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2017.07.07

細川護立の貴重なコレクションを公開!横山大観も梅原龍三郎も永青文庫で!

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細川護立がコレクションした近代画家の作品が公開!

東京都文京区にある、永青文庫では、9月10日(日)まで、平成29年度夏季展「細川護立と近代の画家たち-横山大観から梅原龍三郎まで-」が開催中です。永青文庫の設立者である細川護立(細川家16代・1883〜1970)は、日本の近代美術を支えたコレクターとして知られます。横山大観、下村観山、菱田春草といった同時代の日本画家たちにいち早く注目した護立は、彼らを積極的に支援し、作品を蒐集しました。また洋画家たちとも親交を結び、梅原龍三郎や安井曾太郎から護立に宛てられた書簡が多数伝わります。こうした画家たちとの関わりのなかで形成されたコレクションは、それぞれの画業を語る上で欠かせない代表作を多く含み、永青文庫の所蔵品を特徴づける重要な要素となっています。(展覧会の紹介より)
image1-2永青文庫外観

本展は、これまで展示する機会の少なかった平福百穂『豫譲』や松岡映丘『室君』などの大作のほか、横山大観が細川家本邸の日本間のために手掛けた杉戸絵『草花図』をはじめ、護立と画家たちの交流を背景に生まれた作品、親交の深さを示す書簡を展覧し、作品にまつわるエピソードや画家との関係を辿りながら、コレクションに秘められた物語を探るというものになっています。

というわけで、本展開幕にさきがけ6月16日(金)に行われた内覧会にお邪魔してきました。永青文庫は東西線早稲田駅より徒歩15分の場所にあります。JR目白駅・副都心線雑司が谷駅より出ている都営バスからでも行くことができます。

今回は、天気にも恵まれお散歩がてら早稲田駅から歩いて行くことにしました。駅周辺は、さすがの学生街ということもあり大学へ向かう学生たちで賑わっています。ほとんど道なりにまっすぐ進んで行くとだんだんと景色に緑が増えていき、目の前には長い階段が!image1

意外と長いこの階段ですが、少し登って見下ろして見ると景色が綺麗で、都会にいることも、まだまだ階段を登りきっていないことも忘れてしまいそうです。そうはいっても両端の木々が涼しい木陰を作り出してくれるのでご安心を。

ほどなくして永青文庫入り口に到着です。image1-1

最初の展示室でまず目を引くのが平福百穂の『豫譲』。そして、今回私が最も印象に残ったのもこの作品でした。
スクリーンショット 2017-07-05 10.39.59平福百穂 『豫譲』 大正6年(1917) 永青文庫蔵(熊本県立美術館寄託)
第11回文展 特選【前期展示】

こちらは晋の豫譲(左の人物)が主君の仇である趙の襄子(右の人物)を討とうとしている場面だといいます。金地の背景にあえて余白を多くとることで、瞬間の緊迫した場の雰囲気が伝わってきます。とても気になってしまったのでこの事件について調べてみたところ、結局、豫譲による暗殺計画は失敗し、自害するという結末らしいですが、せめて襄子の上着だけでも切らなければ死んだ主君に合わせる顔がないと考え、襄子に頼み、上着だけを切ってから自らに刃を向けるという大変な執念の持ち主なのでした。自らの命を捨ててでも主君のために一矢報いたいという忠誠心に圧倒されます。

そして今回の展示でもう一つの目玉となるのが、松岡映丘の『室君』という作品です。
スクリーンショット 2017-07-05 10.51.16松岡映丘 『室君』 大正5年(1916) 熊本県立美術館寄託 第10回文展 特選【後期展示】

この作品は、第10回文展で特選を受賞したもので高い評価を得ていたことがうかがえます。作品名の室君とは、播磨国(現在の兵庫県)に集った遊女のことを指しており、物憂げでありながら、艶やかな印象をいだかせます。全体的にふわっともやがかかったようなタッチで描かれていて、幻想的な感じもします。

少し脱線してしまいますが…永青文庫2階にはこんなに素敵な空間が!
image1-5

窓から入る木漏れ日が優しく室内を照らして、時間が経つのがゆっくりに感じます。展示を見る間のちょっと一休みにぴったりです。

同じく2階展示室はきらきらした扇子、茶碗などがたくさん並んでいます。
image1-6山元春挙 『老松図扇面』
image1-7左 下村観山 『月光樹影図扇』 右 下村観山 『老松図扇面』

どれも華やかですが、描かれているものが松や梅の樹なので上品さを保っており、見とれてしまいました。

この他にも細川護立が画家との深い親交を持つことによって生まれた作品などがコレクションされており、作品だけでなく、護立と画家たちとの関係性や作品にまつわるエピソードも交えて楽しむことができますよ。
孔雀のコピー小林古径
『孔雀』 昭和9年(1934) 再興第21回院展出品【後期展示】

細川護立と近代の画家たち-横山大観から梅原龍三郎まで-

会場 永青文庫
住所 東京都文京区目白台1-1-1
会期 2017年6月17日(土)〜9月10日(日)
【前期】6月17日(土)〜7月30日(日)【後期】8月1日(火)〜9月10日(日)※前・後期で大幅な展示替えを行います
開館時間 10時〜17時(入館は16時30分まで)※夏季展期間中、17時まで延長開館
休館日 毎週月曜日(ただし7月17日は開館し、翌日休館)
入館料(一般) 800円