令和4(2022)年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習(というか復習)シリーズ人物編! 今回は源氏の長老・源頼政(みなもとの よりまさ)殿!
近年じゃ、太刀・獅子王(ししおう)の持ち主って言うとピンと来る人も多かろう! ドラマでは第3回に登場して、強いインパクトと共にあっという間に退場してしまったが……実は頼政殿の子孫はこの先も関わってくるハズ! というわけで、頼政殿の人生についておさらいしよう!
頼政殿と頼朝様の関係
同じ源姓だから、何か関係があるのかと思うかもしれんが、頼政殿と頼朝様は、200年ぐらい前の先祖が兄弟だったという間柄だ! つまりもはや姓が同じだけの他人!!
系図的なことは、以前の『河内源氏とは?』の記事を読んで欲しいが、頼政殿は摂津源氏の祖・源頼光(みなもとの よりみつ)公の子孫だ。
だから頼光公の弟筋である河内源氏である頼朝様よりも家格は上と言える。……ということを、頭の片隅に置いておいて欲しい。
頼政殿の半生
頼政殿は、後白河法皇の祖父である、白河天皇の代から朝廷に仕えているエリート武士だ。保元の乱では後白河法皇の元で戦い、平治の乱では京都の護衛に当たっていた。最終的には清盛殿と一緒に義朝(よしとも=頼朝様の父)様を追い詰めたんだ。
▼保元の乱と平治の乱については、こちらの記事
後白河天皇がキーパーソン?皇族も貴族も武士も家族同士で争った「保元の乱」を3分で解説!【鎌倉殿の13人】
源頼朝も参加!大河の原作に直結する戦「平治の乱」を3分で解説【鎌倉殿の13人】
よくここで「源氏なのに平家の味方をした」って言われるけど、ぶっちゃけ京都で暴れてたのは義朝様たちの方だし……源氏と言ってもほぼ他人だし……。
そんなこんなで、働きを認められた頼政殿は、満74歳にして平清盛殿の口添えで後白河法皇から「三位(さんみ)」という階位を貰って「源三位殿(げんざんみどの)」と呼ばれるようになる。
それから武芸だけでなく和歌も優れたものを残していて『源三位頼政集』という歌集もあるんだ。興味ある者はぜひ調べてくれ!
運命の以仁王の挙兵
そして治承4(1180)年4月。以仁王(もちひとおう)が全国の源氏宛てに打倒平家を促す命令書を発行する。頼政殿は源氏の長者として以仁王に味方した。
この動きは平家側には想定外だったらしく、最初に京都警備の作戦会議に、味方の1人として頼政殿の名を挙げていたほどなんだ。つまりこの頃には、いろんな人から頼りにされていた人物だったんだ。
ドラマでも描かれていたが、当時の人々の認識としては以仁王の挙兵は「えぇ~本当でござるかぁ~?」って感じだったらしくてさ。挙兵時点で以仁王の味方をする者はほとんどいなかった。けれどなぜ頼政殿が以仁王についたかというと……。はっきりとした理由はわからない。
『平家物語』では、頼政殿の息子と平宗盛(たいらの むねもり)殿が名馬を巡って大喧嘩したからとされているが……まぁ物語だしなぁ。研究者たちも色々意見が分かれている。
ともかく、挙兵が平家にバレて、拠点を移す途中の5月25日。宇治の平等院で休憩していると、平家の大軍が攻めて来た。以仁王を逃がすため、頼政殿は息子たちと平等院に立てこもって戦ったが次々に討ち取られ、頼政殿も辞世の句を詠んで自害した。満76歳だった。
その辞世の句がこちら。
埋木(うもれぎ)の 花咲く事もなかりしに 身のなる果(はて)ぞ かなしかりける
埋もれ木に花が咲くことがないように、私の一生も世に埋もれて、花開くことがなかった。今こうして最期をとげる、我が身の果てが悲しいことだ
もしも以仁王の挙兵が成功したら、源氏の長者は頼政殿になって、鎌倉に幕府が開かれることも無かったのか、あるいは数十年遅れたかもしれないなぁ……。
源頼政役、品川徹殿について
一瞬の出番とはいえ、圧倒的な存在感だったな! ドラマの尺の問題とはいえ、もうちょっとじっくり見ていたかった……。
最初にも言ったが、終盤になって頼政殿の孫がまた登場するかもしれないから、ちょっと覚えておいてくれな!!
関連人物
主君:鳥羽法皇、後白河天皇、二条天皇、以仁王
父:源仲政 母:藤原友実の娘
妻:源斉頼の娘、他
子:仲綱、頼兼、ほか
▼おすすめ書籍
源頼政と木曽義仲 – 勝者になれなかった源氏
「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧
「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!
1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)
▼ガイドブックもチェック
鎌倉殿の13人 前編 NHK大河ドラマ・ガイド