昼間たかしの読み物

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旅と食
街の綺譚や人物を記録し続けた謎多き男。郷土史家、岡長平を探す旅

図書館でしか見かけない、あの特徴的な台車。三段の平らな面と車輪のついた、あれ。商品名だとブックトラックというらしい。 それに積まれて運ばれてきた茶色い表紙のスクラップブック。おそらくは長いこと誰も開いたことのないページを慎重に繰りながら、まだ誰も知らない発見があることを願った。 誰もわからない岡長平 「おっしゃる通り、本人は自分の事は残していないようです」 そう記されたメールに、手詰まりを感じた。今年の三月にここに書いた、岡山の郷土史家・岡長平のこと。 その著書に偶然出会って以来、折に触れては、全国でも類を見ない街の綺譚や人物を記録し続けた、この人物のことを書いてきた。 けれども、岡長平がどう […]

旅と食
冴えない男たちのメシがブランドになるまで。なぜB級グルメは定番になったのか?

まだ東京が今よりもずっと汚かった1970年代の中頃。夕暮れの新橋に気取ったやつなど、一人もいない。つい数年前まで、闇市のままだった駅前広場のあたりには、ようやく話がついたのか下の方を白い格子の壁が覆うビルになった。それでも、ガード下のほうに回れば風景は相変わらず。 広場には早足で改札を目指す者もいれば、たむろする者も。ドブねずみ色のスーツで煙草を吸いながら家路につく者。今日はどこの居酒屋に入ろうかと相談する者。麻雀の約束を家族に電話でどうやって誤魔化そうかと考えあぐねている者……。 「なあ『シクラメンのかほり』聞いた?」 「最近のじゃ『襟裳岬』のほうが好きだな」 「映画でも見ようか」 「今週の […]

芸能と文化
美少女になりたいおじさんたちへの福音。バ美肉からVR風俗へ。それは現代の衆道なのか

ママが買ってきたから適当に着ているとはいっても、わざわざ表裏から袖口まですべてが深海魚図鑑みたいな魚の絵で埋め尽くされた長袖シャツを選ぶなんて! そこに見えるのは、親から子へと受け継がれた言葉では説明できないセンス。ボクはそういうのは嫌いじゃない。 だって、ちょっと遠慮がちに待ち合わせ場所にやってきた〈カノジョ〉を、そのシャツがとてもセクシーに見せていたんだから。 取材の始まりは1万円札30枚に震える 〈カノジョ〉に出会う少し前、ボクは秋葉原のパソコンショップにいた。平日午後の客の少ない店内。 声をかけてきた店員が「研修中」という腕章を付けているのには、最初ちょっと不安な気分になったけど、要望 […]

芸能と文化
誰のためでもなく描く。自分のために〈春画〉を描く男、エル・ボンデージの人生60年(を、越えた)

いま、日本文化も大きな試練の時を迎えているのだと思う。いわずと知れた新型コロナウイルスの流行によってである。 ボクが小さな机をひとつ借りて、原稿を書きにいっているフロアのビルから10分程歩いたところに歌舞伎座がある。 散歩だとか、銀座や有楽町界隈で取材があるたびに通る歌舞伎座の前は、今年の初めまで人にぶつからないように歩くのが大変だった。 上京した頃、1990年代の初めの歌舞伎座は、近年ほどの賑わいはなく、ふらっと立ち寄って一幕見をすることもできた。 それが、建て替えの頃にはすっかり国内外から人が訪れる観光地になって、隣にある立ち食い蕎麦屋も、様々な国の言語が飛び交い、いつもごった返していた。 […]

芸能と文化
日本軍最後の死闘の地、虎頭要塞。戦史を通じて考えるコロナ禍

「今の子供は戦争を天災かなにかだと思っているんですよ」 数年前、都内の小学校教員からそんな話を聞いた。2018年から始まった小中学校での道徳授業の教科化(中学校は2019年から)によって導入された教科書に関する集会に出席した時のことである。教科書が一種類増えるという特需にあって、教科書会社各社は自社の教科書を採択してもらおうと必死だった。けれども、いったいなにを題材にするかは皆目見当もつかず、試行錯誤が続けられていた。そうした中には、戦争……太平洋戦争の空襲体験などを綴ったものも多く見られた。けれども、そこに記されている文章には、どこか違和感を拭えなかった。 体験談を扱っているのに、なにか遠い […]

旅と食
そうだ秘境、行こう。片道約5時間半、トイレ休憩たったの3回。日本最長の路線バス旅!

