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最新号紹介

4,5月号2026.02.28発売

美の都・京都で出合う うるわし、工藝

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Art

2026.04.04

お気に入りの「工藝」を見つける至福。アートコンサルタント片山有佳子さんが太鼓判!【京都で買うならコレ!】

暮らしの道具からインテリアまで、使ってこそわかる京都の工芸品のすごさ。「都が育んだ卓越した技術やセンス、美しいデザインに、今、世界が注目するのも当然です。伝統を受け継ぎながら、若い人がチャレンジできる素地が残っているのも京都の魅力です」そう語るのはアートコンサルタントの片山有佳子さん。今回は片山さんが太鼓判を押す逸品をご紹介します。

「白竹堂」の京扇子|伝統美とモダンな感性を併せもつ京扇子

キリリと粋! 着物でも洋装でも

上/柿渋(かきしぶ)ならではの独特の色と風合いに、親骨の朱塗りがアクセント。モダンな「渋扇」10,450円。下/何度も柿渋を引くことで生まれた独特の縞模様が見事。親骨を含め扇骨が60枚あることで、竹がよくしなりやわらかな風を運ぶ。職人技が光る「渋引(しぶびき)60間(げん)扇子」22,000円。

享保3(1718)年創業、300年以上の歴史をもつ京扇子の老舗。当初は寺院用扇子を専門に扱っていましたが、明治に入り一般用の扇子を販売するように。「伝統の技と美意識を継承した檜扇(ひおうぎ)や飾り扇子はもちろん、レースや刺繡をあしらったものや持ち運びに便利なミニ扇子まで、時代のニーズを汲んだ美しい扇子が常時100種以上。用途に応じて選ぶ楽しさも」(片山さん、以下同)。

●「白竹堂(はくちくどう)」DATA
住所:京都本店/京都府京都市中京区麩屋町通六角上ル白壁町448
電話:075-221-1341
営業時間:10時~18時
休み:水曜日(5月~8月は無休)
公式サイト:https://www.hakuchikudo.co.jp/

「染司よしおか」の植物染め小物|自然界の豊かな色彩を暮らしに取り入れる喜び

天然の植物だけで染めています!

左/優しい風合いのピンクの縦縞ストール19,800円。右/ふかふかの綿入り、木綿の柄入り小座布団19,800円、麻の小座布団各14,300円。

江戸後期から200年以上続く京都の染織工房。「植物の根や樹皮から染料を抽出する技法を丹念に研究し、古代染色の伝統を守り続けている老舗です。6代目の吉岡更紗(よしおかさらさ)さんが織りなす色は、軽やかで鮮やか、見ても使っても纏っても心地いい。古代の人々が色に寄せた想いを忠実に再現した、自然の色彩のパワーをあらためて感じます」。新門前通にある店舗では、人気のストールや小座布団ほか、ハンカチや小物入れ、眼鏡ケースといった小物類が。お土産にもぴったりです。

染めに使う生地は、シルク、木綿、麻、和紙などの天然素材。材料となる植物を、沸かした湯の中で煎じて色を汲み出し、納得できる色調になるまで何度も繰り返す。

●「染司よしおか(そめのつかさよしおか)」DATA
住所:京都府京都市東山区西之町206-1
電話:075-525-2580
営業時間:10時~18時
休み:水曜日、夏期、年末年始
公式サイト:https://www.textiles-yoshioka.com/

「象彦」の京漆器|京の食文化と歩んできた漆器を日々の食卓に

ハレの日にも日常使いにも!

