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2024.07.18

古の巴里に想いを馳せて。時代を超えて愛される、アンティークとの出逢い【原 由美の愛する「和」のひととき】

モデル、苔玉講師として活躍されている原 由美さん。第五回となる今回は、骨董との出逢いに繋がるパリの蚤の市での思い出を語っていただきます。
文・原由美

パリの蚤の市との出逢い

40代になった頃、仕事もスローになり時間にゆとりのできた私は、パリに住む友人に会いに度々パリを訪れるようになった。

車を運転する彼女は、毎日のように色々なところへ連れて行ってくれた。
ほとんどのお店がお休みになる日曜日は、彼女の夫も連れ立って、週末にだけ開催されるという蚤の市へ。
蚤の市、いわゆるアンティークの品物が並ぶお店をじっくり見たのは、その時が初めてだったと思う。


まずは常連のアンティークグラスのお店に行くのがお決まりのコース。
そこにはバカラやラリックの年代物がずらりと並んでいた。

シンプルなものが主流な現代に暮らしていると、デコラティブな形だったり、繊細な模様の入ったりしたグラスを日常に使用していた生活様式は、まるでお伽話の世界。

どんなインテリアの中に暮らし、どんなファッションの人達が愛用していた物なのか。
そこからどういう経緯を辿って今ここにやってきたのだろうか…
想像するだけで時空を越えたかのような、何とも不思議な感覚になった。

蚤の市には、ほかにもカトラリーだけを扱うお店やリネンの専門店、照明に特化するお店などなど、多種多様なアンティークが並んでいた。

唯一無二の”宝物”に魅了されて

それまでの私は、昔の物は今の物と比べると品質も劣っていて、デザインも古めかしいものと勝手な想像をしていた。

そんな想像とは裏腹に、純度の高い銀でできたカトラリーは長年使い込まれ、新品にはないいぶし銀の輝きを放っていた。
リネン製品は、新品ではあまりお目にかかることのないような地厚で、100年、いやそれ以上持ちそうなしっかりした生地のものがたくさん並んでいた。

ちなみに、当時蚤の市で見つけた一番のお気に入りは、小ぶりなワイングラス。
ナポレオン時代のもので、店のご主人がグラスを指で弾くとカォ~~~ンと響くロングトーン。

その音色が何とも心地よく、絶対に連れて帰りたいと思い即決して購入。
頑張った自分にご褒美という時には、決まってこのグラスを取り出した。

蚤の市は、見たことのないお宝に出会える場所。
最初は物見遊山な気持ちで行ったけれど、パリに行くと必ず訪れる場所になったのだった。

アンティークの楽しみは和の世界へ…

友人に導かれパリで出逢ったアンティーク。時代を越える魅力の虜になった由美さん。
この出逢いが、日本へ戻ってから「和」の世界をさらに広げてくれることとなるのです。

続きは次回、後編をお楽しみに。

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原由美

原由美(モデル/苔玉講師) 数多くの女性誌・広告・CMなどで幅広くモデルとして活躍。 苔玉の魅力にひかれ、苔玉講師としても自宅でプライベート方式の教室・不定期でワークショップなどを行っている。
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