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Fashion&きもの

2024.11.08

百花の訪問着でも楚々と。「ちどり」の器の美しさを引き立てる〝秋のうるおい美〟。美容家・石井美保の「和魂美才」vol.8

東京・水道橋にある人気の器屋、「千鳥」を訪れた石井美保さん。今回は百花があしらわれた青磁色の着物に合わせた、秋の引き算メイクについてお聞きします。

「千鳥」の店内、正面には大きなテーブルがあり、素材違いのさまざまな作家の作品が展示されている。

青磁色の着物は器との相性バツグン!

桔梗や菊など、百花の刺しゅうがあしらわれた訪問着の美保さん。青磁色の着物は店内の雰囲気とぴったり!

和樂:すっと背筋が伸びて、いつも美しい和装を披露していただく石井さん。秋の着こなしについて、どんなところにこだわりがありますか?

石井:今回は「千鳥」さんへの訪問ということで、主役はあくまで器。そこから発想して、青磁色の訪問着を選びました。〝青磁〟って、まさしく器の色でぴったりでしょう? フォーマルにもカジュアルにもいろんなシーンで着られる訪問着は、展示スペースもある「千鳥」さんの落ち着いたお店で浮かず、シックに見えますよね。

和樂:石井さんが佇んでいる姿は、一幅の絵のようにおさまっています! 着物の小物のコーディネートのこだわりは?

石井:着物の柄が秋の花々を散らした抑えめなカラーなので、帯は派手すぎず、着物と一体化する感じにクリーム色の華紋柄を選びました。華紋柄の色は、着物の百花の色と共通しています。

帯締めは鶯色で、帯揚げはクリーム色。どちらも帯の柄にある色から選んでトータルなまとまり感を大事にしました。

和樂:さすがです。本当にすごくなじんで、素敵です!

帯は華紋柄。繊細な色合いが上品です。

帯締めは帯の華紋柄からとった鶯色、帯揚げは目立ちすぎないようクリーム色でエレガントに。

うっとりと器を眺める美保さん。自宅の飾り棚に飾ったときをイメージ?

主役は器。メイクはうるおいに気を配って控えめに

かんざしは、京都の「かづら清」の漆塗りのもの。

半衿は白の刺しゅう。愛らしさと上品さを兼ね備え、顔写りもアップ。

和樂:青磁色に合う秋のメイクについてはいかがでしょう。

石井:メイクの色は主張しないようにしています。
肌は季節的に乾燥が気になりますので、うるおいのある下地やファンデーションを使い、フェイスパウダーは「アルビオン エクシア セレスティアル ヴェール」で仕上げ。とてもキメ細かくマットになりすぎず、透明感もうるおいもキープできるんです。

チークは、まずリキッドタイプの「スナイデル スキン グロウ リクイド(01)」を指でつけてうるおいとツヤ感を与え、さらに「インウイ チーク(02)」をオン。ほんのり、シックな秋っぽいオレンジで光感と血色感を演出しました。

リップは、「インウイ リップ(07)」で、やはり秋を感じさせるシックなオレンジを選びました。
アイメイクは、いろんなパレットから使っていますが、ブラウン〜オレンジ系のグラデーションに。

今回のカラーメイクは、着物や帯の柄にある色から選んでコーディネート。和のイメージで、夏の元気なオレンジではなく、秋らしいたおやかなオレンジでまとめるのがコツですね。

メイクアイテムも乾燥を防ぎ、うるおいがキープできるものを選ぶことも大切です。

器選びのポイントあれこれ

「千鳥」さんでは、さまざまな素材の器がありますが、本当に基礎的なお話も伺ってみました。
まずは陶器と磁器の違いについて。店主の柳田栄萬さんは「原料の違いですね。磁器は石が原料のため吸水性がなく、丈夫。一方の陶器は土が原料のため吸水性があり、ものによってはシミになることも。でも、あまりとらわれず、自分の好みでいろいろ選んでほしい」
と、語ります。

石井:陶器や磁器は、あまり素材感の違いを考えず選んでいました。「千鳥」さんは、木製のものもガラス製も豊富に揃っていて、たくさんの種類から選べるので本当に貴重なお店!

器をギフトにするときのコツも柳田さんに伺いました。
「贈る方の好みやライフスタイルを想定するのがコツです。たとえば、お酒が好きな方なら酒器など。特にぐい呑みはいくつあってもうれしいものですし。また、ホームパーティが好きな方には大きめの器も喜ばれると思います。いざというときに『あ、あれがある』とあてにされる器というのも、いいと思います」(柳田さん)

「千鳥」では、美保さん好みの愛らしいデザインの器も多数揃う。

石井:参考になるお話をいろいろ、ありがとうございました。

好きなものが身近にあるということは、本当に素敵なことですね。心が弾む器選びは、自然と笑顔になって肌もバラ色に輝いてきます。みなさんも自分だけの楽しみを見つけてくださいね。

「重ねたり、立てて見せたり、『千鳥』のディスプレイは、そのエッセンスを自宅の飾り棚にも取り入れたい」と、美保さん。

ちょっとした仕草もエレガントな美保さん。

草履は、店内を歩き廻ることを想定してクッション性の高いものをセレクト。

インタビュー・本文/國藤直子(STRIPE) 写真/目黒智子 着付け/星山奈保子 ヘア/高倉里美 撮影協力/千鳥

問い合わせ
千鳥
〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町3-7-12 清話会ビル2階
TEL/FAX 03-6906-8631
12時〜18時
定休日はインスタグラムでご確認ください。
shop@chidori.info
https://chidori.info

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石井美保

美容家、トータルビューティーサロンRiche代表。深い美容愛とさっぱりした物腰で、幅広い層にファンが多い。自身の経験に基づく美容法とコスメ選びは、常に注目を集めている。
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