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2016.04.21

若冲展の大衝撃。アンドリュー欣喜雀躍!【2016年】

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ついに始まりました!  史上最大の若冲展! というより、明らかに日本美術史の歴史を塗り替える、空前絶後の展覧会の始まりです!

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伊藤若冲生誕300年を記念して、東京都美術館http://www.tobikan.jpで4月22日から開催の「若冲展http://jakuchu2016.jp」の内覧会は、まだ展覧会本番が始まっていない、報道関係者の内覧会でしかないのに既に大混雑!  熱狂のフィーバーが吹き荒れました! 午前11時の開幕セレモニーの前から多くの報道陣、メディア関係者、美術関係者で会場があふれかえり、展示室内も一時は身動きがとれないくらいの混雑ぶりで、この展覧会への各方面からの期待の大きさが感じられました。

これは、日本文化史上に残る歴史的事件だ!

正直、こんなものすごい展覧会になるとは!  まさに歴史の一場面に立ち会えたことに、アンドリュー感謝感激感動いたしました。

さて、メガトン級に注目度の高い今回の展覧会ですが、まずは全体の感想から!

1, 伊藤若冲の代表作が、これでもか!これでもか! と波打つように登場する!
2, 展示手法、照明がサイコーで、これまでのどの若冲展よりもその超絶技巧
(筆致)が手に取るようにわかる!
3, 彩色画が多く、エンターテインメントのように、若冲を楽しめる!

の3点に驚き、大変感激しました。さすが、日経新聞社とNHK! 主催者のご努力、細やかな運営に、頭が下がるばかりです。

日本美術の場合、よく「絹本着色」という言葉が使われます。絹の上に描いた絵のことですが、通常はなかなかその絹目にまで目がいくことがないのですが、今回の素晴らしい展示では、上質な絹の上にのせられた絵の具の鮮やかさ、そして神のように精緻な筆さばき、さらに若冲の天才性が、超リアルにみてとれます。

本当に美しい!

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まずは新発見の『孔雀鳳凰図』を堪能しよう!

では、注目作品は何か?  今回は、いつもの内覧会狂想曲とは趣向を変えて、順路に従って代表作、ポイントをご案内しましょう。

まずは地下1階の開場入口を入ってすぐ。私たちをお出迎えしてくれるのは、『鹿苑寺大書院障壁画  葡萄小禽図襖絵』。自然をこよなく愛した伊藤若冲の優しい目線を感じる作品です。葡萄の葉、つる、実などが、実に繊細に描かれています。

その左横には、やはり有名な『糸瓜(へちま)群虫図』(細見美術館)。トンボやカマキリ、カタツムリなどが愛らしく配された、彩色画の名作です。

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このあと襖絵などが続いたあと、3番目の展示室の真ん中では、今回の展覧会に合わせて初公開された『孔雀鳳凰図』(岡田美術館)が登場!(和樂4,5月号でもその秘密を解き明かしています)見逃す訳にはいきません。松と牡丹を背景に、若冲畢生の大作『動植綵絵』にも通ずるような白い孔雀と、やはり松に極彩色の鳳凰が描かれています。

その後、拓版画の名作『乗興舟(じょうきょうしゅう)』(京都国立博物館)や、極彩色の多色摺木版画『花鳥版画』(平木浮世絵財団)などが並び、フロアを1階へと移動。いよいよ、今回の展覧会最大注目の展示室へ!

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『動植綵絵』を巡る33幅全展示。
これは、美術館内に誕生した祈りの場だ!

今回の「若冲展」の最大の話題は、伊藤若冲畢生の大作といわれる『動植綵絵』(宮内庁三の丸尚蔵館)全30幅が一度に展示され、しかも本来あるべきように、その真ん中に釈迦如来像、文殊菩薩像、普賢菩薩像の3幅の『釈迦三尊像』も一緒に展示されることです。

伊藤若冲は、1757(宝暦7)年頃から、約10年という歳月をかけてこの大作を描き、京都の相国寺に寄進しました。年齢にすると40過ぎからの10年ほどということになります。

動植物への慈しみの心を持ち、深く仏教に帰依した若冲が、絵師としてのすべてをかけて取り組んだこの作品。本来の33幅がそろった状態で拝見できることに、大変ありがたい感謝の気持ちになります。

記者内覧会では、この『動植綵絵』の展示室に多くの取材陣が集まり、注目を集めました。しかし、誰もが言葉を失ったかのように、沈黙し、絵に見入っている姿が印象的でした。人がたくさんいるのに静寂が支配した、『動植綵絵』の展示室。それは、大きな寺院のお堂の中にいるような感覚でした。まさに“祈りの空間”が、東京都美術館に誕生していたといえるでしょう。

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実は、この『釈迦三尊像』3幅と、『動植綵絵』30幅が一堂に会するのは、今回が初めてではありません。

2007年に、元々の所蔵先であった相国寺承天閣美術館で、3週間展示されたことがあります。そのとき33幅一挙公開を拝見した、和樂の元編集長K氏は、今回の東京都美術館の『動植綵絵』の展示室に入るなり

「明るい! 相国寺さんで拝見したときより、よくみえる!」

と言葉を発しました。そうなんです。前述の通り、今回の展示、照明が抜群にうまいのです。私アンドリューも、これまで、他の若冲作品をかなり至近距離から、時にはガラスケースなしで拝見してきましたが、今回の展示は、実にリアルに、品良く絵がみえ、それとともに若冲のテクニックを十分に堪能できるようになっているのです。

特に『動植綵絵』は、その当時の最高の画材を使用して描かれたといわれていますから、今回の照明、あるいは最新の「低反射高透過」の展示ケースによって、そのことがいっそう詳細にみられるでしょう。

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『動植綵絵』は、世界遺産になってしかるべき、世界の宝!

