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Jewelry&Watch

2025.12.27

ヴァン クリーフ&アーペルと心を揺さぶる貴石の物語 

パリのハイジュエリーメゾン「ヴァン クリーフ&アーペル」が世界に誇る、たぐい希な宝石を主役にした 「ピエール ド カラクテール」コレクション──それは、1906年の創業から1世紀以上にわたりメゾンの歴史を彩ってきた、希少なジェムストーンとその伝説の物語に捧げられたオマージュ。息を吞むほど美しく、唯一無二の魅力を宿す、選ばれしプレシャスストーンとの奇跡の出合いが、言葉に尽くせぬ感情を呼び覚まし、私たちの心を揺さぶります。

優美でいて大胆なアシメトリーの美学が息づく躍動感に満ちたデザイン

非対称のデザインによって、扇状のモチーフが旋回しているように見えるリング。鮮明でありながらも透明感にあふれたルビーは、希少性の高い非加熱。その台座は周囲の装飾を含めて凹形になっており、中央に視線を集める構造に。ハーフムーン、ペアシェイプ、ラウンドなどのダイヤモンドから放たれる多彩な煌めきが、ルビーの鮮赤色を際立たせる。「ロンド デュ ルビー リング」詳細は下部に記載(ヴァン クリーフ&アーペル)

伝統のリボン・モチーフをドラマティックに彩る、双子のようなサファイア

リボン・モチーフのネックレスの正面で対をなす宝石は、ともに10カラットを超える非加熱のサファイア。2石は産地が異なるにもかかわらず、ほぼ同色・同品質で、メゾンの審美眼の確かさを物語る。巧緻なミステリーセットによる装飾が、優美な意匠にオリジナリティとさらなる華やぎをもたらす。「エフェ ドラペ ミステリユー ネックレス」詳細は下部に記載 (ヴァン クリーフ&アーペル)

Sapphire
「ロイヤルブルー」の光彩を放つ、深く鮮やかなサファイアこそ理想

深い青の光彩を放ちながらも透明感にあふれた「ロイヤルブルー」のサファイア──その気品と華やぎに満ちた輝きは、英国をはじめ世界の王室を魅了してきました。「ヴァン クリーフ&アーペル」は、そんな高貴なブルーのサファイアのなかでも色を鮮明にする処理を施していない〝非加熱〟の希少な石だけを厳選。また、ダイヤモンドに次ぐ硬度のサファイアは、その美しさを恒久に保てるため、宝石としての価値が損なわれないことも魅力といえるでしょう。

主役の宝石の美しさと魅力を際立たせることにこだわり抜いたリング


理想的なロイヤルブルーの非加熱サファイアは、5カラット以上の羨望の的となる大きさ。それがセットされた台座は鏡面の凹形になっており、石の色と光を反射して、より鮮烈な印象に。その圧倒的な存在感を放つセンターストーンに、ダイヤモンドとサファイアのグラデーションが繊細な彩りを添える。「スプリング バトン サファイア リング」詳細は下部に記載(ヴァン クリーフ&アーペル)

宝石の唯一無二の美しさと個性を引き出す、大胆で独創的なカット

ブレスレットの先端で向き合うサファイアは、「シュガーローフカット」と呼ばれる丸みを帯びた四角錐のカボションカットが独創的。対をなす2石ともに透明感に秀で、目立つインクルージョン(内包物)もほぼ見当たらない、まさに最高品質の非加熱サファイア。ブレスレットの本体はダイヤモンドとサファイアのラインがそれぞれ旋回して視線を先端に集める、主役の宝石のために細部まで計算されたデザイン。「ツイスト サフィール ブレスレット」詳細は下部に記載(ヴァン クリーフ&アーペル)

Emerald
鮮明で透明感にあふれた、奇跡の緑を宿すエメラルドを探して…

エメラルドは地球が悠久の時をかけて育んだ、「緑の奇跡」ともいえる宝石。ひときわ鮮やかなグリーンは、若葉が光を受けて芽吹く瞬間のような、力強くも清らかな生命力を感じさせます。そして、どれほど透明であっても、石の奥には必ず成長の足跡を刻む内包物が潜み、自然が描いた風景は「ジャルダン(庭)」と呼ばれ、個性の証しとされてきました。古代エジプトではクレオパトラが魅了され、インドでは王の威厳を示す象徴に…。こうした神秘の物語を宿すエメラルドは、今も変わらず、メゾンにとって特別な宝石であり続けています。

