名窯が手がけた神坂雪佳の「狗児」
絵師として、また優れた工芸作品のデザイナーとして、明治から昭和のはじめにかけて活躍した神坂雪佳(かみさかせっか)。京都の地に琳派の復興をもたらし、その典雅な作風によって昨今、海外でも高い評価を受けています。木版画集「百々世草」(芸艸堂)に収録された「狗児」は、愛くるしい仔犬の表情で絶大な人気を誇ります。
神坂雪佳「百々世草より狗児」全三巻 木版摺画集 30.0×44.5㎝ 明治42(1909)〜43(1910)年発行 芸艸堂
この「狗児」を香立てに仕上げたのは、約250年の歴史をもち、雪佳とも縁がある京焼の六兵衛窯。制作のポイントは、かたつむりをじっと見つめる仔犬のクルンとした眼! 木版画の平面から、陶器という立体になっても、かわいらしさは不滅、決して揺らぎません。
立体になって無垢な仔犬の瞳がパワーアップ!