長沢蘆雪「虎図」に隠されたユーモアなオチとは…?伊藤若冲の虎と比べてみた!

長沢蘆雪「虎図」に隠されたユーモアなオチとは…?伊藤若冲の虎と比べてみた!

目次

同じ虎でも描く人がかわればこんなに違う! 伊藤若冲VS長沢蘆雪の、虎の絵対決。若冲は「日本に虎はいないので中国画を模写した」ということは知られていますが、蘆雪に至ってはもっとウィットに富んだ仕掛けを絵の中に仕組んでいることをご存知でしょうか?

伊藤若冲「猛虎図」

中国画あるいは朝鮮画の可能性もある、京都・正伝寺(しょうでんじ)の「虎図」を原画として忠実に模写した作品。しかし、ディテールの書き込みや巧みなデフォルメによって若冲らしさが存分に漂います。

スクリーンショット 2017-04-25 12.43.58伊藤若冲「猛虎図」江戸時代・宝暦5(1755)年 一幅 絹本着色 129.7×71.0㎝ エツコ&ジョー・プライスコレクション

長沢蘆雪「虎図」

芦雪としては比較的早い時期の、天明年間(1781〜1789)前半ごろに描かれたとされる着色の虎。応挙の弟子になり本格的な絵師として認められつつあった時期の抑制の利いた描写が特徴です。

スクリーンショット 2017-04-25 12.43.49長沢蘆雪「虎図」江戸時代・18世紀 一幅 紙本着色 111.5×43.5㎝ 個人蔵

長沢蘆雪「虎図襖」

南紀・串本の無量寺(むりょうじ)にある水墨の襖絵「虎図」。実は、この絵に蘆雪はひとつの謎掛けをしているのです。襖に描かれた虎をよく見ると、尻尾は異様に長く顔もどこか猫っぽい。実はこの襖絵の裏面には、水中の魚に飛びかかろうとしている猫の姿が描かれているのですが、その猫が表の虎の真の姿という見立て。つまり表の虎は魚の目線で見た大きな猫ですよ、というオチ。

伊藤若冲長沢蘆雪「虎図襖」(部分)重要文化財 江戸時代・天明6(1786)年 襖6面 紙本墨画 右2面 各180×87cm、左4面 各183.5×115.5cm 無量寺

虎を見たことがないことを逆手にとった蘆雪のユーモアなのでしょう。賛(さん)に大真面目に言い訳を記した若冲とは、まったくもって対照的。見たことのない虎を描いてはいても、対応の仕方がまったく違う興味深い逸話です。

あわせて読みたい

長沢蘆雪「虎図」に隠されたユーモアなオチとは…?伊藤若冲の虎と比べてみた!
この記事をSNSでシェアする
この記事をSNSでシェアする