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2019.08.25

お気に入りの「道具」がミソ! 岡山で“お茶のある時間”の楽しみかたを発見しました

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村田珠光や千利休など茶人に愛された備前焼の郷であり、日本の茶祖・栄西禅師の生まれ故郷でもある岡山県。江戸中期からは晴れの国・吉備津(きびつ)の肥沃な大地で茶葉を栽培、煎茶だけでなく独特な製法での番茶の生産が続いています。実は茶文化とかかわりの深い土地でもある岡山。どんな“お茶のある時間”が楽しまれているのでしょう。

道具を愛でる岡山茶文化、ここにあり!

うかがったのは、和樂でもおなじみの備前焼窯元の一陽窯。3代目の木村肇さんのものづくり仲間である木工作家の小林克久さんと家具作家の木多隆志さんが一陽窯の工房に集まるというので、愛用しているお茶の道具を持ち寄っていただきました。

驚いたのは、みなさん「お茶の種類にはこだわらない」ということ。煎茶や番茶など日本茶だけでなく、紅茶や中国茶、黒豆茶やそば茶、そしてコーヒーもと、それぞれが好みのものを自由に飲んでいます。

その時飲みたいお茶を、自分の好きな道具で楽しむ

「もともと中国茶も好きで、急須なんかもつくっていたんです。それが昨年末10年ぶりに台湾へ行ったら、茶荘でのお茶の淹れ方なんかが以前よりスッと僕のなかに入ってきて。それもあってここ数か月は中国茶の気分なんです(笑)」と木村さん。

木村さんが自分で使う中国茶用の急須

そんな木村さんの作陶の時期のお茶タイムは、土をいじる合い間です。何時に、という決まりはありませんが、ひと息ついたらコーヒーを煎れたり、工房でさっと抹茶を点てて一服したり、中国茶を何煎も飲むことも。マグカップや抹茶茶碗、急須など、道具は自作の備前焼?

信楽焼の汽車土瓶

「自分の好きな道具を使う、っていうのがいいじゃないですか。こんなふうなものがあったらいいなとか、こんなの使えないかなとか、僕たちつくり手は自分が好きなようにつくることができる。でも、備前焼にこだわっているわけでも自分がつくったものがいいというわけでもないので、愛用しているお茶まわりの道具はいろいろです。この信楽焼の汽車土瓶なんて、テーブルにあるだけでなんだか楽しいでしょ。道具、そして淹れる作業も含めて、お茶の時間を楽しんでいるという感じです」(木村さん)

仕事の合間にほっと緊張をほぐしてくれるお茶タイム

かわいらしいラウンド型のボックスをつくる、木工作家小林克久さんのお茶タイムは3時ごろ。午後のひととき、休憩しながら飲むのは香ばしい風味の黒豆茶やそば茶です。

小林さんの湯飲みは、岡山市内で工房を開く千田稚子(せんだわかこ)さんのもの

「地元の赤磐(あいかわ)市は黒豆の産地。そんなこともあって穀物茶をよく飲みます。そば茶も好きだな。自分で淹れたり妻が淹れてくれたり。緑茶も紅茶もコーヒーも…あぁ、なんでも飲みますね(笑)」と小林さん。自作のハンドル付きシェーカーオーバルボックスに、湯飲み茶碗やガラスの器などを詰めて持参してくれました。その様子がなんとも愛らしい!

小林さん持参の自作のハンドル付きシェーカーオーバルボックス

ひとりで黙々と作業する小林さんのような仕事では、一杯のお茶を飲むほんの数分がとても重要。緊張をほぐしてくれるのは、香りも楽しめるお茶類と、やはり好みの道具なのです。

お茶の時間帯も種類も道具も…それぞれのスタイルで楽しむ

県北部の津山市から、地元の銘菓「千本桜」を携えて一陽窯にやって来たのは家具作家の木多隆志さん。

木多さんの地元・津山「鶴聲庵(かくせいあん)」の千本桜というお菓子。梅肉入りのやわらかな求肥を、サクッと軽い麩焼きせんべいで包んで砂糖蜜をまぶしたもの

「お茶の時間は夜なんです。仕事中は余裕がないから(笑)。夕食後、妻や子供と一緒にほうじ茶とお菓子、ということが多いかな。今回改めて美作番茶を味わってみたけれど、風味が独特でおいしいですね」(木多さん)

土用のころまで茶摘みをせず、枝ごと刈った茶葉を鉄窯で煮出し、そのままむしろに広げて天日干しに。乾燥の途中で煮汁を振りかけること数回。滋味深い美作番茶ができあがります

備前と津山の間に位置する美作(みまさか)市。「太陽の国」と呼ばれる岡山の日の恵みをいっぱいに浴びながら、独特の製法でつくられているのが美作番茶です。そのお茶を淹れてくれた木多さんの急須は「祖父が趣味でつくったもの」とか。金継をあしらった骨董の染付猪口もいい感じです。

道具を囲んで話が弾む。岡山のつくり手たちのお茶タイムは、こうして過ぎていきました。

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急須に茶葉を入れ、沸かした湯を注いで数十秒、お気に入りのうつわに注いでお茶を飲む。そんなふうに道具とともに“お茶のある時間”を楽しんでいる、木村さん、小林さん、木多さん。このお三方と和樂で、いつでもどこでもお茶を楽しめる「DOKODEMO茶箱」をつくりました!

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