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2019.11.12

やりなおしの神様がいる大阪姫嶋神社!人生をリセットしたいとき訪れたい穴場スポット

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大小関わらず、誰しも「できることならやりなおしたい。」と思う事の一つや二つあるのではないでしょうか。なかなか決心がつかないことでも、誰かに背中を押してもらえれば、出せなかった勇気が涌くこともあります。

そんな時に参拝したい神社、姫嶋神社が大阪市内にあります。こちらの神社は、“やりなおし神社”と呼ばれ、特に女性の自立や決断の後押しをしてくれるといわれています。なぜなら、自らも人生をやりなおした阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)という女神が祭られているからです。そんな姫嶋神社に伺ってきました。

人生をやりなおした阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)

新羅の王子、天之日矛(アメノヒボコ)に嫁いだ阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)は、常に夫に仕え細やかに尽くしましたが、慢心した夫の横暴に耐えかねていました。とうとう、「私はあなたの妻となるべき女ではありません。わたしの祖国へ帰ります」と言って、新羅の国からはるばる筑波(現在の大分)の比売島まで海を渡り、さらには摂津の比売島(現在の姫島)へと渡ってきたと伝えられています。

この阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)は、機織りや裁縫、焼き物や楽器など様々な知識を持ち、医療の知識まで備えていました。その技術をたどり着いた地で女性たちに教え病人を直したことから、多くの女性の信頼を集めたのです。新たな地で自立し見事に再起したことから、新しい旅立ちを決める際の「決断と行動の神様」としても信仰されるようになったわけですね。

さらには、古事記には、天之日矛(アメノヒボコ)が、農夫から赤い玉を譲り受け、それを寝室に置いていたところ、赤い玉は美しい乙女阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)に姿を変えたと記されており、美をつかさどる女神としても知られています。

まさに才色兼備の女性、美しく自立した女性の象徴が、阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)なのです。

赤い断ち玉(たちだま)で迷いを断つ

そんな赤い玉は、姫嶋神社では思いを断ち切る象徴でもあります。

姫嶋神社では、はじまりの碑と呼ばれる碑の前に「たち玉」と呼ばれる赤い玉が転がっていることを見ることがあります。たち玉とは、新しいスタートを切る時や目標・願い事を叶えるために断ち切らなければいけない物事を写し取り、封じ込めておくための依代。捨て去りたい「なにか」を引き受けてくれる存在です。

昔々、ある女性が阿具奴摩(あぐぬま)という沼で昼寝をしていたところ、赤・橙・黄・緑・青の五色の虹色の光が当たり身ごもりました。その女性は美しい赤い玉を産みました。その玉が、古事記にあるように姿を変えたのが阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)。この伝説から、姫嶋神社では赤い玉だけでなく、五色の虹色は始まりの象徴とされています。

真っ白な帆立貝絵馬に願いを託せば新たなスタートが叶う

境内にあるいくつかの碑には、びっしりと帆立貝がかけられています。一見驚きますが、これはなんと全て絵馬なのです。

姫嶋神社では白い帆立絵馬を授与しています。帆立貝は、泳いでる姿がまるで帆を立てて進む船のように見えます。その姿を、船で海を渡ってきた阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)になぞらえているのだそうです。

真っ白な貝がびっしりとかけられた碑は、目にも清々しく映ります。たくさんの白い帆立貝は、新しいスタートも順風満帆に進むようにという多くの願いが込められているに違いありません。

献風台で現状打破を祈り、変化の風を持ち歩こう

神殿の前に進み出ると、右側に少し変わったものがあります。よく見ると風車がたくさん並べられています。

これは献風台と呼ばれるものです。風車は風を受けて動きます。そこから、供えられた団扇を使って自ら起こした風を神様にお供えし、阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)のようによい風を受けることを祈念するためのものなのです。自分のスマートフォンなどを置いて「よい風を」入れて持ち歩くこともできるので、手を合わせた後に是非試してみましょう。

香港などアジアでは、状況打破の象徴としての風車があり、あちこちの寺院で見かけます。風を受けることで、よどんだ空気に変化を起こす願いは、もしかして大陸から阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)が伝えたものなのかもしれません。

おもい塚は気持ちを整理し過去に感謝する場所

さらに境内にはおもい塚と呼ばれる今は使われなくなった狛犬が鎮座しています。

この塚は手放したものへの感謝の気持ちの象徴として、物の整理はできたものの気持ちが整理できないときにお参りするためのもの。かろうじて犬の姿を保っている狛犬は、経てきた長い時間を感じさせてくれます。

こんな風に姫嶋神社の境内には、人が迷いを断ち切り前を向くための存在が多く祀られているのです。

九州大分と大阪、姫嶋という地名の由来とつながり

大分県国東(くにさき)半島の沖あい6kmに姫島と呼ばれる小さな島があります。

この島内には、姫君がおはぐろを付ける際にお猪口と筆を置いたとう「かねつけ石」や、おはぐろをつけたあとに口をゆすごうとして水が無く、手拍子を打って祈ったところ水がわき出したという「拍子水」など、阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)にまつわる伝承が今も残っており、阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)は最初この島にたどり着いたといわれています。

その後、阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)は難波(大阪)に移り住み、元いた島の名をとって姫島と名付けたと伝えられています。大阪と九州の大分にそんなつながりがあるなんて面白いですね。

おついたちだけのやりなおし祈祷を受ければ気持ちも切り替わる


姫嶋神社では毎月初めの1日(おついたち)だけ、「やりなおし祈祷」と呼ばれる特別な祈祷を受けることができます。

おついたち(毎月はじめの1日)に神社に参拝することを、以前は「おついたちまいり」と呼ばれ、日本各地で行われていました。無事に過ごせた1 ヶ月に感謝し、新しい月も無事に過ごせますようにと祈るのです。

過ぎた時間に感謝し、新しいスタートを祈祷してもらう。月に1日だけしか受けることができないからこそ、やりなおし祈祷は、「新しいスタートをきる」「何かを新しく始める」「何かをやりなおしたい」と思う人の後押しをしっかりしてくれるのでしょう。誰でも受けられる、少しスペシャルな神事です。

新しい道はいつだって見つけられる

もう一度だけでいい、やりなおせたら、と思うことは現代の私たち誰にでもあります。そんなときに「神頼み」で背中を押してもらう。ある意味うじうじ悩むよりも有効な方法ではないでしょうか。

神は人類の存続には欠かせない存在です。キリスト教しかり、イスラム教しかり。人は神に祈りすがることで人生の荒波を越えてきました。八百万の神を信仰する神社は日本の文化であり誇りでもあります。

単なる神頼みと思うなかれ。一人で海に漕ぎ出した阿迦留姫命(アカルヒメノミコト)を思い浮かべて、まずは参拝するだけの一歩だけでも踏み出してみてはどうでしょうか。今まで閉じていた扉がすんなり開くかもしれません。

姫嶋神社公式ホームページ
https://himejimajinja.wixsite.com/himejimajinja

書いた人

インターネット黎明期よりIT業界にてさまざまな業務に関わる。多くのWEBメディアやコンテンツ制作を経験したことからライターに。 現在はオウンドメディアにおけるSEO支援に関わる会社員でもある。過去にオランダに四年、香港に三年半生活した経験があり、好奇心が尽きることがないのが悩み。 プライベートでは普段から着物を愛用し、普段着物研究家を自称。日常で着物を着る人を増やしたい野望をせっせとSNSなどで発信中。美味しいお酒に目がない。https://www.daily-kimono.tokyo/