Craft
2019.09.20

宮内庁御用達の名店10選まとめ!東京の老舗の伝統工芸品・食品を購入してみよう

この記事を書いた人

長く愛されてきた伝統工芸品や食品の数々。制度としては半世紀以上前に廃止された「宮内庁御用達」のそれらも多くあります。しかし、制度がなくなった今でも脈々と宮内庁や皇室に品を納める店は存在し、その多くは伝統ある老舗です。老舗の頂点ともいうべき御用達10軒をご紹介します。

品質への絶対的なこだわり。そこに宮内庁御用達の誇りと責任がある

皇室の方々が使われる品を扱う店や会社を称する「宮内庁御用達」。制度として発足した1891年当時は「宮内省御用達」と呼ばれ、商品の品質はもちろんのこと、宮内省への納入実績や信用など厳しい審査を通ったものだけが名乗ることを許されました。それはまさに名店中の名店の証だったのです。

一方で、この資格の社会的な影響力は大きく、「御用達」を詐称(さしょう)する業者が後を絶たなかったといいます。そのため1935年に制度は改正され、審査基準はいっそう厳しくなりましたが、その後、終戦を経て、1954年に制度自体が廃止。今は公式には「宮内庁御用達」は存在しません。

しかし、皇室の方々が必要とされる品々を納める店は依然として存在しています。それらは堂々たる老舗であることが多く、制度がなくなった今も御用達であることに誇りを持ち、脈々と受け継がれてきた技に磨きをかけています。日本の素晴しい技術とものづくりへの高い志を未来に残すための貴重な存在なのです。

宮内庁御用達の老舗10選

今も名品を納め続ける老舗では、皇室ゆかりの品々を手に入れることもできます。長く楽しんで豊かな暮らしをどうぞ。

宮内庁御用達その1 創業1689年「黒江屋」(東京・日本橋)

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる人気の「金地 松竹梅 小盃」。

本漆にこだわる漆器の名店では、歌会始の短冊箱も
紀州漆器の産地(現在の和歌山県海南市)から江戸に出た人物が日本橋で漆器店を開いたのが「黒江屋」の始まり。宮内庁へは“賜”の文字と菊花が蒔絵(まきえ)で表現された歌会始で用いられる短冊箱“飛驒春慶(ひだしゅんけい)”と、菊の御紋の高蒔絵(たかまきえ)を施した会津塗の木杯(もくはい)“盃”を納めています。いずれも無地のものなら購入可能。全国各地の漆器がそろいます。

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる

◆黒江屋
住所 東京都中央区日本橋1-2-6 黒江屋国分ビル2F
営業時間 9時~18時
休業日 土曜・日曜・祝日定休
公式サイト

宮内庁御用達その2 創業1349年「塩瀬総本家 本店」(東京・明石町)

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる塩瀬総本家の看板商品「志ほせ饅頭」。

創業して665年。饅頭発祥の店は、古くから宮中に出入りする
中国人の林浄因(りんじょういん)が足利尊氏の時代に奈良で創業。肉などをつめた中国の饅頭(マントウ)をヒントに、餡を皮で包んだものをつくったのが日本における饅頭の始まり。

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる

創業当時から宮中に出入りし、後土御門(ごつちみかど)天皇より天皇家の御紋である「五七の桐」を賜わっています。今も正月に宮中に納めているこだわりの餡はさらりとした上品な甘みで、看板商品の「志ほせ饅頭」で味わえます。

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる

◆塩瀬総本家 本店
住所 東京都中央区明石町7-14
営業時間 9時~19時
休業日 日曜・祝日定休
公式サイト

宮内庁御用達その3 創業1937年「珠屋小林商店」(東京・日本橋)

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる珠屋小林商店のロイヤルブレンド。えぐみがなく、香り高い洗練された味。

最高の豆と焙煎技術で宮内庁に珈琲を
陸海軍の御用達だった「珠屋小林商店(現)」は戦後に宮内庁御用達を拝命。以来宮内庁に珈琲を納める唯一の店です。納めるのはコロンビアやブラジルをベースにジャマイカなどをブレンドした特別焙煎の豆。

◆珠屋小林商店
住所 東京都中央区日本橋小伝馬町16-5
公式サイト

宮内庁御用達その4 創業1652年「道明」 (東京・上野)

スクリーンショット 2017-07-06 9.36.34道明の帯締め

正倉院などに残る組紐技法の帯締めは皇后陛下もご愛用
古くから正倉院や神社仏閣に残る組紐の調査研究と復元を手がけてきた「道明」。店内にずらりと並ぶのは古代の色彩や組み方を生かしてつくった帯締めです。手で組み上げた帯締めは伸縮性があり締め心地がいいのが魅力。皇后陛下がご愛用で、店にあるものから選ばれたり、お持ちの帯締めと同じものをご注文になることも。上の写真は、平家納経の経巻に使われた組紐を写した帯締め。

◆道明 本店
住所 東京都台東区上野2-11-1
営業時間 10時30分~18時30分、(日曜・祝日は〜17時)
休業日 無休
公式サイト

宮内庁御用達その5 創業1910年「箸勝本店」(東京・秋葉原)

