革新的でかっこいいロックな茶碗をつくりたい! 京都の陶芸家・川尻潤さんが、和樂のそんな熱い思いを叶えてくださいました。当初は曲のタイトルや、革ジャン、ギターといったまさにロックらしいモチーフを取り入れる予定でしたが、アイディアを練るうちに「日本の伝統技術を新しく表現することこそロックなのでは!」と思い至るように。斬新な中にクラシックな面持ちを秘めた5点が完成しました。銘もロックにこだわっています。
これはかっこいい…! ROCKな抹茶碗5点が完成
1.銘「轟(とどろき)」
強い印象の黒は、外側はマット、内側はつやとふたつの表情が。全面に配されたさまざまな形の突起は楽譜の音符、それもドラムの譜面をデザインに落とし込んでいます。地響きのように重厚に鳴り響く、ロックなリズムを彷彿させる作品です。
2.銘「雷鳴」
織部焼に見られるような、伝統的な雷文や鋸(のこぎり)文を金で描いた作品。ゆがんだ形やざっくり削り取られた縁と、スピード感あふれる姿に、ロックな勢いを感じてください。白い部分には雲母の粉を焼き付け、上品な光沢を出しています。
3.銘「南蛮」
戦国時代、武将や当時の上流階級の間で流行した南蛮ファッション。その華やかで奇抜な衣装を身につけ「かぶく」思想は、ロックに通ずるものがあります。深い黒の中に、ところどころ白と金が輝く色使い。より重厚な印象は、心に響くものが。
4.銘「破壊」
壊れたものを再生し、違う価値観を見出す―そんな日本特有の美意識である「金継ぎ」をロックととらえて表現しました。内側には、表面のかけらがそのまま中に流れ込んでいくような絵柄が。青と金の色彩のコントラストも見どころのひとつです。
5.銘「眩暈(めまい)」
ブリティッシュロックのレコードジャケットにありそうなチェック柄は、日本の伝統柄である市松模様に通ずるものが。三次元に描くことで柄に歪みが生じ、見込みをのぞくと眩暈を起こしそうなサイケデリックな雰囲気から、この銘をつけました。
「ROCKな抹茶碗」はこんなふうにでき上がりました
京都の工房に潜入!
実際に作品づくりに取りかかる前に描く、川尻さんのスケッチ画がこれ。色や釉薬をどう配するかなど、細かくメモが。すでに色彩が美しく、次々にアイディアが湧き出てきた様子がわかります。
信楽の粗土の粘土を使用。タフな土なので、今回のようにフォルムを変形させるような茶碗づくりにふさわしい種類なのだそう。まずはろくろでベースをつくり、叩いたり削ったりして形を完成させました。
「アメリカの絵の具を使いたい」と川尻さん。日本のものでは再現できないビビッドな発色がロックな抹茶碗には似合うと考えたそう。塗る時点では優しい色ですが、火入れをすると鮮やかなブルーに。
完成品を手にする川尻さん。鮮やかな色使いが特徴なロック茶碗なので、裏を返したときにも驚きがあるよう配色を工夫しました。茶碗ひとつひとつのサインの仕方も違います。ときにはサインなしのものも!
制作期間4か月! 芸術家魂に火がついた渾身の茶碗プロジェクト
川尻潤さん
「ロックをテーマに抹茶碗をつくってください!」和樂の大胆なリクエストに応えてくださったのは、京都の陶芸家・川尻潤さん。先祖は九谷焼の前田藩御用窯(ごようがま)、ご実家は4代続く清水焼の窯元という背景をもつ方ですが、実は高校時代にバンドを組んでいた経験があり、ロックに対する思いは、人一倍深いとか。「面白い企画ですね!」と快諾、未だかつてない、斬新なプロジェクトは始まりました。
ドラム譜からインスパイアされた作品も
「破壊」「否定」…打ち合わせは、ロックにまつわるキーワードを挙げるところからスタート。なかには「革ジャン」「ギター」といった言葉も登場し、未知なる作品の誕生に期待が高まったところで試作へ。川尻さんいわく、「前時代を否定し、新しいものや価値観を再生することがロックだと思うんです。だから従来の茶器にはありえないような色や形に挑戦してみたい。見た人に鳥肌を立たせるようなものができたら、成功ですね」。そうして完成した試作品は、ハッとするほどに色鮮やかな茶碗の数々でした。
「日本の伝統色はどうしてもなじんでしまうので、今回は発色がいいアメリカの絵の具を使用しました。ロックといえばアメリカでしょう?」と、川尻さん。形も試作を重ねるうちに、歪んだものや縁が切り取られたものなど、驚くほどに表情豊かに。「ロックな茶碗をつくるにあたり、制作過程も大胆でいたいと思ったんです。だから、一度ろくろで成形したものを、板で叩いてへこませたり、縁を一気に削るなど、スピード感を大事にしました。それから、どの茶碗にもピアスみたいな小さな穴を開けているんです(笑)。でもそれらは、私がかねてから敬愛する尾形乾山(おがたけんざん)や野々村仁清(ののむらにんせい)の作品、そして衝撃を受けた織部焼などにも見受けられる手法の数々。そういった日本の伝統的な技を使って、なおかつ新しいものを生み出す。何度も試作しているうちに、それが私にとってのロックだという思いにたどり着きました」
あまりに挑発的な姿は一見使いにくそうですが、川尻さん自ら試験済み。「どの茶碗も口当たりのよい飲み口が1か所あるんです。もちろん穴からお茶がこぼれることもありません」と、実用性についても妥協なくつくられています。実際に手に取ると、見た目からは想像できない収まりのよさ。少し強面だけど実は優しい、そんな佇まいも、まさにロックなんです。
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