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Gourmet
2019.10.17

インスタ映え!奈良の秋限定グルメ「紅葉 柿の葉すし」が美しすぎる

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奈良名物として知られる「柿の葉すし」。実は、秋にしか食べられないお寿司があることをご存知でしょうか? それは、赤や黄色などカラフルに紅葉した柿の葉で包んだ「紅葉 柿の葉すし」です。

一年のうちでもわずかな期間しかお目にかかれない貴重なグルメの楽しみ方を、「紅葉 柿の葉すし」を販売する『柿の葉すし本舗 たなか』の広報担当の方にお聞きしました。

「柿の葉すし」ってどんなお寿司?

ツヤツヤとハリのある柿の葉っぱに一口サイズのお寿司を包んだ「柿の葉すし」。旅行や出張の時に駅弁として購入する方も多いのではないでしょうか?

葉をほどくと爽やかな香りがふわっと広がり、酢飯の程よい酸味と魚の旨味が相まって三位一体のおいしさ。鯖や鮭、鯛などネタのバリエーションが豊富なのも、選ぶ楽しみが広がりますよね。

柿の葉すしは奈良県五條・吉野地方発祥の郷土料理です。もともとは薄く切った塩鯖とご飯とあわせて柿の葉で包み、大きな木桶に入れて重石をして熟成させた保存食でした。当時は青々とした柿の葉は春から夏にしか手に入らないため、毎年初夏に作るのが習わしだったそう。各家庭ごとに作られ、夏祭りの時期に家族で食べるごちそうでした。

“海無し県”奈良でお寿司が有名になった理由

「柿の葉すしの誕生には諸説ありますが、江戸時代の住居から寿司作りに使われた木桶が発見されたことから、江戸時代にはすでに庶民の間に広まっていたようです」と教えていただいたのは、奈良県五條市で創業110年を誇る柿の葉すしの老舗『柿の葉すし本舗 たなか』広報の西井理貴さん。

奈良県は海に面していない“海無し県”。その上、奈良・五條は四方を山々に囲まれた山林地域です。なぜ山深い土地でお寿司が名物になったのでしょうか?

「熊野山や高野山を臨み清流・吉野川が中心を流れる五條は、上質な吉野杉の産地として知られ、古くから林業が盛んでした。当時、伐採された木材は吉野川や紀ノ川などの河川を利用して和歌山県の河口へと運ばれ、京都などへ送られていきました。その帰りに職人さんたちが持ち帰ってきたのが塩鯖です。

「昔は保存食だったので、今よりもっと塩が効いて発酵した熟鮓(なれずし)のようなお寿司でした」と西井さん。

当時は冷蔵庫もない時代。塩でしめて保存性を高めた塩鯖は、海から遠く離れた山里の人々にとって貴重なごちそうだったんです。

なぜ柿の葉で包むの? 山里の知恵が詰まった柿の葉すし

当時は贅沢品だった鯖を大切に保存するために生まれた柿の葉すし。そもそも、なぜ保存に柿の葉が使われたのでしょうか?

「奈良県は全国2位の収穫量を誇る柿の産地です。さらに五條市は市町村単位で全国一位の収穫高です。つまり五條の人々にとって柿は昔から身近な存在。貴重な鯖を薄く切ってお寿司に仕立て、近くにあった柿の葉で包んで保存するのは自然な流れでした。

これは近年になってわかったことですが、柿の葉には抗菌・抗酸化作用に優れたビタミンCやポリフェノールの一種であるタンニンが多く含まれていました。単に寿司を乾燥から防いでくれるだけでなく、保存性を高める効果もあったんです。柿の葉すしは海の幸と自然の恵み、そして先人の知恵が詰まった郷土食でした」

食堂の夏限定メニューが地元の名物に、そして全国区へ

奈良県五條市で明治後期に創業した『柿の葉すし本舗 たなか』。創業者は駅前で食堂を営んでいて、柿の葉すしは夏の間だけ提供される季節メニューだったのだそう。

そのおいしさが評判を呼び、大阪や神戸など遠方からも柿の葉すしを求めてお客さんが訪れるほどに。さらに製造技術が発達すると、夏にしか提供できなかった柿の葉すしが年間通じて供給できるようになりました。また、宅配便の配達網が整備され「常温で日持ちするお寿司」の特徴を活かして全国配送が可能に。こうして日本各地に柿の葉すしが広がり、奈良を代表する名物になりました。

秋にしかお目にかかれない! 「紅葉柿の葉すし」とは?

さて、本題の「紅葉 柿の葉すし」です。「紅葉 柿の葉すし」とはその名の通り、緑色の葉の代わりに赤や黄色などカラフルに紅葉した柿の葉を使った柿の葉すしです。どうでしょう! 目にも麗しい紅葉が食卓を華やかに彩り、さながら“食べる紅葉狩り”。食べてしまうのがもったいないほどの美しさです。

毎年、地元・奈良や和歌山の山々から収穫した葉で作られるため、製造時期はお天気次第。紅葉のタイミングや葉の色づき具合によって販売数量や発売時期も変動します。そのため店頭販売は未定ですが、現在公式オンラインショップで予約を受け付けています。

お寿司のネタはさば、さけ、たいの3種類。木箱入りでおもたせや季節の贈り物としても喜ばれること間違いなし! です。

実は温めてもおいしい!柿の葉すしの意外な楽しみ方

取り分けしやすく、一口サイズがちょうどいい柿の葉すし。新幹線などの移動中にも手づかみで食べられる手軽さがうれしいですよね。実は、そのまま食べる以外にもおすすめの食べ方があるのだそう。

「昔は寒い時期になるとご飯が硬くなるので、柿の葉ごとストーブや火鉢であぶって食べていました。温めるとさばの油がとけてすし飯になじんで、とてもおいしいですよ。

ご家庭で召し上がっていただくなら、オーブントースターで温めるのがオススメです。柿の葉に包んだままの柿の葉すしをオーブントースターに入れ5〜6分加熱します。葉っぱが焦げてきたくらいが食べごろです」

う〜ん。おいしそう。これは自宅でも試してみたくなりますね。これからの季節は、どんなシーンで楽しんでいただきたいですか?

「柿の葉すしは型崩れしにくく常温で日持ちする食べ物ですので、これからの行楽シーズンにはハイキングに持っていただくと手軽に召し上がりいただけます。手にとって食べやすいので、パーティーのフィンガーフードとしても人気です。お歳暮としてや年末年始の需要も高く、お正月のおせち料理に添えていただいても、ご家族みなさんに喜んでいただけると思います」

今年の「紅葉 柿の葉すし」の予約期間は10月31日まで。お届け期間は11月1日〜10日までのわずか10日間です。奈良・五條の本店をはじめ、関西や東京の百貨店にも店舗を展開していますが、数に限りがあるため早めの予約が良さそうです。

詳しい予約方法や販売時期などの情報はウェブサイトをチェックしてみてください。今年の秋は食卓で紅葉を愛でてみませんか?

基本情報

柿の葉すし司本舗 たなか
住所: 奈良県五條市住川町1490番地
電話番号: フリーダイヤル 0120-111-753
電話受付時間: 9:00~19:00
公式webサイト

書いた人

1982年生まれ、栃木県出身。上智大学卒業後、広告制作会社などを経て2017年にフリーランスの広報&ライターとして独立。主な活動媒体は雑誌「Hanako」、ハフィントンポスト日本版など。専門はビジネスと食や音楽、スポーツなどカルチャー全般。尊敬する作家は向田邦子。 ---