新幹線口から5分、驚きと発見のある和食の名店
-文/和樂スタッフ石塚晶子(食の世界に精通。日本文化全般も担当)-
京都駅八条口近くにある和食の店「燕」。カウンターのみのシンプルモダンなつくりで、ちょっとカフェ風にも見えるが、料理はおもしろい。ここではご主人の田中嘉人(よしと)さんが、思いがけない食材の組み合わせや、和食ではあまり使われない食材の新しい姿を見せてくれる。たとえば、定番になっている鴨とトリュフとねぎのそば。普通は山椒の粉がかけられるところだが、その代わりにトリュフが香り、今までにない相性を見せる。
グアンチャーレ【ぶたの頰肉】の西京焼(さいきょうやき)というのもある。うまみと味がのった肉は、しっとりと焼き上がっている。この調子だと、西京焼は世界進出できそうだし、えびいもの唐揚げも栃尾(とちお)の油揚げも、海外で人気になる日は近いのではないかと妄想してしまう。
田中さんは京都生まれ。京都の料亭、ニューヨークの精進料理店を経て、この店へ。ワインに合った料理も得意で、これからの日本の料理が明るく感じる。
厨房から料理を出す田中さん。カウンターには10席しかないので、予約したほうが確実だ。
新幹線に乗って帰る人には、本当にありがたい立地でもある。京都駅から離れた所で食事をすると、駅までの渋滞が心配だ。桜や紅葉の時季に思いがけない混雑に巻き込まれて、手に汗を握った人も多いのではないだろうか?「燕」は京都駅八条口まで徒歩5分ほどなので、そういう心配はない。もちろん、飲みすぎなければの話。