2017年6月1日から8月4日まで泉屋博古館分館で開催された、名刀礼賛―もののふ達の美学。そして2017年5月31日から7月17日までサントリー美術館で開催された神の宝の玉手箱。会期は終了しましたが、盛況だった展覧会の様子を少しだけご紹介します。
珍しい刀装具のコレクションは必見!
国宝 短刀 無銘(名物 伏見貞宗) 鎌倉時代 黒川古文化研究所
いまだ冷めやらぬ刀剣ブーム。この展覧会では、兵庫県西宮市にある黒川古文化研究所のもつ、国宝・重文を含む一大日本刀コレクションから、約30口(ふり)を紹介。これまでほとんど一般に見る機会がなかったという、愛刀家垂涎(すいぜん)の幻の名刀が並びました。また、刀身と柄(つか)の間の金具「鐔(つば)」や、柄と刀身を留める金具「目貫(めぬき)」といった刀装具、武士が描いた絵画も展示。岡本尚茂 鈍太郎図目貫 江戸時代中期 黒川古文化研究所
さりげない遊び心を感じさせるデザインや、対象物を真摯(しんし)にとらえる観察眼など、武士の美意識を掘り下げます。東京ではほぼ初公開となる刀剣美の奥深い世界を堪能できる展覧会となりました。
まばゆいばかりの輝き!美しき玉手箱が一堂に
国宝 『浮線綾螺鈿蒔絵手箱』 一合 鎌倉時代 13世紀 サントリー美術館
平安時代以降、大切な手回り品を入れる箱として使われてきた「手箱」。なかでも贅を尽くしてきらびやかに仕立てられ、箱自体に価値がある「玉なる手箱」は、ときに神様に捧げられ、後世には収集・愛蔵の対象として人々を魅了してきました。重要文化財 『松梅蒔絵手箱および内容品』 一具 室町時代 16世紀 鹿児島・枚聞神社
鎌倉時代に制作された『浮線綾螺鈿蒔絵(ふせんりょうらでんまきえ)手箱』もそのひとつで、金粉を蒔いた上に螺鈿を散りばめた、当時の漆芸技法の結晶美ともいえる国宝です。今回は、約50年ぶりに修理を行った『浮線綾螺鈿蒔絵手箱』を修理後初公開するとともに、特別に仕立てられたもの、神社に伝わったものなど、数々の美しい手箱を紹介しました。