「あの〜うちに泊まられたことはありますか?」 予想していなかった問いかけに、ちょっと言葉に詰まる。瞬間脳裏に浮かぶのは、ここで「はい」とウソをついたほうがいいのかどうか。もしかすると、一見さんはお断りなのかもしれない。いやいや、ここでウソをついて切り抜けたところで、すぐにボロは出てしまうだろう。なにしろ、これから我が身一つで泊まりにいくのだから。   だから「いいえ」と答えると「ああ、そうですか」で話は終わった。名前と電話番号を尋ねられて「では、お待ちしています」と。 これが日本最長路線バスの旅の始まりであった。 和歌山をめざすために奈良へ 奈良県は橿原市(かしはらし)の近鉄線大和八木(やまと […]

旅と食
古代日本ミステリー!弥生時代に3000人を引き連れ全国各地を訪れた?謎の仙人、徐福伝説

「池を泳いでいる鯉の中から、金色の鯉を見つけることができれば幸運になれるんですよ」   そんなことを教わって、さっそく池を覗いて見るとそれらしき鯉が泳いでいた。 「見つけましたよ」   そう指さすと、嘆息された。 「あれは違いますね」  金色と黄色、いったいどう違うのかよくわからなかった……。   和歌山県は紀勢本線新宮駅。少々南国ムードのある駅前から見える風景には知らない人にはちょっと異質なものが混じる。中国そのものの楼門がそびえているのだ。 公園の名は徐福公園という。 始皇帝が求めた不老長寿の秘薬 徐福(じょふく)は二千年以上も前に中国にいた不思議な人物だ。その存在は日本古代史の謎である。 […]

旅と食
いや、桃鉄の都市はみんな実在してるよ!君は「新宮」を知っているか?いざ途中下車の旅!

ここは面白い街に違いない。 取材で初めての街を訪れた時にそう感じるのは、初めの一歩を踏み出した瞬間である。 そこそこの規模の街だと、駅前に観光案内所があるから、そこで一人目と話をした瞬間である。 和歌山県は新宮市を訪れた時は、まさにそうだった。 東京からは新幹線や特急を乗り継いでも、九州よりも遠いいわば最果ての地。でも、この街の名前は結構知られている。 『桃鉄』では必ず立ち寄る有名な都市 「新宮にいったんですよ」 そういうと10人のうち半数くらいはこう答える。 「ああ、いったことはないけど知ってる」 そう、桃鉄……『桃太郎電鉄』をやったことがあるから。スーパーファミコンからプレイステーションへ […]

芸能と文化
早すぎた「トキワ荘」の天才・森安なおや。漫画家としての壮絶だが羨ましい人生に迫る

藤子不二雄Ⓐの『まんが道』。 1970年に『週刊少年チャンピオン』に連載された「あすなろ編」にはじまり、2013年に続編『愛…しりそめし頃に…』が完結するまで43年にわたって描かれた半自伝的作品。 フィクションの要素が多いながらも、藤子不二雄(ふじこふじお)両名をモデルとした満賀道雄(まがみちお)と才野茂(さいのしげる)の歩む青春が、戦後草創期のマンガと共に描かれていく。マンガ家ならずとも、なにかの志を持って上京した人には欠かせない、生涯何度も読み返す作品だろう。 誰もが成功するわけじゃない『まんが道』 でも『まんが道』は単なる成功の物語ではない。今なお伝説として語られるトキワ荘に集う若きマン […]

芸能と文化
ピンチをチャンスに変える方法とは?吉田松陰と大杉栄の獄中生活に学ぶ、人生を変える事例

コロナはチャンスだ。 不謹慎とは重々承知した上でと断っておくが、ボクは密かにほくそ笑んでいる。 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が約1ヶ月間の延長。あちこちで悲鳴が聞こえるが、今はただ外出を控えて自宅に籠もるのが最良の方法だろう。医療関係者や外に出なければ仕事にならない人たちに感謝しつつ、今できることは家に籠もることに尽きる。 チャーシューを茹でてるばかりじゃない、この情勢 この外出が制限された息詰まる時間をどうするか。ボクの界隈では肉の塊を買ってきてチャーシューを作り始める人がなぜか多い。 料理をしたりネットで映画やドラマを観たり、気分が落ち込まないように、気分転換を図ることは […]

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