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読み物
Craft
2019.09.10

手工芸品の楽しみ方。京都・開化堂のおしゃれな茶筒「お菓子缶」でカフェタイム。

この記事を書いた人

もうひとつの新商品「お菓子缶」を追いかけて「Kaikado Café」へ

京都・老舗の新商品として紹介した開化堂の「Tea Bag缶」について(その話はこちらの記事に)ショップでお話をうかがったわけですが、実はもうひとつ、開化堂の新商品でチェックしたいものがありました。が、しかし。お目当てのものはショップのほど近くにある「Kaikado Café」でしか実物を見ることができない。ということで、さっそくそのカフェにハシゴすることにしましょう。

わたしがどうしても見たかったもの。それは、、、トップ画像の「お菓子缶」!

2019年4月に放映された「カンブリア宮殿」に6代目・八木隆裕さんが出演し、開化堂の今を伝える番組を見ていたときに画面にチラッと写ったこの「お菓子缶」。和樂編集部の食い気担当としては見逃すわけにはいきません。甘いもの好きなら、一度は食べたいアフタヌーンティーセット、、、ですよね? それを開化堂がつくってくれたなんて! まずは開化堂がカフェを運営することになったストーリーからご案内いたしましょう。

カフェの建物は市電の車庫をリノベーション

河原町通りに面した古くて味のある建物、こちらが「Kaikado Café」。2016年5月の開店以来、けっこうな頻度でわたしは足を運んでいます。京都中のカフェ・喫茶店を見てもここまで天井が高い空間はないのでは? とっても気持ちがいいんです。

正面向かって左側が一段と天井が高くなっているのは、この部分が市電の車庫だったから。およそ40年前まで京都市内を走っていた路面電車の車庫と事務所を開化堂が引き取り、リノベーションしてカフェに生まれ変わったというわけです。

玄関を入ると(ドアノブにも市電にまつわる仕掛けがあるのですが、それは行ってのお楽しみ!)、壁一面の棚には長く使い込まれた開化堂の茶筒が並びます。経年変化によってブリキ・銅・真鍮の色が渋い色合いに変化しているのが見えますよね? かっこいいなぁ。茶筒の色は毎日使って、手でなでることで変わっていきます。この経年変化こそ、天然素材の工芸品を使う楽しみでもあるんです。

カウンター、椅子はデンマークのデザインチームが担当。壁の一部は元の内装を残したままに。ランプシェードは開化堂の茶筒を想起させる銅製になっています。

日本の手工芸を一堂に会した空間に


注文をするカウンター正面。カフェで提供するコーヒー豆が収納された開化堂の「珈琲缶」が静かに出番を待っています。いつ来ても、ここでうっとり。先の写真のようなすっかり使い込まれた茶筒もいいのですが、日々使い込まれていく過程を見届けることができるのが興味深くて。この景色を眺めたいがために、わたしはこのカフェに来てしまうのかもしれません。オープンから3年でこんなに色が変化するんですねぇ。家庭で使うよりも色の変化が進んでいるのは使用頻度の違いですね。ちなみにブリキと銅、真鍮の中では銅の素材がいちばん色の変化が早いです。画面に映るのは店長の川口清高さん。カフェメニューだけでなく、工芸品にまつわる質問にも飄々と答えてくださいます。

「このカフェを伝統工芸の入り口にしたかった」という6代目・八木隆裕さん。茶こしは、京都の老舗「金網つじ」製、カフェで使われるカップ&ソーサーは宇治の「朝日焼」のもの。木製トレイは「中川木工芸」作…とたくさんの手工芸品がこのカフェに集められました。開化堂も含めて、皆さん手仕事を大事に続けてきたつくり手です。写真右手に見えるショーケースでは開化堂の茶筒のほかにも、ここで紹介した手工芸品が展示販売されています。気軽に見られるところがいいですね。

「お菓子缶」の気になる中身をご紹介

さて、ここでお茶の時間にしましょうか。

お目当ての「菓子缶」が来ましたよ。ふた、開けますね!
「お菓子缶」2,500円(税込・数量限定販売)。ドリンクセットで3,900円(税込)。
缶の中からトレー1段目が顔を出しました。手前に見えるのは京菓子の老舗・鍵善良房の落雁やゼリーなど(取材時は6月だったので涼しげな色合いです)、Groovy Nutsのナッツ各種、チーズ・ガーデンのマンディアン・チョコレートが収められています。

実はお菓子よりもわたしは、お菓子の入った小さな円錐の容器に感動してしまいました。トレーの縁の高さに合わせて小さな缶が6つきれいに収まっている! 茶筒をつくる開化堂の技術がここにも生きてます。

つまみを上に引くと、トレーが缶から引き出せるつくりになっています。下段のトレーにはチーズガーデンのシューバター、京都で大人気のパン屋HANAKAGOのミニミニカヌレ、そして京都に古くからあるあんこの専門店・中村製餡所の「トッピングあんこ」が。この「菓子缶」をデザインしたのは工房に入ってまだ5年の若き女性職人。缶の中にトレーを入れるという突き抜けた発想にびっくり。この缶に好きなだけお菓子を詰めて、アウトドアでお茶をするのもいいですよね。

この中村製餡所のあんこ、小豆のつぶつぶ感がたまらんのです。カフェでいちばん人気の「あんバタトースト」にも使われているんですよ。

工芸だけでなく、口に入るものまで京都のつくり手を中心に「丁寧な手仕事」が集まった「Kaikado Café」。コーヒーは中川ワニ珈琲の豆、紅茶はPostcard Teas Londonの茶葉が楽しめます。日本茶も種類が豊富で、宇治茶以外にもEN TEAの季節のお茶も充実。どうぞ、いろいろと注文してこの空間にある道具を触ってみてください。

手で、気もちを込めてつくられたものは触っていると心がなごむな、用の美ってこういうことなのか、テーブルの上にひとつあるだけでもさまになるんだね、、、。そんな発見から、同時代を生きる工芸のつくり手・食のつくり手に興味を広げていただけたらと願います。

店舗名:Kaikado Café/カイカドウ・カフェ
住所:京都市下京区住吉町352 河原町通七条上る
電話番号:075-353-5668
営業時間:10時30分〜18時30分(ラストオーダー)
定休日:木曜・第1水曜休(ほか、夏季休暇・年末年始休みあり)
公式webサイト:http://www.kaikado-cafe.jp

撮影/石井宏明

書いた人

職人の手から生まれるもの、創意工夫を追いかけて日本を旅する。雑誌和樂ではfoodと風土にまつわる取材が多い。和樂Webでは街のあちこちでとびきり腕のいい職人に出会える京都と日本酒を中心に寄稿。夏でも燗酒派。お燗酒の追究は飽きることがなく、自主練が続く。著書に「Aritsugu 京都・有次の庖丁案内」があり、「青山ふーみんの和食材でつくる絶品台湾料理」では構成を担当(共に小学館)。