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読み物
2021.12.27

華やかな平安の襲を現代風にまとったら?『源氏物語』の世界をイメージしたストールとあづま袋ができました♡

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京都・伏見において、天然の染料を使った古代染(こだいぞめ)を行う「染司(そめのつかさ)よしおか」。5代目の吉岡幸雄(よしおかさちお)さんは、日本の伝統色の研究者としても知られ、平安時代の王朝貴族の衣装「襲」についても、深く調査されていました。
なかでも古典文学の傑作『源氏物語』に描かれた、四季折々の色彩に惹(ひ)かれ、染色で再現したプロジェクトは、吉岡さんの半生をかけて達成された偉業。
この美しい色彩を、もっと身近に知ってもらえるよう、実際の著述をもとに、日常使いできるコレクション「Color of Genji」をコラボレーションしました。

その第1弾として、シルクのストールと、麻のあづま袋を発表します。
1000年の時を超えて蘇(よみが)える『源氏物語』の色の世界を、お楽しみください。

平安時代の衣装を、伝統的な天然染めで再現!

紫の上をイメージしたシルクストール。光源氏が最も愛した女性にふさわしく、気品あふれる紫と赤の襲を贈った

あでやかな色彩が織りなす『源氏物語』の世界。この目で確かめてみたい……!

今回再現したのは、『源氏物語』第22帖「玉鬘(たまかずら)」の衣配(きぬくばり)のシーンに登場する襲の色。

光源氏が女君たちに、新年用の晴れ着を配っている。右に座るのが光源氏、左上が紫の上。『源氏物語画帖「玉鬘」』(部分)土佐光吉 掛け軸 安土桃山時代(17世紀初期)メトロポリタン美術館

染司よしおか『源氏物語』を色で読み解いた「染司よしおか」の偉業とは?

襲(かさね)とは何か、ご存じでしょうか。
平安時代中期ごろに生まれた、幾重にも重ねて身につけた貴族たちの衣装のこと。いわゆる「十二単(じゅうにひとえ)」もそのひとつです。

「染司よしおか」は、植物など天然の材料を使い、昔ながらの技法で染色をする、江戸時代から続く工房。その5代目であった吉岡幸雄さんは、染色家としての活動の傍ら、日本の伝統色の研究にも取り組んでいらっしゃいました。奈良東大寺、法隆寺などに伝わる天平時代の衣装を、植物染料によって完全再現した大プロジェクトは、現在でも多くの人に知られています。
 
そんな吉岡さんが魅了されていたのが、平安王朝の襲の色。染色家として、かつての染師たちがどのような仕事をしていたかを、古典文学を読んで研究されたそうです。特に『源氏物語』に出てくる、臨場感あふれる豊かな色の表現に触れ、当時の人々の色彩感覚に驚嘆したとか。四季が織りなす麗しい風景を衣装の色で表現する、紫式部の見事な描写に感銘を受け、染色法や素材などを探究。全54帖のなかに描かれている368もの「源氏の色」染色、発表し、それをまとめたのが2008年の著書『源氏物語の色辞典』です。

平安の色彩が目でわかるバイブルです!

吉岡幸雄さんが、生涯をかけて研究した襲をまとめた著書『「源氏物語」の色辞典』。ここから配色をセレクトし、ストールとあづま袋にした。『王朝のかさね色辞典』は、文化9(1812)年発行の古書『薄様色目(うすよういろめ)』をもとに、色を再現した。ともに吉岡幸雄著、紫紅社刊

『源氏物語』は架空の物語。しかしながら紫式部が、実際に目にした風景から生み出した表現力と、吉岡さんの功績により、現代においても私たちは、平安時代の色を目の当たりにすることができるのです。そう考えると、なんとロマンにあふれた研究なのでしょうか……!

今回「染司よしおか」との取り組み「Color of Genji」では、『源氏物語』第22帖「玉鬘」に登場する「衣配(きぬくばり)」の場面に記された4人の襲衣装をモチーフに、ストールとあづま袋を製作しました。衣配りとは、位の高い男性が、新年のために女君(おんなぎみ)たちに晴れ着を配る習わしのこと。紫の上、明石(あかし)の姫君、玉鬘、花散里(はなちるさと)に贈られた襲の色を、現代的に再解釈しています。

平安の色と色が重なり合う美しい様を、普段の生活に取り入れるなんて、とてもしゃれていませんか。
そして天然染めとは思えない、鮮やかさにも注目。日本人の色彩に対する審美眼が、いにしえよりいかに優れていたのか。それは、感動すら覚えるほどなのです。

美しいグラデーションと羽衣のような透け感が魅力 シルクストール

透け感のある正絹(しょうけん)を使って、紫の上と、明石の姫君の襲をイメージしたストールをつくりました。適度なボリュームはありながら、軽やかな風合いなので、一年中活躍させることができます。

