
住所:埼玉県北本市高尾8
電話:048-594-5547(都市計画課内)
営業時間:見学自由
料金:無料
ここまで来たら、「高尾さくら公園」がすぐ近く。30種類約200本の桜が3月初旬~4月末頃まで楽しめます。
高尾さくら公園
住所:埼玉県北本市高尾6丁目地内
電話:048-591-4703(北本市子供公園管理事務所)
営業時間:見学自由
料金:無料
高尾さくら公園から北本駅までは3㎞ほど。「北本市高尾さくら公園」「野外活動センター入口」などからバスを利用することもできます。
自然の中をずいぶん歩いたように感じても、北本市全体がおよそ東西5.8km、南北5.3km。里山の自然は人のすぐ近くにあるから、気がつけば人里離れて迷子になって……という心配がありません。疲れたらタクシーだって呼べます。
肩の力を抜いて気軽にどうぞ、北本の雑木林散歩で深呼吸を。
参考資料:
雑木林のあるまち 目で見る北本の歴史(北本市)
北本のむかしといま(北本市教育委員会)
北本ふれあい散歩道(北本市市民経済部産業観光課)
きたもと紀行-歴史と自然-(きたもと文庫)
【連載 全11回】縄文と雑木林のまち、北本
自然とともに暮らすまち、埼玉県北本市。独自の縄文文化と豊かな自然を入り口に北本の暮らしの魅力を考えてみました。
第1回 都心から50分!人に一番近い自然ってなんだ?を埼玉県北本で考えた
第2回 感度の高い縄文人が集う、埼玉県北本。1万年前からずっと住みやすいまち「縄文銀座」で銀ぶらしてみた
第3回 100年に1度の大発見?関東最大級の環状集落「デーノタメ遺跡」は縄文のタイムカプセルだ!【埼玉】
第4回 縄文界に新アイドル誕生?北本土偶「きたもっちゃん(仮)」愛用の呪術アイテムも紹介!
第5回 デーノタメ遺跡で貴重な発見!なぜ北本縄文人たちは「オニグルミの土製品」を作ったのだろう?
第6回 縄文VS現代!災害リスクの低いまち、埼玉県北本市「どっちが住みやすいの?」対決
第7回 艶やかな七宝ジュエリーにドキドキ!作家・近藤健一さんが北本にアトリエを構えた理由
第8回 埼玉県北本市に、今こそ行きたい店がある。日々の小さな幸せが見つかるgallery&cafe yaichi
第9回 人も、自然を構成する一部。縄文文化の根付く埼玉県北本市に聞いた「雑木林」の今
第10回 貴重な動植物の楽園!埼玉のまほろば、北本雑木林散歩が楽しい
第11回 ここは地上の楽園か?鷹やキツネ、希少な植物も育つ「トンボ公園」が教えてくれること【埼玉】