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2018.05.31

叫んでる! ロシア・アヴァンギャルドも空也上人立像も!

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「叫ぶ」ことが幸せ? そう、大好きなものを大声で叫ぶことはこのうえない幸せです。たとえばアイドルや歌舞伎役者の名前を叫ぶとき。それは恍惚の瞬間です。グラフィックデザインの父といわれるロシアの芸術家、アレクサンドル・ロトチェンコや、日本で最も著名な仏師である運慶の四男・康勝も、作品の中で“叫ぶ”を表現していました。

京都で、ロシアで。大声で好きと叫ぶべし!

鎌倉時代、諸国を巡り念仏の意味を民衆に説いて回った空也上人は、口から6体の阿弥陀仏が飛び出た彫像で知られています。

空也上人康勝「空也上人立像」重要文化財 木造寄木造彩色 鎌倉時代前期 六波羅蜜寺

これは、阿弥陀様を敬愛するあまり、思わずつぶやいた念仏「南無阿弥陀仏」の一音一音が、阿弥陀仏の姿に変わったという伝説からつくられたもの。「阿弥陀様が大好きだー!」という叫びの形です。念仏の祖・空也上人の像は、運慶の四男康勝の作。胸に金鼓、右手に撞木、左手に鹿の杖をついた姿が、極めて写実的に表されています。

空也上人アレクサンドル・ロトチェンコ「レンギス あらゆる知についての書籍」ポスター 1924年 ©album/PPS通信社

上のポスターは、20世紀初頭の芸術運動ロシア・アヴァンギャルドの奇才、ロトチェンコの代表作。国立出版社レニングラード支部の広告ポスターで、若い女性が力いっぱい「本よー!」と叫んでいます。これは、国民の識字率が低かった当時、「すべての人が本を読むようになることが革命だ」と訴えるためのデザイン。大声で叫ぶ女性の輝くような表情が印象的です。シンプルな幾何学図形とタイポグラフィを組み合わせたエネルギッシュなデザインが特徴のロトチェンコは、「芸術が生活とともに機能する」ことを追求していました。

京都で鎌倉時代に制作された彫像と、ロシアの広告ポスター。一見全く異なりますが、好きなもの、伝えたいことを“叫ぶ”という共通点がみつかりました。さぁ、みなさんも大声で叫んでみましょう!