紫の上は紫と赤、明石の姫君は桃色と赤の組み合わせですが、こだわったのは染める分量と場所。白い部分を中心から少しずらすことで、首にくるりと巻いたときに、2色がほどよいバランスで重なるのです。

素材が透けるので、色同士が混ざり合って見えるのも、天然染めの新しい楽しみ方といえそうです。

紫の上

紅梅(こうばい)のいと紋(もん)浮きたる葡萄染(えびぞめ)の御小袿(こうちぎ)
今様色(いまやういろ)のいとすぐれたるとはかの御料
–紫の上

紫の上には、紅梅の模様が浮いた紫色と、当時の流行色であった濃い紅色の衣装が与えられたと、吉岡さんは解釈。紫は、本来桃色を染めるコチニールの媒染を、途中で鉄に替えて紫に発色。赤には茜を使用。

明石の姫君

桜の細長に、
艶つややかなる搔練(かいねり)とり添へては
姫君の御料(れう)なり
–明石の姫君

幼い明石の姫君に似合う、かわいらしい配色。桜の色にはさまざまな説があるが、吉岡さんは桃色と赤の濃淡で、桜の花を表現。今回はコチニールと茜(あかね)で、親しみやすい色調にアレンジ

人気のエコバッグをビビッドな襲で表現 リネンあづま袋

鮮やかな色彩が印象的! レジ袋の有料化に伴い、今や必須となったエコバッグですが、こんなあづま袋を持って出かけたら、気分も高まるのではないでしょうか。

こちらは、玉鬘と花散里の襲の色を、それぞれ麻の布に染め、縫い合わせています。取っ手の部分は自分で結ぶので、ほどいてたためば、かさばらないのも優秀です。これほどに鮮明な色が、天然染めで叶うのも意外ですが、平安時代の配色がモダンであったことも、驚きです。

玉鬘

曇(くも)りなく赤きに、
山吹の花の細長は、
かの西の対に
–玉鬘

玉鬘に与えられたのは、はっきりした赤と、山吹の花の色の衣装と、吉岡さんは想像。それを赤は茜、「山吹」=黄色は刈安(かりやす)で、モダンに再現している

花散里

浅縹(あさはなだ)の海賦(かいふ)の織物、
織りざまなまめきたれど
にほひやかならぬに、
いと濃き搔練(かいねり)具(ぐ)して夏の御
–花散里

「浅縹」とは、薄い藍色のこと。やわらかく練り、砧(きぬた)で打ってツヤを出した絹を「搔練」と呼ぶが、紅花(べにばな)で赤く染めた色を指すという説もあり、今回は相性のよい桃色を加えることに。藍とコチニールを使用している

あでやかな色彩が心浮き立つ 「Color of Genji」コレクションをおさらい

平安時代に衣装として身につけていた色の組み合わせを、日常使いに!
新年、そして来る春の気持ちを汲んだ明るいカラートーンはいつもの着こなしを盛り上げてくれそうです。

Color of Genji 正絹ストール

商品番号 29202-001-01 明石の姫君(桃×赤)
商品番号 29202-001-02 紫の上(紫×赤)
各¥24,200(税込)
約70×180㎝、約25g。絹100%。洗濯はデリケート衣料用中性洗剤で手洗い。絞らずに干してください。アイロンは中温で当て布をしてください。日本製。
※色の出方やサイズ、重量に若干の個体差が生じます

紫の上

紫だけだと渋い印象だけど、ほんのり入った赤が、口紅のような効果を。マスク時代にぴったりの逸品。※画像はイメージです。実物と色が異なる場合があります(以下同)

明石の姫君

桃色の分量が多い「明石の姫君」は、肌映りがよく、印象もほがらかに。桃色〜赤のグラデーションも自然

Color of Genji  あづま袋

商品番号 29202-002-01 玉鬘(黄×茜)
商品番号 29202-002-02 花散里(水色×桃)
各¥13,200(税込)
約縦30(バッグ本体の中身が入るところまでの高さ)×横40㎝、約75g。麻100%。マチなし。洗濯はデリケート衣料用中性洗剤で手洗い。絞らずに干してください。アイロンは中温で当て布をしてください。日本製。
※色の出方やサイズ、重量に若干の個体差が生じます

花散里

暖色と寒色の組み合わせなので、幅広い洋服と相性がよさそう。水色が入っているので、今から夏まで大活躍

玉鬘

手にするだけで元気がもらえそうな、快活な配色。赤と黄色、どちらを表面にするかで印象が大きく変わる

染司よしおか

そめのつかさよしおか/江戸時代から続く染屋で、天然の材料を使い、昔ながらの染色方法にこだわる。当主は6代目の吉岡更紗(さらさ)さん。

【京都店】京都市東山区西之町206-1
☎075・525・2580
https://www.sachio-yoshioka.com

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人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。