よりおいしく飲むため、よりお茶の時間を楽しむための道具とは?「おいしい」が「楽しい!」にアップグレードする、道具の選び方をご紹介します。
茶道具にこだわらず、好きな道具を合わせて自分のセンスで楽しむ。これがお茶の醍醐味、真髄です。「このお菓子なら菓子器はこれにして、茶碗はこっちがいいかしら」など、その都度考えるのも楽しいし、思い立ったらすぐ点てられるよう1セット仕組んでおいても。「あ、茶杓代わりによさそう」とか「夏の冷抹茶にぴったり」と、うつわや小物を見る目が変わるのも面白いものです。
七つ道具 その一
茶筅(ちゃせん)
抹茶と湯を攪拌(かくはん)するための道具である茶筅は、何はなくとも必要! 長さ10㎝程度の竹の、上部半分を裂いて整えます。茶道の流派ごとに好みは異なりますが、穂数が多く弾力に富んだものが薄茶向きです。
全体がしなやかで初心者におすすめの「真の茶筅」
全体がふっくらと卵型にカーブした茶筅(真数穂とも)。穂先だけでなく全体が弾力性に富んでいるため、初心者でも扱いやすい
ふわふわには穂数の多い「数穂」を
穂先のカールで強い攪拌力をもつ。よく見る70本の数穂(かずほ)のほか、八十本立、百本立なども。クリーミーな泡を立てるなら穂数の多いものを
練って点てる濃茶用「中荒穂」
穂先が64本前後で強いコシのある中荒穂(なかあらほ)は、少ない湯で抹茶を艶やかに練り上げる濃茶用。薄茶を点てられなくはないが、技術を要するので慣れている人向き
七つ道具 その二
茶杓(ちゃしゃく)
粉末状の抹茶をすくって茶碗に入れる、主に竹でできた道具。自作したり銘をつけたりと、「茶杓は茶人の刀」と言うほど、茶人にとって重要な茶道具です。すくいやすいよう櫂先を曲げてありますが、小さい匙状のもので代用できます。少量すくえるならなんでもOK!
少量すくえる小さい匙状のものなら材質や形にこだわらず用いたい。柄は長めのもののほうが扱いやすい。アンティークの銀のスプーンや韓国のスッカラ、モダンデザインのステンレスの匙に東南アジアの天然素材…。これも集めるのが楽しい〝茶小物〟
七つ道具 その三
茶杓置
なくてもいいけど、あったら楽しい茶杓置! 使用後に抹茶が付いた茶杓は、盆などに直接置きたくないこともありますよね。箸置などを茶杓置として使えば、汚さず取り合わせも楽しくなります。
七つ道具 その四
菓子器
豆皿や小ぶりなうつわ、かわいらしい柄の懐紙など、お菓子に合わせて選ぶのが楽しい菓子器。陶器に磁器、ガラスに木工や竹製品…素材で季節感を表してみるなど、取り合わせにセンスを発揮しましょう!
七つ道具 その五
盆
お盆や折敷(おしき)、古いお膳などに道具を置き合わせると、なんだかとってもいい雰囲気に。さっと気軽に楽しむためにも、1セット仕組んでおきたいですね。お盆は、お茶の時間がグッと上がる舞台です。
七つ道具 その六
茶器
抹茶は漉(こ)したほうがおいしいので、一度に3、4服分を漉して湿気ないようふた付き容器に入れておくと便利です。空気を含ませたままふんわりと入れるのが鉄則!
ガラスの容器でもきれい
ドイツのガラスメーカーWECKの容器も茶入に見立てたら素敵。ゴムパッキンとクリップがなくても、プラスチックカバー(ふた)でも大丈夫
こんな木工の小物入れでも!
中ぶたが付いた小物入れなら、より湿気を防ぐのでこれからの季節向き。手のひらにちょこんとのるくらいの大きさのものが扱いやすい
七つ道具 その七
茶碗
抹茶茶碗にはさまざまな大きさや形のものがあるのだから、和樂流の茶碗は「なんでもあり」と断言。茶筅を振ることができる程度の内径があればマグカップでもOKです!
取り合わせを楽しむ絵付き茶碗
これは抹茶茶碗としてつくられたものだが、絵柄のある茶碗は、楽茶碗や侘びた風情の井戸茶碗などに比べ、季節感や遊びゴコロを表しやすい
飯茶碗だって茶道具として使えます
ご飯をよそえば飯茶碗、抹茶を点てれば抹茶茶碗。そんなふうに考えれば、見立て(代用)はグッと気軽に楽しめる。大ぶりな茶碗が点てやすい
ベトナムの安南焼も素敵です
高台があって持ち上げやすい形状のうつわなら、産地を問わずに使いたい。陶器に磁器、ガラスに漆器など、素材も取り合わせの楽しみに
これは抹茶茶碗ですが…
朝鮮半島から伝来した高麗茶碗の一種が、桃山時代から侘茶の道具として重用された井戸茶碗。抹茶茶碗のひとつのスタイル。これは、日本の陶芸家・平金昌人さんがつくったもの。