宝石の大胆で斬新なカットと伝統の金細工の技が、アールデコを進化させて…

大胆なフォルムと金細工の卓越した技巧が、アールデコの意匠にオリジナリティをもたらす。「クウポル(ドーム)」の名をもつリングの主役は、高さのあるシュガーローフカットのエメラルド。その内部には、コロンビア産特有のインクルージョンによる幻想的な景色が広がる。リングのサイドを飾る放射状のラインは、金細工師が彫金技を駆使して一本一本手で刻み込んだもの。「クウポル デメロード リング」詳細は下部に記載(ヴァン クリーフ&アーペル)

青葉のようなエメラルドと純粋なダイヤモンドのラグジュアリーな対比の美

エメラルドとダイヤモンドを大胆に対比させることで、双方の美しさがより一層際立つ、「指の間」という意味をもつ「アントレ レ ドア リング」。ペアシェイプのエメラルドは、鮮明な色と透明度の高さが圧倒的。その対向のダイヤモンドは、極めて純度の高いタイプⅡaで、しかもカラーとクラリティが最高位。デザイン、品質、美しさ、希少性のすべてにおいて、比類なき完成度の作品といえる。「エヴァンタイユ デメロード アントレ レ ドア リング」詳細は下部に記載(ヴァン クリーフ&アーペル)

Ruby
鮮烈な赤と透明感が共存した、軽やかに華やぐルビーに注目を

「燃える石」といわれ、古代から人々に崇められたルビー。サファイアと同じコランダムという鉱物でありながら、特殊な条件のもとで赤い光を宿す宝石となったルビーは、その鮮烈な色彩によって、いつしか生命と情熱の象徴に…。ただし、地球上でこの宝石が生まれる場所は限られており、高品質のルビーは今もなお希少とされています。「ピジョンブラッド(鳩の血)」と呼ばれる濃い赤が、伝統的に最上とされ、その深い彩りが尊ばれてきました。その一方で、近年は深みだけでなく透明感を湛えた軽やかな赤色の人気も高まっています。

1920年代に台頭した、キュビスムとアールデコの美学を宿すデザイン

1920年代に一世を風靡したアールデコとキュビスムの影響を感じさせる、シンメトリーの幾何学的デザインが美しいイヤリング。ペアシェイプのルビーは左右ともに、深みと透明感が共存する理想的な鮮赤色。オーバルカットのダイヤモンドは、純度の高いカラーレスのタイプⅡa。ぶら下がるペンダント部分は取り外せ、2通りに着用できる。「ルビー マニエティク イヤリング」詳細は下部に記載(ヴァン クリーフ&アーペル)

メゾンの歴史と縁の深い〝クチュール〟に着想を得た、華麗なリボンのモチーフ

「ノド(結び目)」と呼ばれるリングは、クチュールのリボンをモチーフにしたメゾンの伝統的なデザイン。主役のルビーをあえて中心から外して非対称にすることで、〝動き〟を感じさせるドラマティックな印象に。鮮赤色のルビーは、希少性の高い非加熱。「ノド ルビー リング」詳細は下部に記載(ヴァン クリーフ&アーペル)

High Jewelry Data
「ピエール ド カラクテール」コレクション 

左から ●「ロンド デュ ルビー リング」[ルビー8.23ct(クッションカット)×ダイヤモンド計5.02ct(ペアシェイプ5石計2.00ct、ハーフムーン0.47ct)×WG×RG]参考商品 ●「エフェ ドラペ ミステリユー ネックレス」[サファイア計41.17ct(オーバルカット11.47ct・10.18ct)×エメラルド計20.90ct×ダイヤモンド計62.28ct×WG×RG]参考商品 ●「スプリング バトン サファイア リング」[サファイア計8.62ct(センター/クッションカット5.09ct)×ダイヤモンド計0.72ct(ラウンドカット)×WG×RG]参考商品 ●「ツイスト サフィール ブレスレット」[サファイア計78.54ct(先端/シュガーローフカット29.26ct・26.79ct)×ダイヤモンド計10.69ct(ラウンドカット)×WG]参考商品(すべてヴァン クリーフ&アーペル)

