歴史ある大覚寺の貴重な寺宝を、じっくり観られるまたとない機会!
「大覚寺」展最大の見どころは、安土桃山時代から江戸時代に制作され、現在では一括して重要文化財に指定されている約240面におよぶ襖絵(ふすまえ)や障子絵などの障壁画から、120面を超える作品が公開されること。なかでも、寺内の中央に位置する宸殿(しんでん)の内部を飾る狩野山楽(さんらく)による障壁画は、師である狩野永徳(えいとく)のダイナミックな表現を引き継ぎつつ、より洗練された世界をつくり出した、堂々たる代表作ぞろい! 通常非公開となっている部屋のものも含まれるという、絶対に見逃せない贅沢な機会です。
また、大覚寺中興の祖である後宇多法皇をはじめ、ゆかりの深い歴代天皇の書=宸翰(しんかん)を展示。優美な書の数々が並びます。平安後期の仏像を代表する明円(みょうえん)作『五大明王像』をはじめ、密教美術の名品が東京で公開されるというのも貴重です。
さらに、会場となる東京国立博物館の展示室内に、通常は非公開の重要文化財「正寝殿(客殿)」のうち、歴代門跡の執務室であった「御冠(おかんむり)の間」を再現するという、現代ならではのお楽しみも。華やかな展覧会が今から待ちきれません!
「大覚寺」展 寺宝を一部紹介
「大覚寺」展の寺宝の一部をご紹介します。ぜひ実物を展覧会でご覧ください。
<国宝>後宇多天皇筆『後宇多天皇宸翰 御手印遺告』(部分)
書の名手として名高い後宇多天皇の宸翰も!
後宇多天皇が大覚寺の興隆を願って、崩御の前に記した定め。21か条あり、冒頭と各条のはじめに朱で手形(御手印)が押されている。本来は25か条を目ざしたものと考えられており、各所に推敲の跡が見られる。今回の展覧会では、後宇多天皇が空海の伝記を記した、同じく国宝の『後宇多天皇宸翰 弘法大師伝』も前期に出品される。
<重文>狩野山楽筆『松鷹図』(部分)
モノクロームの世界に浸りたい!
通常は非公開となっている正寝殿の12の部屋のうち、「鷹の間」を飾るもので、12面の襖絵と、1面の壁貼付絵からなる。力強くダイナミックにうねる巨大な松に、勇壮な鷹の姿が描かれた狩野山楽の代表作のひとつ。大胆さと繊細さをあわせもつ山楽ならではの魅力あふれる作品で、静寂を感じさせる余白が心に残る。
<重文>狩野山楽筆『牡丹図』(部分)
大ぶりの艶やかな牡丹に囲まれる!
縦約180㎝! 宸殿「牡丹の間」の東・北・西の三面を飾る大画面はまさに圧巻! 横長の画面に、ひと花が両手で抱えるほどの大ぶりな牡丹を連続して配置した独特の構図だが、花株の位置は綿密に計算されており、リズミカルな展開になっている。鳥の親子がたわむれている姿もかわいらしく、全体の中でアクセントになっている。