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4,5月号2026.02.28発売

美の都・京都で出合う うるわし、工藝

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Fashion&きもの

2026.03.14

緻密な手仕事が紡ぎ出す、物語のある逸品。美しさと楽しさと!工芸品のような「春バッグ」

お出かけ気分が高まる季節、ハイブランドからも見ているだけで心が潤うような確かな職人技が生きる新作バッグが百華繚乱です!縁起のよい吉祥文様が手摺りされた麗しい京都の唐紙との競演もお楽しみください。

【シャネル】紙箱と見まごう端正な佇まいを精緻に表現

長めのチェーンは斜めがけにすることが可能。内側にしまって、クラッチバッグにしても素敵。バッグ[縦12×横18.5×マチ4㎝]¥2,352,900/予定価格(シャネル)
背景の唐紙の文様は「破れ七宝」。円形がつながることから円満、調和などを意味し、部分的な余白は、さらなる幸福が満ちる予兆を表す。

伝統工芸を愛する和樂読者が、思わずため息をもらしてしまう、美しい紙の箱のようなバッグが、新作として発表されました。なんとデザインの着想源は、“シャネル”の化粧品のパッケージ!しかしながら、まさに紙としか思えない質感も、実は上質でしなやかなカーフスキンに、プリントをあしらったものなのです。とはいえ、筋目が入っている表面の質感や、角のカーブなど、どこまでも精緻に“紙箱”を表現。バッグという存在を新しく解釈した、飽くなきメゾンのサヴォアフェールの追求を感じさせる、驚きの逸品です。

中を開けると、内側はバーガンディ色のレザーライニングに。レザーを編み込んだエレガントなチェーンも含め、メゾンを象徴するディテールも、きちんと込められて。日本人にとっては、どこか懐かしくも新しい。そんな感情が湧き起こるバッグです。

シャネル 公式サイト
https://www.chanel.com

【ルイ・ヴィトン】細やかに配されたクリスタルが高貴な輝きを生み出して

サイドや裏面にもクリスタルが配されている、贅沢なつくり。内側は2層構造で、荷物が整理しやすい。バッグ「カプシーヌMINI」[縦13.6×横21×マチ8㎝/ストラップ付き]¥1,435,500(ルイ・ヴィトン)
背景は「正倉院」文様の唐紙。蝶や鳳凰などが舞い、雅で瑞兆が現れる様子を描く。

約250ものパーツを、何百もの工程を経て組み立て、ひとつひとつのバッグの完成へと至る、匠の技が凝縮された“ルイ・ヴィトン”のアイコン「カプシーヌ」。なかでも「MINI」は、その優美なフォルムとコンパクトなサイズ感が、イブニングシーンや和装の際のバッグとしても、人気を博しています。

砂漠の光の変化から着想を得たという、デザートサンドカラーのサテン地には、職人が10時間以上をかけて、スワロフスキークリスタルをひと粒ずつ装飾。大きさの異なるクリスタルが織りなす複雑な輝きで、モノグラム・パターンを立体的に描き、より特別感のあるデザインに仕上げています。

LVイニシャルの縁取りやハンドルをつなぐ金具はゴールド調に。華やかでいながら幅広い装いになじむ、ディテールの調和も見事です。

Close-up!


大きさの異なるクリスタルで、モノグラム・パターンを正確に表現。

ルイ・ヴィトン 公式サイト
https://jp.louisvuitton.com

【エルメス】あでやかな姿はそのままに耐久性も備えた逸品

ストラップは長さが7段階に調整可能。着こなしごとにアレンジして。バッグ「シルキーシルク《王者の虎・フルリ》」[縦41×横41㎝]¥525,800(エルメスジャポン)

普遍的な存在として君臨し続ける“エルメス”のシルクスカーフ。美しい図案は、工房にある7万5千色以上のカラーレシピを用い、色ごとに版を分けながら、伝統的なシルクスクリーン技術でプリント。芸術性の高さはもちろん、自在なアレンジが叶うアイテムとして愛されていますが、その自由さが発展して生まれたのが、このバッグ「シルキーシルク」です。

プリントされたシルクツイルに無地のシルクを貼り合わせ、耐久性を向上させた点が、このバッグの新技術。さらにプレタポルテに採用されている「バータック・ステッチ」技法を取り入れ、使用時に負担がかかる部分を補強。エレガントな佇まいはそのままに、実用性を高めています。

軽量で持ち運びにも優れて。スーツケースに忍ばせれば、旅先での心強い相棒になってくれそうです。

エルメス 公式サイト
https://www.hermes.com

【フェンディ】贅沢なユーモアを演出する煌びやかなスパンコール

装飾が施されていない奥の収納部分は、スエードのライニングになっている。バッグ「ピーカブー インナービューティー」[縦25.5×横33.5×マチ13㎝/ストラップ付き]¥1,631,300(フェンディ ジャパン)
背景の唐紙は「観世水」。水が渦巻く様子を図案化した、未来永劫の意味が込められた吉祥文様。

2008年の誕生以来、メゾンを代表するバッグとして愛され続ける「ピーカブー」。ワンハンドルの両サイドが2層になった構造が特徴的ですが、この春、内側にドラマティックなスパンコールが配された、「ピーカブー インナービューティー」が登場しました。

煌めく水面のようなアクアマリンブルーのスパンコールは、楕円や流線形と独特な形をしており、片方の収納部分の内側すべてに、手作業で縫い付けられています。この装飾だけで作業は55時間以上を要し、いかに手が込んでいるかを証明。留め具を閉めている際にはシックな佇まい、しかしながらいざ開けると、予期せぬ華やぎが顔をのぞかせ、一瞬にして違うムードに。

高い芸術性の中にも遊び心が見え隠れし、楽しみの中に真の豊かさがあることを、表すかのようです。

Close-up!


