今回解説するのは、頼朝様の愛妾、亀の前(かめのまえ)! ドラマでは「亀」となっているな。
亀の前に関しては和樂webの過去記事があるのでそちらを参照してほしい。というか歴史上の記録に残されている亀の前に関しては、これが全てだ。
妻の妊娠中に不倫?バレた後も密会⁉︎源頼朝を虜にした美女「亀の前」とは
2022大河ドラマ「鎌倉殿の13人」主役、北条義時。「Stay home」でご褒美が貰えた鎌倉時代の武将!
簡単に言うと、尼御台(あまみだい=北条政子)が妊娠中に、頼朝様が伊豆時代からの恋人である亀の前を呼び寄せて浮気していた。それがバレて尼御台大激怒! 亀の前が住んでいた家を壊してしまって、今度は頼朝様が大激怒! そしてそれに北条時政が大激怒し、なぜか義時が何もしていないのに褒美をもらった……という事件だ。
というわけで、今回はいわゆる「史実」ではなく、三浦に伝わる「伝承」の紹介だ。
おっと、紹介が遅れたな。鎌倉御家人・三浦胤義(みうら たねよし)が語る、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習シリーズ! オレが何者かは第1回参照なッ!
亀の前事件のその後
『吾妻鏡』には事件の後も頼朝様は亀の前を可愛がっていた、とある。では亀の前はどこにいたかというと……うち(三浦)にいたんだ。
三浦の最南端にある港町・三崎(みさき)に、頼朝様の別荘を3つ建てたんだ。それぞれの別荘には季節ごとの花が咲く木を植えた。
1つは「桃の御所」。春の初めに中庭に溢れるほど咲いた桃の花から漂う甘い匂い。桃源郷ってこんなカンジなのかのう? といっても花見に行くたびに思ってた。
2つ目は「桜の御所」。高台に建てられた屋敷の庭には桜が咲き乱れ、さらに対岸にある城ヶ島が薄紅色に色づく様も一望できた。
そして「椿の御所」。静かな入り江に建てられた屋敷の中庭には、冬になると真赤な椿が文字どおりにあふれていた。渡り廊下に枝がかかっているほどだったんだ。
頼朝様の代に建てられた3つの別荘は「花の三御所」と呼ばれ、代々鎌倉の将軍に引き継がれ、それぞれの花の季節になると将軍は花見にやってきた。
……んだけど、椿の御所には綺麗な女人が住んでいてな。頼朝様が亡くなると女人は出家し、椿の御所を寺として、以降頼朝様の菩提を弔っていたんだ。
オレも大人になってから知ったんだけど、どうやらあの女人、頼朝様の愛人らしくてな。しかも、あの亀の前だったらしいんだ。どおりで頼家様も実朝様も椿の御所の花見になるとビミョーな顔すると思ってた。
さらに、亀の前を椿の御所に匿うのを発案したのは、どうやらオレの母上っぽいんだよな。亀の前、伊東の関係者っぽいし、母上は伊東氏出身だし。それと母上、椿の花が好きでさ。三浦一族の屋敷には、必ず椿を植えなさいって掟を作るほどだったし。「女人を隠すには花の中」なんていかにも母上の発想って気がする。
まぁ、そんなカンジで、三浦の伝承を信じるなら、亀の前はあの事件の後も結構長生きした。それなりに不自由なく暮らしていたから、『吾妻鏡』を読んで亀の前のその後を心配していた人は安心してほしい。
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亀の前役、江口のりこ殿について
さて、頼朝様と愛し合ってしまったが故に、尼御台に嫉妬され、大事件に巻き込まれてしまった亀の前。どんな女優が 演じるかと言うと。
「会いたかった! 佐殿!」
「亀」という役で、源頼朝に気に入られて、その妻の北条政子の嫉妬を激しく呼び起こす人物です。その通りに演じられればいいなと思ってます。
「佐殿」というのは、頼朝様の事。鎌倉時代は本来名前を呼ばずに官職名で呼ぶものなんだが、オレが実際に頼朝様を呼ぼうとしたら、「故右大将(こ うだいしょう)」とかになる。だからわかりやすさ重視で「頼朝様」と呼んでいるぞ!
ちなみに尼御台を尼御台と呼ぶのは……。ぶっちゃけ北条の者を様付けで呼びたくな……ゲフンゴフン!
と、江口殿のコメントな! これむしろ巻き込む側のコメントだわ。というか亀の前と八重姫が別人ということは、流人時代の頼朝様、亀の前と八重姫と尼御台の三股同時進行の可能性すら出て来てしまったのだが。
ホント、マジで予測不能になってきたなぁ……。
関連人物
父:良橋太郎入道
夫:源頼朝
人物相関図:
『鎌倉殿の13人』予習にぴったり!源平合戦~鎌倉初期を相関図で解説!
「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧
「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!
1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)
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