漆の艶やかさが際立つ「雑煮椀(ぞうにわん)」。全体が朱色の「総朱(そうしゅ)」塗りと、外側を黒、内側を朱で塗り分けた「黒内朱(くろうちしゅ)」塗りの2色展開。各39,600円。

「食卓にひとつあるだけで豊かな気分になる漆のうつわ。象彦の雑煮椀は、たっぷりと深く丸みがあって、飽きのこないフォルム。すっきりとした佇まいながら、優しくやわらかな雰囲気を纏っていて、さすが、京都の食文化とともに歩んできた老舗の底力を実感します」。創業は寛文元(1661)年。木地を極限まで薄く削り漆を塗り重ねる繊細さが、京漆器の特徴。伝統を守りつつ、華やかな蒔絵を施したものから、現代の生活に合わせた日常使いの食器まで幅広く取り扱っています。

●「象彦(ぞうひこ)」DATA
住所:京都寺町本店/京都府京都市中京区寺町通二条上ル西側要法寺前町719-1
電話:075-229-6625
営業時間:10時~18時
休み:火曜日
公式サイト:https://www.zohiko.co.jp/

「小嶋商店」の京提灯|サステイナブルでミニマル。海外でも人気の日本の灯り

和紙越しのやわらかく温かい灯りに和む!

「明治」104,500円(高さ32cm×直径23cm)ケーブルとライト付き。受注生産。

寛政年間(1789~1801年)の創業より、変わらない製法で、全工程一貫した手作業を守り抜く老舗。祭りなど屋外で使うのが主だった京提灯(きょうちょうちん)の特徴は頑丈で長く使える点。丈夫な皮を残した竹の細棒を円形に加工し、その輪を木型に並べ提灯の形にしたら、骨1本1本を糸でまつってから和紙を貼っていきます。「京都の街を照らしてきた灯りが、家の中でも楽しめる置き型の照明に。手間と時間がかかる分、丈夫で長持ち、折り畳めるのも便利です。インテリアとして海外ブランドが注目するのも納得です」

「機械の力に頼らず、竹、木、紙などを使ったシンプルな構造は何百年も変わらないのに、時代にあわせて用途が変わりながら、残っていく。先人の知恵と技術のすごさを実感しています」と10代目の小嶋諒(こじまりょう)さん。

●「小嶋商店(こじましょうてん)」DATA
住所:京都府京都市東山区今熊野椥ノ森町11-24
電話:075-561-3546
営業時間:営業日、時間は不定期。商品購入はオンライン(https://kojima-online.jp)で。
公式サイト:https://kojima-shoten.jp/

「開化堂」のティーポット|茶筒専門店が手がける美しき次世代アイテム

使うごとに深まる色合いの変化も楽しんで!

「Copper teapot」115,500円(高さ10cm×直径9.2cm)。茶筒の技術をいかし、珈琲缶やパスタ缶、ナッツ缶などもある。

蓋を閉める際、手を離すと蓋の重みだけでスーッと自然に落ちていく。その心地よさといったら! 茶葉を湿気から守る高気密な茶筒は、完成までに130余りの工程があり、ひとつひとつ職人による手づくりで行われています。「開化堂の茶筒を一度使ったら、ほかの茶筒は使えないくらい精度が高く、何より美しい。その卓越した技術と、余計なものを削ぎ落とした洗練のデザイン力が集結したティーポットもまた、惚れ惚れする佇まい。日本でいちばん古い歴史をもつ手づくり茶筒の老舗、その矜持を感じます」

●「開化堂(かいかどう)」DATA
住所:京都府京都市下京区河原町六条東入梅湊町84-1
電話:075-351-5788
営業時間:9時~18時
休み:月曜日、日曜・祝日不定休(詳細は公式サイト等を参照)
公式サイト:https://www.kaikado.jp/

「高野竹工」の竹小物|茶道具から日用品まで京都の竹工芸を身近に

酒器の内側は錫蒔地(すずまきじ)。カトラリーは竹ならではの滑らかで優しい口当たり!

左/肉厚で真円に近い竹を厳選しろくろで挽いた、内側が錫蒔地の、薄く軽やかな徳利とお猪口2個がセットに。「酒器セット」42,900円。右/「カトラリー(皮あり)」各2,910円。

良質の竹の産地として知られる京都府西山乙訓地区の長岡京に工房を構え、指物、漆、蒔絵などさまざまな技をもつ職人が製作に携わっている「高野竹工」。「もともと茶道具をつくっている会社だけあって、竹のよさが全面に感じられるミニマルなデザインとクオリティの高さに驚きます。自社でも竹林を管理し、竹の選別、伐採、下処理から、製品の加工、漆などの仕上げに至るまで一貫した体制でつくられた商品はどれも、軽くて丈夫、美しいものばかり。竹の魅力にあらためて気づかされます」。直営店舗の「Shop & Gallery 竹生園(ちくぶえん)」では、各種イベントも開催。詳細はインスタグラム@Chikubuen参照。 

