ご飯が美味しくなる究極の飯椀誕生! 雑誌『和樂』2020-2021年12・1月号の「和樂の逸品」で、瞬く間に完売した「KORIN応量器(おうりょうき)」。アンコールの声にお応えして、今度は使いやすい飯椀をつくりました。今回も、手がけたのは輪島の漆芸集団「彦十蒔絵(ひこじゅうまきえ)」。上質な欅(けやき)の木地に、黒と本朱の漆があしらわれ、さらに尾形光琳を彷彿させる、流水文様が漆で描かれています。その名も「KORIN飯椀」。2021年9月1日より販売スタートです。今回はその全貌と製作過程をご紹介。360度に描かれた流水紋は、向きによって表情がさまざまに変わるから、毎日の食事がより楽しいものとなりそうです。
まずは商品をぐるっと紹介
KORIN飯椀は2色展開。白漆の文様が入った黒のお椀と、黒漆の文様が入った本朱のお椀です。360度描かれた流水紋は、黒、本朱どちらも同じ。向きによって雰囲気が変わるのがわかります。
黒
黒の椀の内側は、「うるみ」という、本朱とは違う墨がかった赤を使い、黒漆と調和させました。
本朱
本朱は黒漆に松煙を蒔き、マットに仕上げました。KORIN飯椀にあしらわれた流水紋は、躍動感にあふれ、水の勢いや、地球の生命力すら感じさせます。
商品スペック
商品名:彦十蒔絵×和樂「KORIN飯椀」
価格:各¥51,000(税込)
職人さんの丁寧な手仕事を感じる製作過程
KORIN飯椀の製作過程をご紹介します。今回ご紹介できるのはほんの一部。一部をのぞいただけでも、圧倒的な技術力と職人さんたちの丁寧な手仕事でひとつひとつ製作されていることがよくわかります。こんな器でご飯が食べられるなんて、贅沢すぎる……!
1.木地を固める
木地は欅。木地の動きを固めるため刻苧漆(こくそうるし)を塗り、木目をけば立たせます。生漆を塗った後は、木地の木目がけばたつのでザラザラに。
2.木地を磨く
刻苧漆によってザラザラになった木地の外側と内側を、ろくろ目を生かしながら研ぎをかけ、なめらかにしていきます。
3.布を着せる
木地の縁や高台(こうだい)に布を着せ、布を着せた部分とお椀の段差を滑らかに磨いていきます。
4.肉付けと形を整える
布を着せたお椀の縁と高台は、肉付けをして形を整えていきます。輪島の地の粉(じのこ)入りの漆を塗って研ぐを繰り返すことで、使用した際に欠けやすい部分の補強にもつながります。
5.下地付けをする
椀のろくろ目が消えないように、錆漆(さびうるし。砥粉と漆をまぜたもの)で下地付けをしていきます。その後、水研ぎで形を整えます。
6.中塗りをする
中塗り工程用の漆をつくります。KORIN飯椀の中塗りの漆は、輪島産の天日黒目漆に松煙(しょうえん)を混ぜたものを使用しました。中塗りの漆を塗る、研ぐ、を3回繰り返します。
7.上塗りをする
中塗りが終了したら、上塗りへをしていきます。刷毛やヘラを使いたっぷりと漆を塗っていきます。上塗り後は「湿め風呂」と呼ばれる場所に保管し、漆が固まるのを待ちます。
8.絵付けをする
下絵の和紙を椀に付け、立体的に見るとどうなるかを確かめながらデザインしていきます。