この『動植綵絵』30幅は、どれもが素晴らしいのはいうまでもありませんが、「どれがいちばん好きか?」という愚問を自らに投げかけるならば・・・アンドリューは、『地辺群虫図』に一票です。

同姿勢で並んでいるカエルさん7ひきのかわいさ! 植物に巻き付いたヘビがまたかわいい!(reptile嫌いのアンドリューもかわいさに完敗!) 左下端に描かれたミミズとそのミミズを運ぶアリさえもかわいい!

Reptile嫌いも、amphibian嫌いも、この絵は楽しめますよ!

ちなみに、この『動植綵絵』の凄さに感動された方は、是非是非、帰りの売店で小学館が発刊した『若冲原寸美術館 100%Jakuchu!』 (3,000円+税)をご購入ください。『動植綵絵』30幅すべてを原寸にて掲載した、歴史的名著です(自画自賛)。若冲のスーパーテクニックのヒミツも見て取れるはずです。

スーラもビックリ!の点描画も必見!

さて“現代の祈りのお堂”をあとに、もう1階上のフロアへ。2階の展示室に入ると最初に目に飛び込んでくるのは、犬好きには堪えられない『百犬図』(個人蔵)。いろいろなポーズで描かれている、かわいい犬の数々。一匹一匹みていたいのですが、そうしているとますます時間がなくなるので、次へ・・・。

この『百犬図』から、視線を左に移すと大きな六曲一双の屏風絵が登場します。それが『石燈籠図屏風』(京都国立博物館)!  なんと点描のようにして描かれた水墨画です。

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彩色画、水墨画、モザイク画、拓版画、木版画と数々の技法を駆使した天才=伊藤若冲ですが、こんな点描画も描いていたのか! と驚嘆します。

さらに『石燈籠図屏風』から右へ進むとここがまたスゴイ!

MIHO  MUSEUMの名品『象と鯨図屏風』と、大阪・西福寺の金地着色の襖絵『仙人掌(さぼてん)群鶏図襖絵』が向かい合わせに。このふたつの大作の間の空間は、“大作オーラ”が左右で押し引きしていて、どちらの絵も振り返ってはみ、またむき直してはみ、と何度も何度も拝見したくなってしまいます。

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最後はやっぱり! 象さんと虎さんで!

そしていよいよ最後の展示室へ!

ここには、大人気の『鳥獣花木図屏風』(エツコ&ジョー・プライスコレクション)がバーーーンと!  その両脇を固める太刀持ち露払いは『虎図』と『紫陽花双鶏図』(ともに、エツコ&ジョー・プライスコレクション)で、豪華絢爛!  狂喜乱舞! 欣喜雀躍!

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この部屋には他にも、『旭日雄鶏図』『竹梅双鶴図』『伏見人形図』『葡萄図』『雪芦鴛鴦図』といった、プライスコレクション所蔵の“スター選手“が集合しています。

それにしても『鳥獣花木図屏風』はこれまで何度も拝見してきましたが、何度みてもみるものの心を和ませてくれる作品です。今回はまた、ひときわ象さんが大きく、白くみえるように感じ、私たちを幸せの国に連れて行ってくれそうな気がしました。それはアンドリューの単なる思い込みでしょうか?

次にこれだけの作品がみられるとすれば34年後?

・・・・さてさて、ここまで駆け足で史上最大の『若冲展』をご紹介してきました。さすがに生誕300年記念ということで、名作、人気作、代表作がすべて登場した展覧会となりました。

通常、これだけたくさんの代表作を一度に拝見すると、「もうおなかいっぱい!」と思うものなのですが、今回は「おなかいっぱい」という感じはなく、「心が静かに充足されていく感じ」がいたしました。それは伊藤若冲という絵師の、対象物たる動植物、万物への愛の大きさ故なのかもしれません。

もし、次ぎにこれだけ大きな展覧会があるとすると、それは没後250年となる2050年のことでしょうか? そのときわたしはこの世にいるのか・・・そう思うと、やっぱり今回の展覧会、内覧会だけでなく、もう1回はみに行きたい! いやあと10回くらいみに行きたい!

でも大変な混雑が予測されますので、平日の朝、開館と同時に入館するくらいがいいかもしれませんね。

内覧会狂想曲恒例のミュージアムグッズは・・・
ナノブロックの象さんです!

最後に、アンドリューの内覧会狂想曲恒例のミュージアムグッズのご紹介を!

アンドリューいち推しは、『鳥獣花木図屏風』のナノブロック(2,500円)。なんと300個のミニブロックで、『鳥獣花木図屏風』の象さんが完成します。モスグリーンと山吹色の袋に入って、パッケージもかわいい!

あとは、『動植綵絵』のトートバッグ(4,800円)、全8種類。現在、宮内庁三の丸尚蔵館所蔵の作品であることを考えると、この名作中の名作が商品化されることは、大変貴重な機会。今後はないかも? と思ってしまいます。

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そしてそして、このミュージアムグッズ売り場を出て、エスカレーターで地下1階に降りた出口近くの書籍販売コーナーには、我が和樂編集部制作の『伊藤若冲名作ポストカードブック』(1,000円+税)も販売中! 今回の展覧会で堪能したプライスコレクションの名作を網羅したポストカードが24枚も入っていてたったの1,000円なんて!  本来のポストカードとしてだけでなく、額装したり、写真立てに入れたりできる大判サイズ! こちらもよろしくお願いいたします。

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さあ、いよいよ始まった歴史的「若冲展」。会期は、5月24日までと短いので、何を置いても早めに足を運ばれることをお勧めいたします。