日本の美と伝統を未来へ伝える『日本美のこころ』
留学先のイギリスで、自国の文化を知ることの大切さに気付かれた彬子女王殿下が、6年間の英国留学を終えて次に向かわれたのは「日本美のこころ」を探す旅でした。
そこで彬子女王殿下が目にし、出会ったのは、「神宮の御神宝」「皇居の盆栽」「皇室が育んだボンボニエール」などの日本の美と、伝統の手わざを最後のひとりとなっても守り続ける職人たち。この貴重な出会いと体験は、彬子女王殿下ご自身の筆で美しい文章にまとめられ、『日本美のこころ』『最後の職人ものがたり』として書籍化されました。この2冊を1冊の文庫に完全収録した54編のエッセイ集が、12月6日に発売された新刊『日本美のこころ』です。
▼『日本美のこころ』収録のエッセイの一章が、こちらよりお読みいただけます。
彬子女王殿下が考える「ボンボニエール」という皇室の伝統
カバーデザインには、彬子女王殿下のお印である雪をあしらいました。「ひとつとして同じものはない雪の多様性は日本文化そのもの」と、『日本美のこころ』で彬子女王殿下は書かれています。
日本の美や職人技をビジュアルで伝えるカラーページも豊富に収録。いつも手元に置いておきたい、宝物のような一冊です。
編集担当から
「日本美のこころ」「最後の職人ものがたり」の文庫化にあたって殿下にいただいた「あとがきに代えて」にはこんなことが記されていました。
私の日本美のこころを探す旅は今も続いている。この本のカバーデザインになっている雪の結晶は、一つとして同じものはないと言われるほど多様性がある。
日本文化も、地域ごとに様々な異なった文化があったり、カレーやラーメンなど、海外の文化が日本文化として形を変えて根付いていたりと、多様性があり、私には雪の結晶と日本文化が重なって見える。掌に乗ったらはかなくも消えてしまう雪のように、この先失われてしまう日本文化もたくさんあるのだと思う。
でも、その刹那的な美しさを記録に、そして記憶にとどめていくために、これからも旅を続けていきたいと思っている。この本を手にしてくださる方たちに、たくさんの日本美のこころが届くことを祈りつつ。
日本文化の多様性には目を見張るものがあります。ですが、多様なものはとかくわかりにくいもの。殿下が日本文化に向けるまなざしはわかりにくいもの、多様なものをそのままわかろうとする真摯なものです。本書は殿下が体験された54の日本美のこころを追体験できるというまたとない機会を読者のみなさんに提供できると信じています。
書誌情報
日本美のこころ (小学館文庫)
著:彬子女王殿下
定価:1210円(税込)
発売日:2024年12月6日
判型:頁文庫判 416頁
ISBN:9784094074130