複雑な装飾は、ブランドの中でも最も熟練した職人の手仕事によるもの。

フェンディ 公式サイト
https://www.fendi.com

【ボッテガ・ヴェネタ】小さなお家を編み込みで模した愛らしい逸品

金具とつながっている長いストラップは、1重で斜めがけ、2重にしてショルダーになど、汎用性の高さも魅力。バッグ「ミニ アンディアーモ」[縦15×横20.5×マチ7.5㎝]¥2,805,000(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

バッグに描かれているのは、小さなお家。立体的なノット型の金具がアクセントの「アンディアーモ」に、レザーの編み紐を縫い付けることで、手仕事感溢れる、唯一無二のバッグへと変貌しました。玄関のドアや窓、ピンクや赤の花が咲いた植木鉢は、まるで幼少期にスケッチブックに描いた絵のよう。懐かしさに満ちたデザインは、和樂読者の心に、強く響くのではないでしょうか。

“ボッテガ・ヴェネタ”といえば、レザーの編み込み技法に長けたブランド。“レザー3Dエンブロイダリー”と呼ばれるこの表現は、職人たちがまず、約0.2㎝という極細のレザーを編んで1㎝幅の紐をつくり、さらにそれを長い時間をかけて本体に縫い付けていくことで、完成させていきます。縫い付けが、編み紐の切れ目がわからないよう美しく仕上がっているところにも注目。レザーを自在に操ることができる、世界トップクラスの技術の賜物です。

Close-up!


横から見ると、縫い付けられた編み紐の立体感がよりわかる。

ボッテガ・ヴェネタ 公式サイト
https://www.bottegaveneta.com

【ヴァレンティノ ガラヴァーニ】繊細な手仕事に心高まる花冠のビーズ刺繡

バッグのフラップ部分やライニングなどもすべて手作業で縫い合わせた、手の込んだつくり。バッグ「ドゥ ヴェイン」[縦12×横23.5×マチ3㎝/アジャスターのストラップ付き]¥528,000(ヴァレンティノ インフォメーションデスク〈ヴァレンティノ ガラヴァーニ〉)
唐紙の文様「信夫」はシダ科の植物。繁殖力の強さから、子孫繁栄や多福を呼ぶとされる。

昨年秋に誕生し、この春夏より多彩なバリエーションを揃え、華々しく進化を遂げたショルダーバッグ「ドゥ ヴェイン」。自由な発想に加え、メゾンの精神を表す華麗な素材使いと秀逸なデザインは、瞬く間に世の女性を魅了しました。

シンプルなものから装飾性の高いものまで、さまざまなラインナップが揃いますが、特に和樂が注目したのは、リネン素材の本体に、花冠の形にガラスビーズを手刺繡した可憐なデザイン。花のひとつひとつに色のグラデーションをつけて、陰影を表しているところからも、実に細やかな作業がなされていることがわかります。さらにバッグを縁取るアンティークゴールドのビーズには、宝石のようなカット加工を施し、より輝きを放つ効果を与えています。

そしてフラップを開けると、現れるのは、ロマンティックなピンクのサテン地!どこまでも夢を見せてくれる工夫に、胸のときめきが隠せません。

Close-up!


赤だけでも細やかにビーズの色を変え、立体感を出す技術に感嘆!

ヴァレンティノ ガラヴァーニ 公式サイト
https://www.valentino.com

【ブルガリ】ジュエリーの名品が華麗なるバッグへと昇華

表には、マザーオブパール、ローズクオーツ、ライトアメシスト、ライトマラカイト、ジルコニアストーンが丁寧に配されている。バッグ「ディーヴァ ミノディエール」[縦9.3×横10×マチ3.9㎝]¥1,518,000(ブルガリ・ジャパン)

アール・デコ時代に流行した、口紅といった身の回りのものを収める小さなバッグが「ミノディエール」。“ブルガリ”では、メゾンを代表するジュエリーコレクションから着想を得た、イブニングバッグコレクション「ブルガリ アイコンズ ミノディエール」を完成させました。140年以上にわたるハイジュエリーの制作技法を応用して生まれた優美な姿は、まるで小さな宝箱のようです。

たとえば、扇形のモチーフで知られる「ディーヴァ ドリーム」。バッグの鋳型からつくることで、彫刻的なフォルムを忠実に再現しています。真鍮とアルミニウムの本体には、ローズクオーツやライトアメシスト、ライトマラカイトといった石を手作業でセッティング。ネックレスのようなチェーンにも繊細さが光ります。ジュエラーだからこそ叶う精密なつくりは、まさに工芸品と思わせる貫禄を備えています。

Close-up!


