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Gourmet
2020.01.28

気になるぞ!中華まんの下に敷かれた皮がくっつくあの紙の秘密

この記事を書いた人

寒い冬には湯気の立つようなあったかいものを飲んだり食べたりしたくなります。自宅で食べる鍋料理などもおいしいですね。外出先では「あったか~~い」と表示された自販機のホットドリンクをつい買ってしまいます。また、コンビニのレジ横にあるケースの中で蒸されている肉まんやあんまん、カレーまん、ピザまんなどの中華まんもとても魅力的です。
そんな中華まんに必ずついているのが「紙」。メーカー名や商品名が書かれた「敷き紙」と呼ばれるものです。普段はあまり気にせずはがして食べているものですが、その由来などについてふと気になりました。いったいどんな紙なのでしょうか。中華まん敷き紙製造・販売している大三紙業株式会社の鈴木信也さんに伺いました。

蒸すときに蒸し器にくっつかないようにするための「グラシン紙」

日本ではじめて中華まんを発売したのは中村屋で、1927(昭和2)年のことでした。戦後、1964(昭和39)年に、あずきバーで有名な製菓会社の井村屋が市場に参入。井村屋がアイスクリーム用の冷蔵ケースを冬にも活用できないかと肉まん、あんまんを発売したのです。翌年には、スチーマーを導入。蒸したてが買えることで、中華まんの人気は飛躍的に上昇しました。

大三紙業で中華まん敷き紙を取り扱うようになったのは、40年以上前のこと。いまのような紙が選ばれた詳しい理由は当時の開発者のかたがいないために不明ですが、おそらく経木(薄い木)や他の紙資材より扱いやすく、安全性が高い現在の素材になったと思われるとのこと。

切り離す前の中華まんの敷き紙

中華まんの敷き紙はグラシン紙と呼ばれる紙で作られており、大三紙業が注力している商品のひとつです。この紙は蒸した時にふやけず、中華まん製造メーカーの製造ラインとの適正が高いのが特徴です。

敷き紙にはさまざまなメッセージやイラストを印刷することが可能

また、素材としてのグラシン紙の取扱量は年々増加しており、中華まん以外の用途として他の菓子にも拡大しています。

大三紙業では、中華まん敷き紙に多様な印刷を施すことができるように工夫をしています。また、メーカーが中華まんを製造しやすく、また消費者が食べやすくなる工夫をし、メーカーとも相談、店頭のスチーマー(蒸し器)や家庭のレンジなど、いつでも温かいおいしさを味わえるようにしているのだそう。

中華まん敷き紙にも種類の違いがあり、剥離の強弱をコントロールすることが可能。そのノウハウは残念ながら企業秘密のため伺えませんでしたが、中華まん等の大きさや重量との関係があるようです。

紙によって味に違いは出る?

中華まん敷き紙によって、中華まんの味が変わることはあるのでしょうか?「敷き紙に要求される性能は、中華まん(食品全般)に影響を与えないことが重要であり、味を変えることはありません。ただ、味は変えませんが食べやすい剝離性や、印刷表現によりおいしく見えて、楽しんでいただく効果があれば、作っているわれわれも幸せです」(鈴木さん)また、「今後も高機能化を目指し、日夜研究開発しております。楽みながら食べられる、環境負荷が減るなるなどテーマは多く進化を期待していただきたいと思っております」ともおっしゃっていました。

大三紙業のホームページには、「セパレートグラシン」という食品包装の素材が掲載されています。セパレートグラシンは、主にカップケーキやチョコレートなどの包装用に使われるもの。グラシン紙はこのように中華まん敷き紙を端緒としてさらに広範囲で利用用途が増加しており、他の食品等でも使用したいという相談や開発案件も増えており、食品業界の今後を担う素材のひとつだといえそうです。

セパレートグラシンで作られたお菓子の包装紙

鈴木さんは「敷き紙は何気なく中華まんなどを下から支える存在ではありますが、これがないと美味しく製造できない、きちんとみなさまのお口まで届けられない重要な役目を担っていると自負しております。決して表に出て主張はできませんが『下についている紙』の機能や目的を知っていただければ幸いです」と話してくれました。たしかに、わたしもこれまでなんとなく「紙がある」という認識でしかいませんでしたが、考えてみればいつもそこにあって、時にはではでしく、ときにかわいく中華まんを支えてくれるなんだか安心なものだということに気づきました。そしてお話を聞いていろいろな工夫があることを知り、なんだか捨てるのが申し訳ない気になってくるほどです。

残ってしまう皮 どうしたらきれいとれるの?

ところで、中華まんを食べるとき、敷き紙に少しだけ皮が残ってしまいます。上手にはがす方法はあるのでしょうか?なぜ残る部分と残らない部分があるのでしょうか?「上手にはがすには、食べかたによる違いがあり『これだ!』と言える方法は明示できません」と鈴木さん。しかし、意味深な一言を。「残る部分の有無は、ここだけのお話ですが、弊社や中華まんのメーカーと相談した秘密があります」……。なんと!いやでもそこが知りたい!!そういえば「剥離の強弱をコントロールすることが可能」という話でした。どうやら残る皮の量やくっつき方は、厳密に計算された結果であるもよう。

残ってしまう肉まんの皮……

いろいろ考えながらコンビニに行き、中華まんを買ってきました。出かける前にさまざまな資料を調べたところ、肉まんの皮と敷き紙がついてしまうのは、肉まんの水分がしみ出して、皮と敷き紙の間に水がたまり、紙に強力についてしまうからだということがわかりました。ここにヒントがありそうです。

やっぱり残ってしまったカレー味の中華まんの皮……

肉まんとカレー味の中華まんを買ってきて食べたのですが……。やっぱり皮が残ってしまいました。でも、以前はもっとダイナミックにはがれていたはず。少ししか残らないところに、改良のあとが見受けられるように思えます。そしてよくよく考えてみたら、ぜんぶ簡単にはがれたら、買う時に剥がれてしまって不衛生だから??と思い至りました。うん、たぶんそうだろうな。これで正解でしょうか?

冬になると、ほぼ毎朝わたしは朝食がわりに中華まんを食べます。以前の職場でも毎朝メールチェックしながら中華まんを食べていたので、気まぐれにクリームパンを食べていた時には「今日のはなにまん?」「なにかあったの?」と笑いながら聞かれるほどでした。それくらい中華まんラブなのです。でもその中華まんのなにげなくはがしていた敷き紙にも、さまざまな人の努力や工夫があり、皮の残りかたが変化していることには気づいていませんでした。

全国の中華まん好きのみなさん、敷き紙も中華まんの一部です。食べることはできないけれど、一度じっくり観察してみてください。おいしく食べられる秘密が見えてきて、これまでよりもさらに深い愛情をもって、中華まんをおいしく食べることができるかもしれません。

 

大三紙業株式会社

http://www.daisan.com/index.html

書いた人

岡山市出身、歴史学の博士号をもつ大の歴史好き。レトロという言葉だけでは語れない、戦前の日本文化を伝えたいと思っている。趣味は読書と街歩きと宝塚観劇と漫才で笑うこと。紺野ともという名で詩人もしている。