庭園の花々とクチュール──
偉大なクチュリエが愛したふたつの世界がひとつに
「ディオール」のハイジュエリーについて語るには、まずオートクチュールメゾン「クリスチャン ディオール」の創設者であるクリスチャン・ディオールの話をしなければなりません。特に、今回ご紹介するハイジュエリーコレクション「レ ジャルダン ドゥ ラ クチュール(クチュールの庭園)」の作品は、すべてが彼の人生の物語と深く結びついているのですから…。
クリスチャン・ディオールがクチュリエとしてデビューしたのは、終戦からわずか2年後の1947年のことでした。彼は最初のコレクションで、細く絞ったウエストと大きく広がったスカートが特徴の「コロール(花冠)」ラインを発表します。名の由来は、シルエットが逆さになった花の形をしていたためでした。そのスタイルはのちに「ニュールック」と呼ばれ、クリスチャンが世界的名声を得るきっかけとなります。
彼にとって花々は、幼少期に過ごしたグランヴィルでの幸福な記憶を呼び覚ますものでした。クチュールの作品に多く用いられてきたフラワーモチーフの刺繡やプリント、ブレード(縁飾り)には、花々に対する彼の特別な思いが込められていたのです。
クチュールを彩ってきた庭園の花々が、鮮麗なハイジュエリーに
多彩なカットを施したオレンジ、ピンク、レッドの宝石から溢れる色と輝き
庭園の茂みに咲く愛らしくも力強い花々のドラマティックな表現
幼いころから母マドレーヌの庭仕事を手伝ってきたクリスチャン・ディオールは、クチュリエとして有名になると、さらに庭園づくりに情熱を傾けるようになりました。繊細な彼にとって、庭園は唯一、心穏やかに過ごせる場所だったのかもしれません。
グランヴィルの生家、さらにパリ郊外のミリー ラ フォレの別荘には、今も彼が愛情を注いだ庭園が残り、メゾンの後継者たちにインスピレーションを与え続けています。「ディオール ファイン ジュエリー」のクリエイティブ ディレクター、ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌは、現職に就く以前から、祖母と親交のあったクリスチャン・ディオールを敬愛していました。「ディオールファイン ジュエリー」が発足した1998年から20年以上にわたり、ヴィクトワールは彼が大切にしていた〝庭園”と〝クチュール〟の世界をジュエリーデザインで表現。このハイジュエリーコレクションでようやく両者を融合させることができたのです。
また、今回のクリエイションで注目すべきは、過去のコレクションとそれに使われていた技巧をより革新的なものへと進化させていること。私たちは、ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌを通して、クリスチャン・ディオールが愛した世界に思いを馳せ、彼が描いた夢の続きを見ることができるのです。
ミニチュア劇場のように庭園を描いた、遊び心溢れるジュエリー
ディオールが愛した庭園を、子供の目と心でポエティックに表現
メゾンの精神を映し出す、どこまでも自由で、それでいて贅沢な作品
ダイヤモンドの輝きで形づくられた花々を連ねた縁飾り
最高位のダイヤモンドがまばゆい光の花飾りをアシメトリーに纏って
立体的な花モチーフが美しさを際立たせる、特別なダイヤモンドの光彩
問い合わせ
クリスチャン ディオール
0120・02・1947
詳細はディオール公式サイト「レ ジャルダン ドゥ ラ クチュール」にてご覧ください。
撮影/武田正彦 コーディネート/鈴木春恵
※文中のPTはプラチナ、WGはホワイトゴールド、YGはイエローゴールド、PGはピンクゴールド、MOPはマザーオブパール、ctはカラットを表します。
※本記事は『和樂』2023年12月・2024年1月号の転載です
※価格は2023年11月1日時点のものです