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Craftsmanship

2024.06.05

季節ごとに飾り替えて、心にうるおいを。「大西常商店」の扇子【手仕事の京都・お誂え編2】

京都は歴史の街。この街では、天皇・貴族たちの生活や、祇園祭といった祭事に伴って、さまざまな道具の特注品がつくられてきました。 ですから、どの分野にしても「お誂(あつら)え」をはじめ、既製品にちょっとだけ手を加える「セミオーダー」のモノづくりが、生活のなかに息づいているのです。 特に京都の職人たちは、日本の中でも別格の存在。多種多様な「お誂え」に対応できる和の専門店のうち、扇子の「大西常(おおにしつね)商店」を訪ねてみましょう。

「手仕事の京都」シリーズ一覧はこちら

飾り扇子から檜扇まで、扇子のあらゆる注文に応えます! 「大西常商店」

冠(かんむり)、烏帽子(えぼし)、扇子(せんす)のつくり手は、現代でも「京の三職」と呼ばれ、1000年を超えて継承されてきた仕事です。

菖蒲(しょうぶ)、芍薬(しゃくやく)、紫陽花(あじさい)を描いた初夏のもの。●アイキャッチ画像の扇子は、秋の萩、夏の鉄線(てっせん)、春の桜を表した扇子。いずれも手描き飾り扇子で、1本50,000円〜。季節によって飾り替えてみて!

扇子の始まりは、平安初期に筆記用具として利用されていた木簡(もっかん)を重ねて綴じた「檜扇(ひおうぎ)」といわれています。次に竹と紙の「紙扇(かみせん)」がつくられ、宮廷、能、舞踊、茶、香などの用途に応じ、多様な京扇子が生まれました。

「手描きの飾り扇子は、絵のオーダーが可能です。ベースとなる地紙(じがみ)も、色引(いろびき)や金引(きんびき)、銀引(ぎんびき)にできます。季節ごとに掛物を変化させるように、飾り扇子も飾り替えたら、心にうるおいが生まれますね」
とびきりの笑顔で解説してくれたのは、大西常商店4代目の大西里枝(おおにしりえ)さん。

左/「下描きはいっさいしません」という伝統工芸士の高島孝風さん。扇子は右側のモチーフを中心にして描くという。右/こんな渋い坪庭が店の奥に! しとやかな風情が京都らしい。

京文化に欠かせぬ扇子には、大きな魅力が詰まっている

京都で数少ない手描き職人のひとり、高島孝風(たかしまこうふう)さんも「『自宅から見える四季折々の風景を描いてほしい』とか、愛犬や愛猫、お気に入りの草花を、というご依頼があったり…。歌舞伎の連獅子(れんじし)の絵のご注文は難しかったですね」と言い、制作では柄の配置に気を配るとも。「扇子を開いていくときに、ドラマティックに見えるような構成を考えます。京の感性では余白の取り方も大切なんです」と話します。

左/高島さんが製作した檜扇を飾ると、室内の雰囲気が一変し、優雅になった。右/昨年、店舗をリフォームした。昔の面影を残しつつ、入りやすいしつらえに。

クラシックな飾り扇子と同様に、日常使いしやすいセミオーダーの無地扇子も人気があります。大西常商店は今年創業111年。昨年代替わりをし、里枝さんに完全に経営が任されるようになりました。「ぜひ京都らしい美しい手仕事をお手元に!」と熱い想いにあふれる老舗です。

左/扇骨(せんこつ)と紙を選べるセミオーダーは1本5,500円〜。中/きさくなSNS投稿で話題の大西里枝さん。右/「大西常商店」の外観。

「ポーズが多彩なカワセミは描いていて楽しい」と高島さん。

「大西常商店」店舗情報

読み方:おおにしつねしょうてん
住所:京都市下京区本燈籠町23
電話:075-351-1156 
営業時間:10 時~18時
休み:4月~8月は無休、9月~3月は日曜・祝日
公式サイト:https://www.ohnishitune.com/

※本記事は雑誌『和樂(2024年4・5月号)』の転載です。
※掲載価格はすべて税込で、価格や営業時間などは変更される場合があります。お出かけの前にご確認ください。
構成/植田伊津子 撮影/伊藤 信

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和樂web編集部

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