浅間国際フォトフェスティバルへ
スペイン発のラグジュリーブランド、「LOEWE」の創業家の4代目であるエンリケ・ロエベによって、1988年に民間の文化財団として設立された「LOEWE FOUNDATION」。同財団は工芸、デザイン、写真、詩、ダンスの各分野で、創造性の促進、教育プログラムの企画、文化遺産の保護活動を続けています。
同財団が今夏メインスポンサーを務めたのが、「浅間国際フォトフェスティバル 2024 PHOTO MIYOTA」。浅間国際フォトフェスティバルは、浅間山麓の美しい自然の中でさまざまな写真体験ができるアートフォトの祭典で、今年は豊かな自然に囲まれた御代田町で、衣食住と多様な写真表現を楽しむ複合施設として誕生した「MMoP(モップ)」を会場とするフォトフェスティバル「PHOTO MIYOTA」が開かれました。
和樂および和樂webでは、このフォトフェスティバルの特別展示への貸し切り&アテンドつきツアーに、「茶炉音(サロン)・ド・和樂」の会員をご招待しました。
THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田での特別ランチ
東京都内ではまだ残暑が厳しい9月某日、爽やかな高原の風が吹き渡る軽井沢駅に降り立った一向は、しなの鉄道に乗り換え、長野県北佐久郡に位置する御代田駅へ。そこからまずは車で「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」へ向かいます。浅間山の山裾に位置する同ホテルでは、佐久盆地を見晴らす高台にレストランが設けられており、ここで特別ランチが提供されます。
あいさつに立ったLOEWEジャパンの担当者は「LOEWE FOUNDATIONは、世界中の職人やクラフトマンをサポートする活動を続けており、昨年来、京都の茶の湯釜職人である16代目大西清右衛門家を、ご縁を頂いて支援させていただいています。その大西家の皆さんの姿を写真家・横浪修氏に撮影していただき、彼らの丁寧かつ生き生きとした生活の様子まで含めて写真展としてご覧いただけることになりました。その場に皆さんをお呼びできることをとても光栄に思います」と話しました。
ランチは、旬の食材をふんだんに取り入れた「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」ならではのメニュー。ニンニクと新鮮なバジル、オリーブオイルから作るフランス・プロヴァンスの冷たいソースであるピストゥを添えた「鮮魚のソテ シャンパンソース 蕪のグレック」には、心地よい御代田の空気にピッタリな、軽やかさと滋味深さが感じられます。
メインの「プレミアム牛のロースト 大徳寺を入れた赤ワインソース」には、人参の「デクリネゾン」が添えられていました。デクリネゾンとは、さまざまな調理方法でひとつの食材を生かす手法。歯ごたえのある人参のローストをベースに、ペースト状、細切りになった人参が重なり、それぞれ味わいの趣が異なります。プレミアム牛にも引けを取らない、むしろ相乗効果とも言える存在感で互いの美味しさを引き立て合っていました。
LOEWEが支援する16代目大西清右衛門家
ランチの後、車で数分の場所にある複合施設「MMoP(モップ)」へ。「Miyota Museum of Photography」の頭文字を取ったこの施設は、国内外の優れた写真作品が集う「御代田写真美術館」を中心に、カフェやレストラン、ライフスタイルショップなどが並び衣食住とアート写真を体感できます。
一向を出迎えた同施設の進藤博信・理事長(写真下・中央)は「今年で5回目を迎えるフォトフェスティバルですが、今年は『Memories through Photography 写真の中の記憶』をテーマに、これまでにないアートフォト体験を提供しています。中でも写真美術館では、LOEWE FOUNDATIONのおかげで素晴らしい展示を行うことができました。ぜひ楽しんでいっていただきたい」と話しました。
展示作品を手掛けた写真家・横浪修氏が撮影した16代目大西清右衛門家は、千家十職の釜師で、室町時代後期から400年以上続く京釜師の家。LOEWE FOUNDATIONは、世界中のクラフトおよびアートの伝統を前進させる活動の一環として、2023年に大西家に対する6年間の資金援助プログラムをスタート。同家の次世代育成支援、茶の湯釜工芸の未来への継承と啓蒙を目的として、ドキュメンタリー映像の製作などを手掛けています。
今回展示されたのは、匿名性とアイデンティティを探求した静謐な作品で知られる写真家・横浪修氏が中心となって撮影した写真の数々。仕事の様子だけではなく、大西家の居住空間や私的な場所に近づいて撮影した写真をメインに、大西家の世界を新たな視点から展示しています。
この展示企画に携わったロエベの担当者は「取材にお邪魔させてもらう中で、大西家は代々古(いにしえ)の技法を学びながら、新しいものをつくることを大切にしていると伺いました。ロエベは『クラフトを前進させる』ことが重要だと考えており、このプロジェクトの背景には挑戦する姿勢への共感があります。一方、釜師としての姿だけではなく、会話の中で垣間見える家族の風景も、非常に魅力的だと感じたことから、今回の展示ではプライベートでの様子も撮影・展示させていただきました」と説明しました。
京都・福寿園による特別ワークショップも
これに先立ち、16代目大西清右衛門家ともつながりのあるお茶の老舗・福寿園(京都府木津川市)の特別”出張”ワークショップも開催。講師で日本茶コーディネーターと日本茶インストラクターの資格を持つ岩井利恵氏がお茶の楽しみ方を解説。中でも抹茶の原料である「碾茶」について詳しく話しました。
その後、福寿園で用いるものと同じ手挽きの石臼を用いて碾茶を挽く体験会も。参加者たちはその重さに驚きつつ、その後は挽きたての宇治抹茶をそれぞれが点て、抹茶の深い味わいを楽しんでいました。特に、点てた抹茶をマンゴーのジュレに乗せて味わうという岩井さんおすすめの新しい味わい方には、不思議だけれど絶妙な味のマッチングに、驚きの声が上がっていました。
「茶炉音・ド・和樂」のご案内
『和樂』では、今後も読者の方にお楽しみいただける、スペシャルなイベントを計画しています。
このような特別な企画、プレゼントのご案内は「茶炉音(サロン)・ド・和樂」ご登録のみなさまへお届けします。ぜひお気軽にご参加ください!
(写真=安藤智郎 Photos by Tomoro Ando)