Gourmet
2017.06.03

からすみそばが新名物!京都、ごだん宮ざわで楽しむお料理と器

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料理の流れを楽しむ、カウンター割烹の名店

-文/石塚晶子和樂スタッフ(食の世界に精通。日本文化全般も担当)-

宮澤政人(まさと)さんは、カウンター割烹の可能性を最大限にいかしている料理人のひとり。1店目の「じき宮ざわ」同様、料理だけでなく、器や室礼で十二分に楽しませてくれる。「ごだん宮ざわ」では、自分の好みの内装を実現している。床は陶器を焼く窯の中に敷かれていた耐火煉瓦で、焼きもの好きの宮澤さんならではの選択だ。個室も落ち着く佇まいになっている。DMA-_DSC6391

ここはコースのハーモニーを楽しむ店だ。茶事のような気分になる料理と言ったらいいだろうか。豪華な料亭の料理とは対極にある。お造りやお椀、焼きものなど、派手ではないが心に残る。DMA-_DSC6428子持ち鮎と厚揚げにみょうがという、思いがけない組み合わせのお椀。

「じき宮ざわ」の名物は焼き胡麻豆腐だが、こちらでは焼きとうもろこし豆腐や焼き銀杏豆腐。加えて、手打ちそばの上にからすみをたっぷりと擂(す)り下ろす、からすみそばが新名物になっている。ご飯は、炊きたてと蒸らしたご飯を分けて出し、茶事のときに出るご飯を体験させてくれる。最後に、果物と甘いものとお薄をいただいて、大満足。焼きたての皮の最中やくずきり、あんみつなどで、自分の別腹の存在の大きさを実感してしまう。
 
宮澤さんは、古染付(こそめつけ)や乾山(けんざん)、魯山人(ろさんじん)の器も愛蔵している正真正銘の器好きなので、出てくる器も楽しみ。実力のある現代作家の器も使っている。「この店は、自分の理想にまた一歩近づけたかなと思っています」という宮澤さんには、静かに料理をする姿が似合う。DMA-_DSC6511木工作家・佃 眞吾さんに特注した栗材の重箱には酒杯。アンティークグラスから作家ものまで。カウンターも栗材だ。