左から ●「クウポル デメロード リング」[エメラルド6.06ct(シュガーローフカット)×ダイヤモンド計4.25ct(ラウンドカット)×WG×RG]参考商品 ●「エヴァンタイユ デメロード アントレ レ ドア リング」[エメラルド計6.10ct(ペアシェイプ5.14ct)×ダイヤモンド計6.56ct(ペアシェイプ5.13ct)×WG×YG]参考商品 ●「ルビー マニエティク イヤリング」[ルビー計9.83ct(ペアシェイプ3.12ct・3.03ct)×ダイヤモンド計14.06ct(各オーバルカット3.17ct・3.16ct)×WG×RG]参考商品 ●「ノド ルビー リング」[ルビー7.06ct(オーバルカット)×ダイヤモンド計3.04ct(ペアシェイプ2石計1.24ct)×WG×RG]参考商品(すべてヴァン クリーフ&アーペル)

ストーン部門のスペシャリストが語る、「ピエール ド カラクテール」コレクションとは?

固有の魂を宿す宝石がもたらした、メゾンの揺るぎない美学

「宝石のひとつひとつには固有の魂が宿っている」クロード・アーペルのこの言葉は、「ヴァン クリーフ&アーペル」に継承されてきた美学そのものといえます。宝石商の娘エステル・アーペルと宝石職人の息子アルフレッド・ヴァン クリーフの結婚によって1906年に誕生したメゾンは、創業当初から宝石そのものの個性に魅了されてきました。客観的な評価基準だけでなく、宝石に宿る〝固有の魂〟を見つめてきたメゾンの歴史は、数々の伝説の宝石との出合いに彩られています。
 
’30年代、エステルの甥にあたるアーペル家3兄弟が事業を継承すると、彼らの関心は異国の地へと向けられました。特に旅を愛するクロードは、インドをはじめ中東やアジアへと赴き、マハラジャの宮殿で目にした壮麗な宝石に心を奪われます。そうした経験の積み重ねがメゾンに確かな審美眼と、数多くの伝説的な宝石との出合いをもたらしました。

スペシャリストが継承する、宝石とクリエイションへの情熱

こうした歴史を経て、創業100周年を迎えた2006年、宝石の個性を讃えるハイジュエリーコレクション「ピエール ド カラクテール」が誕生。メゾンの理念を体現したコレクションは、’13年と’16年に新作が発表され、今日まで継続的に作品がつくられてきました。その創作に欠かせない宝石を調達しているのが、ストーン部門のスペシャリストたちです。
「私たちが探し求めているのは〝心を揺さぶる宝石〟。重要なのは、産地などの出自よりも、インスピレーションを与える力があるかどうか」と語る彼らは、世界各地の市場へ赴き、ルビー、サファイア、エメラルドなどの貴石だけでなく、多様な宝石にも探究の目を向けてきました。「理想の宝石と出合うには、市場を巡り、信頼するパートナーと対話を重ねるなど、想像を超えた時間と忍耐を要します」そう語るスペシャリストの鑑識眼は、メゾンの探究と継承の歴史の賜物といえるでしょう。彼らこそが、「ヴァン クリーフ&アーペル」の美学を継承し、クリエイションを根幹で支えているのです。

1950年ごろに撮影された、インド旅行中のクロードとピエール・アーペル。インド訪問はジュエリーの販売と受注、宝石の買い付けが目的だった。
ヴァン クリーフ&アーペル アーカイブス ©Van Cleef & Arpels

イラン王妃ファラ・パーレヴィが、’67年の戴冠式で着用した冠。中央は彫刻を施したエメラルド。その壮麗な装飾には、ルビー、ダイヤモンド、パールが用いられた。
ヴァン クリーフ&アーペル コレクション ©Van Cleef & Arpels

’60年、ジャック・アーペルがオークションで落札した34.64カラットのピンクダイヤモンド。藩王の子息の名から「プリンシー」と命名された。
ヴァン クリーフ&アーペル アーカイブス ©Van Cleef & Arpels

2006年に発表された「ピエール ド カラクテール」コレクションのリング。中央はピジョンブラッドの鮮明なルビー。
ヴァン クリーフ&アーペル コレクション ©Van Cleef & Arpels
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福田 詞子(英国宝石学協会 FGA)


お問い合わせ先/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク(0120-10-1906)

撮影/戸田嘉昭(静物)

※文中のWGはホワイトゴールド、YGはイエローゴールド、RGはローズゴールド、ctはカラットを表します。
※本記事は『和樂』2026年2・3月号の転載です。
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