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2019.09.02

会津の五郎兵衛飴総本舗など旅行のお土産で手に入れたい食品3選まとめ

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パッケージがユニークだったり、味にこだわりがあったり。日本全国の老舗がつくる、絶品食品3選をご紹介。旅行のおみやげに購入してみてはいかがでしょう。

義経、弁慶一行も見逃さなかった!会津の絶品飴

五郎兵衛飴総本舗 創業1180年ごろ

武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)がわらべをあやす、気っ風のいい包装紙。会津若松で800年の時を刻む飴店、五郎兵衛飴総本舗(ごろべえそうほんぽ)のものです。こちらにはなんと弁慶自筆の書状が残され、ゆかりを今に伝えています。書状によると、時は1189(文治4)年4月2日、京から平泉へと下った源義経(みなもとのよしつね)が飴を所望。その代金の借証文として、弁慶が一筆書き残したそうです。五郎兵衛飴総本舗の宗祖は、前九年の役(1051〜1062年)に源頼義(みなもとのよりよし)の長男、八幡太郎義家(はちまんたろうよしいえ)に付き従って当地に赴き、居着いたとされ、飴づくりを業としたのは治承(ちしょう)年間(1177〜1181年)とも。義経、弁慶一行が食べたのは、この地で飴業が始まって数年後のことだったと想像されます。 
DMA-和楽004五郎兵衛飴 18個入り。賞味期限は製造日から約1か月。年末年始と会津の十日市(1月10日)は、「切らず」という水飴も限定販売。「良縁を切らない」とする縁起もの。

時代が下って16世紀には、江戸時代の会津藩発展の基礎を築いた蒲生氏郷(がもううじさと)の御用商を始め、代々の諸公や会津藩主松平公にも庇護(ひご)されました。あの白虎隊(びゃっこたい)もこちらを戦に持っていったとか。このような歴史的人物が手にした「五郎兵衛飴」。「その後も会津で続いたのは、ここが城下町で、茶の湯の文化があったからでしょう」と39代目五郎兵衛を継ぐ、長谷川久雄(はせがわひさお)さん。

原料には、会津産の良質な糯米(もちごめ)、契約栽培で発芽させた麦芽と寒天が使われています。飴づくりは夜が明ける前から始まり、糖化させた糯米を煮詰め、寒天と合わせて乾燥させるなどのいくつもの工程を経て完成します。ギリギリまで煮詰めた深い飴色と、歯切れのよいゼリーのような食感が魅力。食べやすいよう一口サイズに切り分けられ、朱色の紙に包まれて出荷されます。
 
ちなみに奥会津では冬場、農家の人が家庭で飴をつくり「お茶のみこらんしょ(お茶を飲みにきてください)」と近所の人を招く戦前の習慣が一部に残っているとのこと。素朴な飴の味わいは、さりげなく人をもてなす楽しさをも感じさせてくれます。

五郎兵衛飴総本舗(ごろべえあめそうほんぽ)

住所 福島県会津若松市駅前町7‒11
営業時間 8時半〜18時半(11月〜4月 9時〜18時)
休業日 無休

加賀前田家の包丁侍がつくった絶妙な触感の「すだれ麩」

加賀麩不室屋 創業1865年

加賀百万石の城下町、金沢では現在も多種多様な加賀麩(かがふ)がつくられ、料理を彩っていますが、なかでも歴史が古いものが「すだれ麩」です。これは加賀藩前田家に包丁侍(ほうちょうざむらい)として仕えた舟木伝内包早(ふなきでんないかねはや)が生み出したもの。舟木伝内は映画『武士の献立』でも描かれた、創意に溢れる名料理人で、麩の生地を茹で上げる際にすだれを使うことで、
あとがくっきりと残り、それが料理に独特な景色と触感を与えます。
DMA-和楽007日持ちがするように乾燥させた、干すだれ麩。賞味期限は製造日から150日。出汁をほどよく吸い、独特の嚙み応えがある。

このすだれ麩を創業以来つくり続けているのが加賀麩の専門店、不室屋(ふむろや) 。その昔、金沢の東にあった不室村の豪族出身だったことから土地の名が屋号となり、今も尾張町にのれんを掲げています。すだれ麩は、小麦粉由来のグルテン生地に米粉をつなぎとし、ゆでることで弾力のある食感に。加賀料理の代表格、治部煮(じぶに)に欠かせないのはもちろんのこと、地元ではすきやきの具や、揚げの代わりに刻んでちらし寿司に使われるなど愛用されており、金沢の食文化を伝える逸品です。写真の乾燥タイプのほか、生麩タイプもあります。

加賀麩不室屋(かがふふむろや)

住所 石川県金沢市尾張町2-3-1
営業時間 9時半〜18時半
休業日 年末年始

質実剛健の三河武士が食した元祖パワーフード

まるや八丁味噌 創業1337年

味噌は古くは兵糧(ひょうろう)として、武士たちに重要視されていました。三河武士のふるさと、愛知県の岡崎では、大豆麴(こうじ)と塩と水だけを原料に、豆味噌の一種「八丁味噌」がつくられています。1337【延元(えんげん)2】年創業のまるや八丁味噌では、木桶に入れた大豆麴を、職人が体重をかけて硬く踏み固める作業や、その桶にうずたかく石を積み上げ2年以上の天然醸造期間を設けるなど、昔ながらの製法が、永々と行われています。三河の気候と、蔵に代々住み着く天然酵母の働きも不可欠です。こうしてできあがる八丁味噌は、水分が少なく大豆の旨みが凝縮された奥深い味わいをしています。
DMA-和楽005
有機八丁味噌 400g。賞味期限は製造日より8か月。有機栽培の大豆を使い、1980年代から国内に先駆けて、オーガニックの関心が高い海外に輸出され人気を集めてきた。

蔵の八丁【約870m】先は、徳川家康(とくがわいえやす)の生誕地、岡崎城です。天下人の階段を駆け上がった家康とその権力を支えた三河武士も、この地で育まれた味噌を原動力としたのでしょう。現在では、世界20か国に輸出され、和洋を問わずさまざまな料理のなかで日本の発酵食品のおいしさを知らしめています。

まるや八丁味噌(まるやはっちょうみそ)

住所 愛知県岡崎市八帖町往還通52
営業時間 工場見学9時半〜11時半、13時〜16時20分 
休業日 無休