この夏、凍らせて味わう丹波大納言小豆のおいしさ
「あも」とは、かつて御所で使われた女房言葉のひとつで、「あんころもち」の愛称。「叶 匠壽庵」の創始者である芝田清次(しばたせいじ)は、のどやかなこの響きに心惹かれ、糸寒天をつなぎにみずみずしく炊き上げたあんで求肥菓子を思いついたとか。これが現在に至るまで50年を超えて愛されてきた「あも」の出発点。シンプルな材料を用いて“ほどける、とろける”食感を極めた「あも」は、小豆を使った棹菓子の中でも唯一無二の味わいを誇ります。
そんな「あも」を“夏は凍らせる”というアイディアは、「あも」独自の食感を知り尽くしたファンの間では、おなじみの食べ方だったそう。水分を程よく含んだ「あも」は、糖度が十分にあるため、凍らせても硬くなりすぎることはありません。箱のままで、もしくは食べたい分だけ冷凍庫へ。凍った「あも」を好みの硬さになるまで室温に戻せば、そこが食べどき。
楽しみ方は氷菓同様に、口の中に広がるひんやりした温度を感じ、ゆっくり溶かしながら甘みが締まったあんと小豆の風味を味わう。求肥が次第にとろけていくのも、たまりません。
「あも」を含む銘菓の数々が、滋賀の里山でつくられている
「叶 匠壽庵」の菓子製造の拠点は昭和(1985)年より、滋賀の里山「寿長生(すない)の郷(さと)」にあります。郷に程近い渓流から水を引き、この水で菓子にも使われる果樹や草木を育てています。
工場から排出された水は敷地内にある浄化施設を経て、再び谷へ。またこしあんの製造時に生じる小豆の外皮も、間伐材のくずと混ぜられて肥料となり、里山に戻るのです。「寿長生の郷」は環境保全と菓子製造が共存する場であり、“農工ひとつ”を掲げる「叶 匠壽庵」のシンボル。農作物を育てる労苦を知るから、「あも」に関わる丹波大納言小豆の生産者にも心を寄せることができる。そして、いっそうおいしい「あも」をつくりたいと製造に励む。ものづくりの好循環が生まれています。
涼を呼ぶパッケージは夏の贈り物に最適
「凍らせて味わう」メッセージを託して、2023年から夏の「あも」パッケージも特別仕様で登場。白銀のカバーは目にも涼しげで、おいしさへの期待が高まります。定番「あも」と誕生50周年を記念して一昨年より発売の「あもこしあん」。凍らせることで粒あんの小豆はざっくり、こしあんはよりなめらかになど、比べることでお互いの魅力も再発見。ぜひどちらもご賞味を!
価格
1本各1,296円(税込)。箱入りは1本から対応。夏限定パッケージでの販売は、8月末まで。
問い合わせ先
叶 匠壽庵 お客様センター
0120-257-310
公式サイト
舌の上でとろける小豆の新食感。夏のティータイムに新しい驚きを
菓子屋自らが“夏は凍らせて”といった大胆な提案ができるのも、「あも」のベースにある丹波大納言小豆のあんに絶対的な自信があるから。高品質の丹波大納言小豆は、表皮が薄く口あたりがよく、煮ても腹が割れにくい特徴があります。
「あも」は、粒感を残すことで口の中でほどける様が楽しめ、「あもこしあん」は濃縮した小豆の旨みや甘みが引き立つなど、あんの魅力もそれぞれ。
この夏、凍らせたあもを囲んで、どんなひとときを過ごしましょうか。新しい体験に、会話も弾むことでしょう。
撮影/石井宏明 スタイリスト/城素穂 構成/藤田優