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Culture

2025.11.10

冬を迎え、凜とした佇まいが美しい「旧白洲邸 武相荘」へ

日本の戦後、吉田茂首相のもとで日本国憲法の制定にも深く関わった白洲次郎、その妻で、『かくれ里』をはじめとする数々の名著を残した白洲正子、ふたりが食糧難を見越して、鶴川(つるかわ)村(現在の町田市能ヶ谷(のうがや))に移り住んだのは、昭和18(1943)年のことでした。

以来、終(つい)の棲家(すみか)となった築100年を超える古い農家で、ふたりは武蔵野の豊かな自然に囲まれながら暮らしを営みました。その面影を残したまま公開された「旧白洲邸 武相荘」では、当時の家屋の中で、骨董をはじめとする彼らの愛用の品々を、季節ごとの展示で楽しむことができます。

『かくれ里』の直筆原稿。意外にもやわらかみのある文字で、推敲を重ねた様子が見てとれる。

なかでも秋展から継続の『韋駄天(いだてん)お正(まさ)の取材旅』と題されたコーナーには注目を。実際に現地に赴き、歩き、思索し、執筆した正子の取材メモ、旅に携えていったバッグ、直筆原稿などが展示され、『かくれ里』『近江山河抄(おうみさんがしょう)』といった名著がどのように生まれたのか、その経緯を垣間見ることができます。

「近江」と書かれたノートのほか、石を愛した正子らしく「近江の石」と書かれたメモが残る。どう著作としてまとまったかを考えるのも楽しい。

正子の愛した椿が見ごろを迎える季節。冬の武相荘はまた、見どころがたっぷりです。

白洲次郎(1902~1985年)は10代で英国に留学。ケンブリッジで身につけた教養をもって、戦後の日本で活躍。

白洲正子(1910~1998年)も、若くしてアメリカに留学。帰国後、幼いころから嗜んだ能を礎に、日本の美と文化を深く考察した。

Information「旧白洲邸 武相荘」に行こう

白洲次郎と正子が暮らした母屋がミュージアムとなっているほか、次郎・正子好みのメニューが楽しめるレストラン&カフェもあり、ゆっくりと過ごせる。秋の展示は11月30日(日)まで。冬展はその後12月2日(火)から、冬季休館をはさんで、2026年3月1日(日)まで。その間、イベントとして、5店の古美術商が集い、選りすぐりの美術・骨董品を展示即売する「古美術展示即売会」第三回が、11月22日(土)、23日(日・祝)に予定されている。ぜひ、冬の武相荘に足を運んでみて。

東京都町田市能ヶ谷7-3-2
TEL 042-735-5732
10時~17時(入場受付は16時30分まで)
休館日/月曜日(祝日・振替休日は開館)
※夏季・冬季休館あり
庭園、ミュージアム、PlayFast展示室等すべてを観覧できる入場券は、大人1,500円(税込)。

※本記事は『和樂(2025年12月・2026年1月号)』の転載です。

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和樂web編集部

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