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Fashion&きもの

2023.05.05

型にはまらない「型染」津田千枝子さんの創作のミナモト【きものを巡る美しき手仕事】

シリーズ「きものを巡る美しき手仕事」。前回に引き続き、「型染」津田千枝子さんをご紹介します。

前回の記事はこちら。
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津田千枝子さん「型染」

左/インドの野蚕(やさん)のタッサーシルクにステッチ刺繡を施した生地に、木版の泥防染で百合の花を染めた、津田千枝子さん自作の帯で。右/防染のための糊置きをする、型染作家・津田さんの働く手は美しい。

表情豊かな生地がもたらす味わい深い色

30代から50代にかけての約20年間、毎年、夫とともにイタリア、フランス、スペインの田舎を1か月かけて車でまわり、ロマネスクの教会や美術館を訪ねる旅をしてきました。
20年ほど前からは、年に1度、自作の木版を持ってインドの工房に出かけ、泥防染(どろぼうせん)の染もはじめました。そうした時間の堆積が、型染でありながら「型にはまらない」、津田さん独自の作風のもととなっています。

学生時代から型染の作品づくりをはじめた津田さんですが、実は、帯の作品をつくるようになったのはこの20年ほど。注文での作品づくりはせず、できた作品を「気に入ったら買っていただく」というスタンスで、1年に30本ほどの帯とストールやバッグなどの作品をつくります。年に1、2回開かれる個展が、ほぼ唯一、作品を手に入れることができる機会です。
「帯を買ってくださった方が、次の個展にその帯を締めて来てくださることも多いです。そういうときは、わが子に再会したようで、うれしいですね」

左/色差しには小刷毛(はけ)を。中/地入れした後の色差しは、色を変化させながら重ねて深みを出していく。右/染に用いる顔料は、日本画のものよりも粒子が細かい。

左/津田千枝子さん。右/美しいくすみをもった色調は、手づくりの生地だから出せる味わい。

津田千枝子さんの創作のミナモト

きっかけ/母が趣味でしていた紅型染(びんがたぞめ)。
活動年数/約40年。
転機/青山の「八木」さんにすすめられて帯をつくりはじめました。
好きな色/それぞれの色彩が調和したときの配色。
1974年、東京藝術大学絵画科卒業。1975年に初個展。1987年に型染の個展をはじめ、2005年からは帯の個展を開催。

津田千枝子さんの作品と出合うには

KATAZOME CHIEKO TSUDA https://chiekotsuda.com/

撮影/篠原宏明 構成/氷川まり子 ※本記事は雑誌『和樂(2015年11月号)』の転載です。

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和樂web編集部

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