重力・慣性・粘性が生む、自然界の「美しい形」

「chaoscosmos」は、2022年のvol.1「icing process」、2024年のvol.2「sakura」と続いてきた、高木氏のプロジェクト。今回の「visible viscosity」は、その第3弾です。
高木氏が本展のテーマである「粘性」に惹かれるきっかけとなったのは、ある撮影でした。シャッタースピードと被写界深度のコンビネーションによって可視化された、重力と粘性の不可思議な関係。高木氏はそれを、「限りなく美しく神秘的な現象」と捉えました。
その後に知ったのが、「自然界のほとんどの美しい形は、重力・慣性・粘性の三者のバランスから生まれる」という流体力学の考え方。以来、何が可視化されるかを楽しみに、カメラとこの三者との「セッション」を続けています。

レンズを通して現れる、自然の不可思議
高木氏は長い間、カオス(混沌)から、何らかの働きによってコスモス(秩序=宇宙)が誕生したと考えていました。ところが、レンズを通して自然現象を見つめるうちに、カオスとコスモスは因果関係にあるのではなく「同時多発的に共存しているのではないか」という気づきが生まれたといいます。
その気づきは、宇宙の摂理への見方にもつながっていきます。宇宙の摂理は、私たちが思う以上に複雑で綿密、そして意外性に富むもの。それぞれの物質や生命の特性(現象)も、この宇宙に存続するための「方法論」なのかもしれない、と高木氏は考えます。

物質や生命に見られるさまざまな現象。それらは、ときにレンズを通して可視化されます。肉眼では見えない、あるいは気づかない自然現象に潜むMMM(magical, mysterious, miracle)。高木氏はそれを、カメラというメカニズムを介して受け取る「ささやかなメッセージ」と捉え、そのメッセージを「chaoscosmos」と呼んでいます。
高木氏の写真に現れる「ささやかなメッセージ」。そこから、私たちも目には見えない自然の秩序の一端を垣間見ることができるかもしれません。
高木由利子 写真展 chaoscosmos vol.3 ‐ visible viscosity 可視化された粘性 –
会期:2026年10月8日(木)~11月29日(日)
会場:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
電話:0570-05-6990 ナビダイヤル(11:00~18:00)

