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2020.02.18

八王子市で生まれた「東京こけし」とは?かわいさの秘密を大蔵木工所の職人に聞いてみた!

この記事を書いた人

日本の伝統工芸品「こけし」。
素朴で可愛らしいデザインに、今では若い女性や海外の方にも人気のお土産品となっています。
もともとは江戸時代に東北地方で発祥し、現在でも東北を中心に生産されているこけしですが、実は東北地方から遠く離れた東京都でもこけしが製造されているのです!
その名も「東京こけし」。
東北地方のこけしとの違いはとは?どこで作られているのか?どんな見た目なのか?気になる東京こけしの魅力について迫ります!

八王子市で生まれた「東京こけし」


「東京こけし」を製造しているのは、東京都八王子市元横山町にある「大蔵木工所」。
現在5代目のご主人・大蔵國宣(くにのぶ)さんは生まれも育ちも八王子ですが、もともとは長野県木曽で3代に渡って営まれ、父である先代が上京したことから八王子に拠点を移したそうです。
同市の夏の風物詩「八王子まつり」で使われる神輿作りに参加したり、高尾山登山のお供となる杖を作ったりしている大蔵さん。
他にも古くからの木工所ならではのお仕事が続々と舞い込んでいる中で、どのようにして「東京こけし」が誕生したのでしょうか。

お客さんからの依頼で誕生


今から30~40年ほど前、奥多摩森林組合からの依頼で、イベントでの実演販売をしていた大蔵さん。
販売方法を模索するうち「好きな形を作ります」というコーナーにすることを思いついたのだとか。
そこでお客さんから依頼されたのがこけしであり、それが現在の東京こけしの礎となったのです。

妻と二人三脚でたどり着いた現在の形


実は、こけし作りを始めた当初は東北のこけしと同じようなものを作っていました。
ところが、「せっかくこけしを作るのだから、東北地方のものと同じではおもしろくない」と感じた大蔵さんは、オリジナルのこけし開発を始めたのです。
1本の木から作るという製造工程、ころんとした丸みのあるフォルム、首に巻かれたネックレス(ハピネスリング)、にっこりとした表情の絵付け。これらの東京こけしの特徴は大蔵さんの木工技術、奥さんの絵付け技術、そして二人のアイデアが重なり合い、ご夫婦でたどり着いたものなのです。

「東京こけし」の特徴


日本人が「こけし」と聞いてイメージするのは、大体は東北地方のこけしのデザインです。
しかし、東京こけしは東北のこけしとは一味違います。

1本の角材から仕上げる

東北地方のこけしは、頭と胴体を別々に作るのだとか。
一方の東京こけしは、1本の小さな角材から頭と胴体を削り出します。
熟練の職人技が成せる技術。

ころんとした丸みのあるかたち

頭も胴体も丸みのあるころんとした形が特徴。
インテリアとして置いていても違和感のない、かわいらしいフォルムです。
男の子と女の子で形が違うのも魅力。

首にかけられたハピネスリング

パッと見て目につくのが、こけしの首にかけられたネックレス。
これは「ハピネスリング」と呼ばれ、東京こけしならではの特徴のひとつです。
実はこのハピネスリングも、こけしを削り出す時の1本の角材から同時に作られているんですよ。

にっこり笑顔と季節の花々

東京こけしの顔はにっこりとした笑顔。
優しく微笑む笑顔は、奥さんが絵付けしています。
また、東京こけしを彩る、胴体に描かれた季節の花々も奥さんの絵付け。
事前に希望の花をオーダーすると、その花を描いてくれるそうです。
私は、自分の誕生花をお願いしようかと思っています。

世界に一つしかないオリジナリティ

東京こけしは、工場などで大量生産はしていません。
一つひとつご主人が手で削り、奥さんが丁寧に絵付けしているのです。
つまり、同じものは世界中探しても他にありません。
それぞれ少しずつ形や表情が違うからこそ愛着が湧きます。

製造工程を大公開!

なんと、特別に製造工程を見せていただくことができました!
一つのこけしを削るのにかかる時間は、なんと約4分!
速すぎて神業としか思えません。


1本の角材を機材にセッティングします。


スイッチを入れると機械がキュルキュルと回り出しました。


ノミを使ってどんどん削っていきます。


ハピネスリングと思われるパーツも出てきました。


と思ったら、もう切り離されている!
「いつの間に!?」というスピードで、動画で何度も確認しても魔法としか思えない速さ。


最後にやすりで表面を滑らかに仕上げます。


無駄と迷いが一切ない動きで、あっという間に完成。
繊細でありダイナミックでもある作業に、思わず拍手してしまいました。

出来上がりホヤホヤの東京こけしはこちら。

最初に見た1本の角材がこの形になるなんて、信じられないですね。

オリジナルな魅力が詰まった東京こけし


1本の小さな木材から、ころんとしたかたちで可愛らしい表情の東京こけしが生まれるなんて、まさに職人技です。
唯一無二の魅力が詰まった東京こけしは、お土産としてだけでなく、自宅のインテリアや子どものお人形あそびにも最適。
一つひとつ違った表情を見せてくれる東京こけしに、私も虜になってしまいました。

大蔵木工所

【住所】東京都八王子市元横山町3-12-3
【アクセス】JR八王子駅から徒歩約15分
【TEL】042-622-2978
【営業時間】8:00~18:00
【定休日】日曜日
【備考】工房見学や購入の場合は、事前に要連絡

書いた人

東北で生まれ育ち、現在は東京在住。3児の母として、縁のある土地の郷土料理を食卓に出したり、日本の伝統的な遊びを子どもたちと一緒にしたりしています。着付けを習ったりアンティーク着物を集めたりする趣味がある一方で、相撲やプロレス観戦も大好き。ペットの犬1匹・猫2匹を溺愛しています。