●「高野竹工(たかのちっこう)」DATA
住所:Shop & Gallery 竹生園/京都府長岡京市天神2-15-15
円話:075-925-5673
営業時間:10時~17時(11月~2月は16時30分まで)
休み:火・水・木曜日 ※営業日以外は予約制。
公式サイト:https://www.takano-bamboo.jp/

「錺之-KAZARINO-」のオーバルボックスとシューホーン|神社仏閣を彩る錺金具の技術と美しさを現代の暮らしに

手彫りの型による温かい風合い!

左/「オーバルボックス」38,500円(縦14.9cm×横22cm×高さ8.5cm、真鍮・七宝柄)。右/「シューホーン」9,900円(縦9cm×横3cm×全長10cm、真鍮・唐草柄)

錺金具(かざりかなぐ)とは、お寺や神社、仏壇や神輿(みこし)などを彩る金属製の装飾のこと。煌びやかな錺金具は、飾りとしてはもちろん、建物の補強や保護の役割も果たしてきました。「錺之」は、昭和42(1967)年創業の「錺金具竹内」が2020年に立ち上げた自社ブランド。職人の手仕事と、現代の機械技術を組み合わせることで、ボックスや靴べら、アクセサリーやマネークリップなど、繊細で美しい装飾を楽しめる商品を生み出してきました。「神様を祀ることで発展してきた技術やデザインを、自分や空間を飾るものとして引き継ぐ、そのアイディアが素敵。プレゼントにも」

主な素材は銅板や真鍮(しんちゅう)板。鏨(たがね)と金槌を使って「彫る」「切る」「たたく」「曲げる」といった技法により形を整えていく。最後にメッキを施して、独特の輝きと耐久性をもたせる。長年の経験と熟練の技が光る。

●「錺之-KAZARINO-(かざりの)」DATA
住所:京都府京都市伏見区竹田向代町93
電話:075-681-0676
商品購入はオンライン(https://www.kazarino.com/online-shop)で。
公式サイト:https://www.kazaritakeuchi.com/

「南條工房」のおりん|仏壇から世界へ! 音を選び、残し、持ち帰る

心落ち着く“音”を暮らしの中に!

左/付属の棒で優しく叩く「LinNe Myo」38,500円。右/軽く振ってベルのように響かせる「Chibi(M)菊結び」17,600円。共に宇治「昇苑(しょうえん)くみひも」の組紐を使用。

創業200年余り、京都府宇治市に工房を構える「南條工房」は、仏具のおりんや、祇園祭の鉦鼓(しょうこ)などの鳴物(なりもの)神仏具を専門に製造する国内でも数少ない工房です。おりんは、銅と亜鉛を混ぜた真鍮製が一般的ですが、こちらでは銅と錫を混ぜた佐波理(さはり)という合金を使用。奈良の正倉院(しょうそういん)に佐波理製の宝物が残るほど伝統的な材料で、⾳⾊と響きがよいことから“響銅(きょうどう)”とも呼ばれ、⾮常に鋳造(ちゅうぞう)が難しい合⾦です。「心に染み込んでくるような音色は唯一無二! すべて手づくりで音色が微妙に違うため、音を選び、音を持ち帰る楽しさがあります。インテリアにもなる美しい佇まいも素敵です」

●「南條工房(なんじょうこうぼう)」DATA
住所:京都府宇治市槙島町千足42-2
電話:0774-22-2181
営業日、時間は不定期。商品購入はオンライン(https://linne-orin.stores.jp/)でも。
公式サイト:https://linne-orin.com/

「小島漆工房」の螺鈿陶額|螺鈿という伝統工芸を新たなアプローチで楽しむ

螺鈿と陶額のコラボレーション!

