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2018.10.10

東京藝大と小学館がプロデュースする上野の新アートスポット誕生

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東京藝術大学と小学館が一緒になって、上野に新たなアートスポットを誕生させました。その名は「藝大アートプラザ」。もともと東京藝大内にあったアートプラザ(2005年開設)を大リニューアル。この度、2018年10月2日火曜日にグランドオープンとなりました。

上野スポット東京藝術大学美術学部の図書館棟の1階にある「藝大アートプラザ」。大学構内だが、もちろん誰でも訪れることができる。

「藝大アートプラザ」は、東京上野の東京藝術大学美術学部図書館棟の1階にあり、東京藝大の教授、准教授、助手などの先生、大学院生、学生、そして卒業生の作品を展示販売するほか、様々な企画展を開催していく芸術の発信基地。

上野スポット上野公園から上野桜木町方面に歩くと東京藝術大学のキャンパスに。手前にみえるレンガの建物は東京藝術大学美術館陳列館。現在の美術館本館ができるまで、メインで使用されていた展示室。この陳列館の向こう側に「藝大アートプラザ」がある。

東京藝術大学の先生方は、教育者であると同時に日本を代表する芸術家集団でもあります。ですからその作品は芸術作品として、これまで美術館や個展で拝見することはありましたが、購入する機会は限られており、少し遠い存在でした。それがこの「藝大アートプラザ」の誕生で、“拝見するアート”から、“購入もできるアート”へと、芸術がぐぐぐーーーんと身近になった感じがします。

上野スポットこんなにカワイイ作品にも出合える! 是非自宅に飾りたくなる。2011年に彫刻専攻で修士課程を修了した東條明子さんの作品。

東京藝術大学は、美術と音楽における、日本最高峰の教育機関ですから、当然そこに集う大学院生や学生は芸術分野のエリート中のエリートだし、次世代のアートシーンを牽引する存在です。既に学生のうちからさまざまな賞を受賞し、アーティストとして著名な学生もいると聞きます。

上野スポットデザイン科3年在籍の大島利佳さんの作品。大島さんはいくつもの受賞歴があり、2018年には、美術新人賞デビュー2018グランプリを受賞している。/span>

これからますます活躍の幅が広がっていきそうな、そんな若手芸術家たちの作品も、このアートプラザでは購入ができるのですから、なんだか心がワクワクとしてきます。

ひょっとしたら、購入した美術作品の作者が10年後、20年後に、世界的アーティストになっているかもしれない。購入した美術品が大変な価値をもつようになっているかもしれない。そんな楽しみもありますし、自分が「いい!」と思った学生さんたちを、購入代金によって支援していることにもなる・・・。それは、だれにでもできる、若き芸術家へのささやかな「patronage(パトロネージ)」でもあるのでしょう。

日比野克彦さんや箭内道彦さんが全面協力

この「藝大アートプラザ」プロジェクトは、宮田亮平前学長時代に構想がスタート。現澤和樹学長、日比野克彦美術学部長、さらには樹木希林さんと内田裕也さん出演のテレビCMでも話題を集めたクリエイターの箭内道彦准教授が全面協力。10月2日のグランドオープンの式典にも揃って出演されました。

上野スポットオープン記念式典に出席された、向かって右から箭内道彦准教授、相賀昌宏小学館社長、澤和樹東京藝術大学学長、日比野克彦東京藝術大学美術学部長。

澤学長は、「藝大はこれまで一般からは遠い存在だった。これからは才能ある学生たちと社会が接点をもてるようにしたい。このアートプラザが開かれた藝大の玄関口になるように期待している」という趣旨のご挨拶をされました。

上野スポットオープンにあたって、ご挨拶をされる澤和樹学長。「藝大アートプラザを、世に開かれた藝大の玄関に」と抱負を語られた。

「藝大アートプラザ」のロゴデザインをされた日比野学部長は、「東京藝術大学の歴史は130年。130年もの歴史があるとも思うし、たかだか130年という思いもある。伝統を受け継ぐことも大切だけれど、新しいことをどんどんやっていきたい」とご挨拶。一方、藝大アートプラザのCM及びポスターを制作された箭内准教授は「アートプラザは藝大のいわば出島みたいなもの。キレキレの出島にできるかどうか、“広告”というものの力を使おうと思った。本気で遊んでいる姿を、篠山紀信さんの写真でポスターにしました」と、舞台裏をお話しくださいました。

上野スポット気鋭のクリエイター、箭内准教授によってつくられた「藝大アートプラザ」のポスター。撮影は篠山紀信。「本気で遊んでいる姿をみせよう」としたと、箭内准教授。

芸術作品をもっと身近に! 楽しいが詰まったアートプラザ!

「藝大アートプラザ」内は、東京藝術大学美術学部の多くの学科が商品展示棚をもっていて、それぞれの学科所属の先生方、大学院生、学生たちの魅惑的な商品(=もちろん作品でもある)がいっぱい。工芸科のコーナーには、斬新な香合や棗などの茶道具があったり、漆のお猪口があったり。生活の中で芸術を楽しめる、そんな商品にたくさん出合えることでしょう。

上野スポット右上が蒔絵、螺鈿が施された香合、左上が棗。伝統の技法を駆使しながら、現代アートのような存在感がある。“身近に使用できる芸術”に、ここでは出合える。

商品(=作品)は随時補充されますし、様々な企画展も開催予定。今後は「藝大と漫画」や「藝大と子供たち」など、意欲的な企画が予定されているそうです。

上野スポット企画展示のスペース。10月2日のオープン直後は日本画の企画展を開催。

また、日比野学部長デザインの「藝大アートプラザ」のロゴが入った、手帳、ノート、筆記具、ビスケットなど、オリジナル商品も充実。ちょっとしたお土産物探しにも最適です。

上野スポット日比野克彦美術学部長作成の「藝大アートプラザ」のロゴが箔押しされた、オリジナルの「モレスキン」のノート。他にもロゴがデザインされたビスケットなども。パッケージのデザインは、日比野克彦美術学部長。

上野スポット

昨今、大美術ブームで、上野の美術館はどこも盛況。人気の美術展も目白押しです。そんな美術展鑑賞に疲れたら、東京藝術大学の「藝大アートプラザ」にちょっと脚を伸ばしてみてください。営業時間は10時から18時まで。定休日は月曜日(月曜日が祝日の場合は、翌日火曜日が定休日に)。アカデミックな大学の空気、未来のアーティストたちが発散する芸術制作への熱い息吹の中、きっと、あなただけのかわいい“芸術品”がみつかるはずです!

文/橋本記一

◆藝大アートプラザ
住所 東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部内
公式サイト