ものすごいインパクトですよね…! これ、温泉なんです。
焼きものの里として有名な信楽にある、老舗旅館「小川亭」のたぬき温泉をご紹介しましょう。
128年目を迎える宿
滋賀県甲賀市、JR「信楽駅」前から続く窯元散策路には数十の窯元が軒を連ね、古い町並みや積み上げられた火鉢、あちこちに見える窯場のえんとつなど、焼きものの里らしいのどかな風景に出会えます。
せっかくだからこの散策路の周辺に泊まって、朝にもういちど散歩しようかと、みつけた宿が小川亭です。
窯元散策路の入り口に位置する小川亭は、信楽の街にある数少ない宿のひとつ。本館は1847年につくられた家屋で、初代が買い取り旅館にしました。当地での創業は1891年。現在で5代目、128年目を迎える歴史ある老舗旅館です。
館内は、広間や廊下など、いたるところに骨董品が展示されています。天平時代の貴重な瓦をはじめ、古今の信楽の陶芸家たちによる作品の数々。
館内を少し歩くだけで、いくつも発見があります。
フロントと宴会場は1階、客室と温泉は2階。
9室ある客室は、すべて和室です。全室コンセントとWifiも完備で、ゆったりくつろげます。
近江牛をじっくり堪能
滋賀県の特産品といえば、日本三大和牛の「近江牛」。
新鮮な近江牛をはじめ、地元の食材を使ったお料理と地酒を、信楽焼きの器でいただけるのも、小川亭ならではの楽しみです。
最高級、霜降りの近江牛も贅沢にしゃぶしゃぶで。口に入れた瞬間、すう〜っととろけます。
このほかに、夕食は、ぼたん鍋やきじ鍋といったジビエ料理のコース、朝食には炊きたての土鍋ごはんに焼き魚と蒸し野菜など、プランに応じてさまざまな料理を味わえます。
料理はいずれもお腹に負担のない量。仲居さんの細かな気配りも行き届き、食事もおもてなしも大満足でした。
なんといってもたぬき
この小川亭には、館内のいたるところにたぬきの焼きものが置かれています。
例えば、玄関のお出迎えもたぬきの女将さん。
庭先にある小さなたぬき。
これは小川亭に置かれたたぬきの中でも最も古いものなんだそう。
そして宴会場の前に鎮座した、分福茶釜のたぬき。
ところで、信楽といえばたぬきのイメージが強いですが、なぜだかご存知ですか?
これは、1951年(昭和26年)の昭和天皇の信楽行幸の際に、小旗を持ち沿道に延々と並んで天皇を歓迎する信楽焼きのたぬきが全国に報道され、広まったためと伝えられています。ですから、小川亭の創業した頃から、少しずつ信楽の街に、たぬきのイメージが定着していったといえるでしょう。
これが、たぬき温泉だ!
たぬきとともに、信楽で歴史を歩んできた小川亭。
この宿自慢の温泉が「たぬき温泉」です。
2階には、信楽焼のタイルが美しい大浴場があるのですが、そのさらに上の階に「たぬき温泉」と命名された、2つの貸切風呂があるんだとか。せっかくの機会なので、入浴させてもらうことに。
たまたま夜遅く、人気が少なかったこともあり…ドキドキしながら階段を上がります。
仄暗い階段を上がっていくと…貸切風呂に到着!
貸切露天風呂「狸の腹鼓」の扉を開けて…
浴場へ入ってみると…
!!
巨大なたぬきが!!
こっちを見てる〜〜〜〜〜!!!!!!
たぬきの視線をビシビシ感じながら、恐る恐る湯船に入ってみると、意外にもさらりとした湯質。ナトリウム炭酸水素塩泉が、旅の疲れをじんわりと癒してくれます。お風呂を上がったあとも、浴場からちょぼちょぼと口から湧き出る温泉の音が聞こえて、少し寂しい気持ちでお風呂をあとにしました。
ちなみに、もうひとつの貸切露天風呂「分福茶釜」はこんなかんじ。たぬきのお顔を下から照らす絶妙なライティングに少しだけドキッとしましたが、ゆっくり浸かるうちに、だんだんと視線にも慣れてきました。
信楽散策の拠点にいちおし
古き良き建物に信楽焼の器や骨董、地元食材の料理…信楽のいいところを贅沢に味わえる小川亭。街をじっくり見て歩くなら、旅館「小川亭」を、拠点にしてみてはいかがでしょう? 疲れをほっと癒してくれる「たぬき温泉」も、あなたが訪れることをきっと待っています!
小川亭 基本情報
住所:〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野876
アクセス:
【電車】信楽高原鐵道「信楽駅」より徒歩約10分
【バス】JR琵琶湖線「石山駅」より、終点「信楽」下車 歩約5分
公式サイト:https://www.shigaraki.co.jp/