スクリーンショット 2017-07-06 9.44.46箸勝本店の夫婦箸。贈りものにも素敵な神代杉(じんだいすぎ)赤柾夫婦(めおと)箸丸石州(せきしゅう)型【黒文字つき】

吉野杉や檜を使用した箸各種を納める
創業100年余の「箸勝本店」。割り箸の素材は奈良県吉野産の杉や檜が主。使い道のない端材や間伐材を有効利用してつくられます。最高級は吉野杉の赤の柾目(まさめ)。

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる1990年に行われた大嘗祭(だいじょうさい)【天皇が即位後初めて行う新嘗祭(にいなめさい)】で使われた箸や杓子などの神饌(しんせん)用具一式。左端の取り箸以外は柳の木を使用。箸勝(はしかつ)本店が納めた。

用途や形状はさまざまで、宮内庁へも天皇陛下が日常お使いのものから儀式で使用するものまで多種類の箸を納めています。

◆箸勝本店
住所 東京都千代田区外神田3-1-15
営業時間 9時~18時(土曜は〜15時)
休業日 第2、第4土曜・日曜・祝日定休
公式サイト

宮内庁御用達その6 創業1948年「前原光榮商店」(東京・御徒町)

スクリーンショット 2017-07-06 9.47.09前原光榮商店のオーダー傘

天皇ご一家が愛用する職人による手づくりの傘
機械による大量生産ではなく、職人の手づくりの傘にこだわる「前原光榮商店」。不要に思える部品や工程をいっさい省かず、傘づくりの基本に忠実に仕上げていくのが前原流。皇室とのつきあいは1965年ごろ、天皇陛下が皇太子殿下の時代に美智子さまの日傘を修理したのがきっかけ。以来天皇ご一家に傘を納めています。写真は皇后陛下に納めたものとほぼ同じ傘。洗練された美しさです。

◆前原光榮商店
住所 東京都台東区三筋2-14-5(ショールーム)
営業時間 10時~12時/13時~17時
休業日 月曜・日曜・祝日休
公式サイト

宮内庁御用達その7 創業1880年「宮本商行」(東京・銀座)

DMA-C 0417 0237悠仁さまに贈られたものと同じ、ベビースプーンのセット

悠仁さまに贈られたベビースプーンのセットも
明治の文明開化の真っただ中に、国内発の銀製品専門店として創業。海外から国賓を迎え晩餐会を開く宮内省から自然と呼ばれ、銀製品を納めるように。これまでに銀のカトラリーを納めているほか、天皇皇后両陛下はお孫さまがご誕生になると、ベビースプーンとフォークのセットを贈られています。銀をふんだんに使い、赤ちゃんの口にも優しい丸みをもたせたつくりが宮本ならでは。

◆宮本商行
住所 東京都中央区銀座1-9-7 陽栄銀座第2ビル1F(本社)
公式サイト

宮内庁御用達その8 創業1615年「村田眼鏡舗」(2018年閉業)

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる縁なし眼鏡

最高のかけ心地は昭和天皇をはじめ著名人を魅了
前身は京都御所に鏡を納めていた鏡師。1615年に江戸に移り、将軍家などに出入りする御用鏡師でしたが江戸末期に廃業し、明治初期に日本初の眼鏡専門店を開業。何よりかけ心地のよさを重視し、客には夏目漱石(そうせき)や吉田茂などの著名人が。有名なのは昭和天皇が「一山(いちやま)フレーム」というシンプルな縁なし眼鏡をご愛用だったこと。これは今でもオーダーでつくることができ、逸品をもとめて全国から客がくるといいます。

宮内庁御用達その9 創業1879年「山形屋紙店」

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる知る人ぞ知る手漉き和紙の逸品、奥出雲の斐伊川(ひいかわ)和紙の便せん【左】と佐賀の名尾(なお)和紙の便せんと封筒のセット【右】

宮中の行事に使う和紙を納める名店は手漉き和紙が豊富
明治12年の創業。店の裏手の蔵には昭和初期のものもある貴重な和紙を収蔵。宮内省御用達を拝命以来、今も園遊会をはじめ、さまざまな行事に使用する紙を納めています。店内には全国の選りすぐりの和紙が。実際に工房を訪れ、職人と話をしながら店に置く和紙を選ぶといいます。

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる

◆山形屋紙店
住所 東京都千代田区神田神保町2-17公式サイト

宮内庁御用達その10 創業1849年「山本海苔店」(東京・日本橋)

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる

味付け海苔が認められ宮内省御用達に。今も極上品を献上
幕末に創業し、明治2年、明治天皇の京都還幸の際の手土産として、江戸の海苔を納めたのが「山本海苔店」。当時の2代目が工夫し、味付け海苔を考案。これが評判を呼び宮内省御用達に。こだわるのは、ぱりっとして嚙むとさくっとし、口の中でふわっと溶ける海苔のおいしさ。仕訳専門の担当が独自の海苔の格付けを行い、品質を保っています。現在は有明海で採れた極上品を献上。「極吟味焼海苔」(8切れ全型36枚分)が同格で購入可。

老舗の頂点【宮内庁御用達】の品々で暮らしに豊かさを取り入れる

◆山本海苔店 本店
住所 東京都中央区日本橋室町1-6-3
営業時間 9時~18時
休業日 無休(元日を除く)
公式サイト