開くと、片面にはお化粧直しのときに便利な鏡がセットされている。

ブルガリ 公式サイト
https://www.bulgari.com

【ロエベ】工芸の心をくすぐるムール貝に見立てたバッグ

美しく編まれたバスケットは、黒でもどこか軽やかな雰囲気に。付属のストラップでショルダーにしても。バッグ「シェル バケット」[縦20×横15×マチ10㎝/ストラップ付き]¥1,226,500/予定価格(ロエベ ジャパン)

まさか、バッグにこれほどの瑞々しさを感じるとは──!「工芸」がクリエイションの軸のひとつである“ロエベ”。この春登場したのは、なんと64個ものパテントのムール貝があしらわれた、手編みのレザーバスケットでした。

レザーの紐を、貝採りの網を彷彿とさせる丸い形に編んだのち、ムール貝のモチーフを上から重ねて。ムール貝の再現度も非常に高く、表面の凹凸はもちろん、開いたものと閉じているもの、両方があしらわれているところに注目。またつややかなパテントなのは“水揚げしたばかり”の姿を、厳密に表現したからだそうで、ブランドの大いなる遊び心が感じられます。

アートのような存在感でいながら、きちんと着こなしになじむ柔軟性をもちあわせているところはさすが。新しい挑戦を繰り返す姿勢もまた、伝統工芸の精神と同じかもしれません。

Close-up!


パテントのムール貝は全部で64個。なかには開いているものも!

ロエベ 公式サイト
https://www.loewe.com

【フェラガモ】優雅に揺れる羽根がファッションの自由を体現

フェザーでかなりボリュームがありつつ、バッグ本体は化粧品やスマホなど、パーティに必要な荷物が最低限入れられるサイズ感。バッグ[縦13×横13×マチ10㎝]¥539,000(フェラガモ・ジャパン)

贅沢に配されたオーストリッチフェザーに目を奪われて!今季の“フェラガモ”がコレクションのテーマにしたのは、メゾンが設立された1920年代。ファッションに対する自由な精神を体現する要素のひとつとして、当時盛んに用いられていた素材が羽根でした。

バッグ本体は、オーバル型のサテン素材のクラッチバッグ。2007〜2008年のアーカイブモデルを発想源としたデザインで、手首を通すストラップをつなぐ金具には、メゾンを代表する縦型の「ダブル・ガンチーニ」が取り入れられています。

密度の高いオーストリッチフェザーは、歩くたびにふわりと揺れ、手元をドラマティックに演出!華やかかつ解放感のあるムードは、今春もなお、心躍るものがあります。

Close-up!


金具を開けると、しっとり輝くサテン地が現れる。職人のこだわりが感じられる美しい仕上げ。

フェラガモ 公式サイト
https://www.ferragamo.com

【セラピアン】日本の木版画にある色彩の移ろいをレザーで描いて

中央にジップポケットが付いた、2層構造。バッグ「ミニ シークレット バッグ」[縦18×横19×マチ12㎝/ストラップ付き]¥481,800(リシュモン ジャパン セラピアン)

切れ目を入れたナッパレザーを土台に、職人が色とりどりのレザーリボンを丁寧に編み込み、柄を生み出していく「モザイコ技術」を開発。“セラピアン”は、イタリアの伝統的な皮革技術を継承しながら、創造性豊かな表現に挑んできたブランドです。

この春は、日本の文化と縁の深い「ぼかしコレクション」を発表。英国人デザイナー、ベサン・ローラ・ウッドとのコラボレーションで、日本の木版画に描かれているような色彩の陰影と空の色を組み合わせ、デザインとして昇華させたといいます。

土台となるレザーにグラデーションをかけるだけでなく、編み込むレザーの配色をあえて不規則に行い、温かみのある夕方の空を表現。“ぼかし”の効果で、刻一刻と移り変わる空の様子が、より際立っているのがわかります。日本の細やかな色彩感覚を、再認識するコレクションです。

Close-up!


“ぼかし”効果を高めるため、編み込むレザーリボンの色を、細かく変えているのがわかる。

セラピアン 公式サイト
https://www.serapian.com

※本記事は雑誌『和樂2026年(4・5月号)』の転載です。
※価格表記はすべて税込です。
※価格は2026年3月1日時点の価格です。

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和樂web編集部


撮影/小池紀行(CASK) スタイリスト/戸野塚かおる デザイン/澤田 翔 撮影協力/京からかみ 丸二 構成/湯口かおり、古里典子(本誌)
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※『和樂』2026年4・5月号 美術展カレンダーに誤りがありました。P.224で紹介しました、福岡県・久留米市美術館で開催中の「美の新地平ー石橋財団アーティゾン美術館のいま」の入館料は、正しくは一般1,500円となります。お詫びして訂正いたします。
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