左/『Tree of life』121,000円(縦21.1cm×横21.1cm×厚さ3.2cm)京都での取り扱いは「MISENOMA」のみ。右/『ネウマ譜』165,000円(縦30cm×横25cm×厚さ2cm)。※螺鈿陶額の作品詳細、展示会情報等はインスタグラム@pottery_motherofpearlをチェック。

「初めて螺鈿陶額(らでんとうがく)を見たとき、あまりのかわいさにひと目ぼれ! 螺鈿細工といえば帯留(おびどめ)やアクセサリー、うつわなどが思い浮かびますが、こちらはアートとしてもインテリアとしても楽しめます。小島紗和子(こじまさわこ)さんは木漆工芸家・黒田辰秋(くろだたつあき)の下で修業したお父様の小島雄四郎(こじまゆうしろう)氏の教えを受けた螺鈿漆芸家。プロ声楽家から転向した異色の経歴の持ち主です」。陶芸家・山口和声(やまぐちかずな)氏が陶額を、小島さんが螺鈿を担当。ふたりの作家から生まれる異なる質感と世界観、物語を味わえます。

●「小島漆工房(こじまうるしこうぼう)」DATA
住所:MISENOMA(ミセノマ)/京都府亀岡市安町29 ※京都での螺鈿陶額の取り扱い店は「MISENOMA」のみ。問い合わせは公式サイト(https://misenoma.jp/)で。※1点ものにつき、常時取り扱いがあるとは限りません。
営業時間:12時~18時
休み:木曜日、不定休
インスタグラム:@misenoma

「安藤人形店」の還暦雛|人生の節目に、自分のための雛人形を

360度、どの角度から見ても美しい!

「還暦雛(かんれきびな)」350,000円~(屛風、毛せん付き)。緑寿は緑、古稀は藍色、喜寿は黄、傘寿はオレンジ、米寿はベージュ、卒寿は紫、白寿は白の「長寿雛」も。

創業は明治36(1903)年、京人形師の第一人者である初代が考案した有職(ゆうそく)雛人形を一子相伝で現在に受け継ぐ名店。袖丈が長くたっぷりと布を使った重厚な仕立てで、殿と姫との色合わせにこだわり、雅な宮廷文化を思わせる京雛は雛人形の最高峰。「伝統をベースに、3代目当主が奥様の還暦祝いに考案したのが赤一色の還暦雛。極上のちりめんを理想の赤色に染め上げるまで試行錯誤されたとか。プレゼントはもちろん、自分のために毎日愛でたいと購入される方も。雛人形の新しい楽しみ方です」

京人形はすべて手作業の分業制。頭師、織物師、小道具師、手足師、髪付師(かみつけし)、着付師と6部門あり、3代目安藤桂甫(あんどうけいほ)さんはその総仕上げとなる着付師として、着姿を整え、人形に命を吹き込んでいく。

●「安藤人形店(あんどうにんぎょうてん)」DATA
住所:京都府京都市上京区油小路通丸太町上ル米屋町273-2
電話:075-231-7466
営業時間:10時~18時
休み:日曜・祝日
公式サイト:https://www.ando-doll.com/

片山有佳子(かたやまゆかこ)Profile
アートコンサルタント、学芸員。「森美術館」で資金調達や企画運営に従事後、独立。展覧会やお茶事の企画・プロデュース等幅広く活躍。旅館「強羅花壇富士」のアートコーディネーションやギャラリーショップのアドバイザーとして携わる。企画した「富士を彩る陶芸家たち展 吉田直嗣 渡辺愛子 内田鋼一」が開催中(2026年5月末日まで)。

※本記事は雑誌『和樂(2026年4・5月号)』の転載です。
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和樂web編集部


撮影/伊藤 信、内藤貞保 構成/田中美保、古里典子(和樂)
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美の都・京都で出合う うるわし、工藝

※『和樂』2026年4・5月号 美術展カレンダーに誤りがありました。P.224で紹介しました、福岡県・久留米市美術館で開催中の「美の新地平ー石橋財団アーティゾン美術館のいま」の入館料は、正しくは一般1,500円となります。お詫びして訂正いたします。
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