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Jewelry&Watch

2023.11.26

身にまとうアート。ブルガリが守り続ける伝統とクラフツマンシップ【ババンCEOインタビュー】

イタリアを代表する最高峰のハイジュエラー、ブルガリ。大胆なデザインや素材の取り合わせ、エレガントさとグラマラスなデザインは、150年近い歴史の中で、マスタージュエラーと呼ばれる職人たちの「手」によって生み出され、受け継がれてきました。それらはまさに「アート」。手仕事へのリスペクトという点で通底する日本の文化とブルガリのブランド像について、同社CEOであるジャン-クリストフ・ババン氏に直接伺いました。

ジャン-クリストフ・ババン(Jean-Christophe Babin)ブルガリ グループ最高経営責任者(CEO)

パリのHECビジネススクールを卒業後、1983年に営業・マーケティングの分野でキャリアをスタートさせ、フランスのP&Gなどを経て、2013年から現職。LVMHグループではタグ・ホイヤーを率いて同ブランドの急成長を実現させた。フランスとイタリアの二つの国籍を持つ。

ジュエリーは身に着けるアート

「私たちのジュエリーは、スケッチの段階から、まさに”アート”です。マスタージュエラーたちの手によって、時には2200時間以上の時間を掛けて生み出され、マスターピースとなっていく。完全に人の手によって、唯一無二のものとして、膨大な時間を掛けて生み出されるという意味において、彫刻や絵画と同じく、私たちのジュエリーは『アート』なのです」

彫刻や絵画は、鑑賞することはできても、身に着けることはできません。ブルガリを身に着けることは、単に美しいものを身に着けることではなく、「アートを身に着ける」ことでもあると、ブルガリ グループ CEO ジャン-クリストフ・ババン氏は語ります。そしてそれは、他にはない喜びでもあると。

ブルガリは、イタリアを代表するハイジュエラーであるとともに、ファッションとも親和性の高いブランドとして知られています。1884年、ギリシャ出身の銀細工職人だったソティリオ・ブルガリが、ローマで創業したことに端を発するこの世界的ブランドは、大胆なデザインや素材の取り合わせに加え、それらを支える職人ならではの精緻な技術とクラフツマンシップによって、瞬く間に各国の人々の支持を集めました。

「クラフツマンシップの継承こそ」

以来、ブランドのアイコンとも言えるエレガントさとグラマラスなデザインの魅力を発展させつつ、ブルガリでは「技」の継承にも力を注ぎ続けてきました。

特に近年では、同社がジュエリー製造の拠点としてきたイタリア・ヴァレンツァに、新たなジュエリーアカデミーを創設。イタリア中のジュエリー学校から選抜された学生が、ブルガリの「技」を学ぶプログラムに参加し、2017年の設置以来、毎年約40人ほどを新たなジュエラーとして輩出しています。

「それと並行して、私どもは制作の舞台裏を公開する試みも続けています。職人たちがどのようにジュエリーをかたちづくっていくのかを、誰もが間近に見られるようにすることで、数千時間をかけて制作する彼らの情熱と愛情が若者たちのインスピレーションを刺激し、さらには、実際に身に着けてくださる方々にもこのブランドをより深く理解し、愛していただけるようになると考えています」

多くの若者の間でウェアラブルデバイスが流行し、ジュエリー離れが進んでいるように見える現状に対して、ババン氏は「まったく憂慮していません。私だって20代のころはブランド物の時計などとは無縁だったのですから」と語る。

同ブランドを2013年から率いるババン氏は、企業秘密とも言える制作の舞台裏を公開することに対して、「全く不安はない」と言葉を継ぎます。「なぜなら、私どもが150年近くにわたって受け継いできた技術を、機械で置き換えたりすることは全く不可能だからです」。

新時代の日本のプライオリティは高い

ブルガリが世に生み出してきた数々のシリーズの中でも、とりわけ多くの女性の支持を集め続けてきたものに「セルペンティ」があります。イタリア語で「ヘビ」を意味するこの言葉。ヘビは古代から神秘と叡智のシンボルとして知られ、ブルガリは1948年以来、その魅惑的なモチーフをジュエリーのみならずバッグなどにもコレクションを拡大。躍動感があり、生き生きとしたカラーリングをさまざまなスタイルに展開しています。


今年75周年を迎え、日本でも大きな話題となっている同シリーズを祝うために来日したババン氏は、日本文化についても「学ぶところが大きい」と語ります。

「10年ほど前までの日本と現在の日本とでは、非常に大きな違いがあると私は見ています。特にコロナ禍の収束以降、次々と新たなビルが建設されている東京の街並みの変化一つとっても、日本経済は新たなアプローチの方法を手に入れたと考えています」

その日本においてブルガリも急成長しており、日本のプライオリティは高いと、営業・マーケティング畑からキャリアをスタートさせタグ・ホイヤーを急成長させたババン氏は語ります。

鈴木深・和樂web編集長(右)のインタビューに答えるババン氏。「とはいえ、若者がジュエリーに触れる機会を創出することは大切。家族からのプレゼントで初めてハイブランドを身に着けたという人は多い。そうした文化を大切にしたい」

「いま、多くの人が自信を持って日本に投資しています。私はその背景には、やはり日本が歴史的に培ってきた文化の成熟があると思っており、そうした日本の文化的な側面への注目は、私どもはもとより、今後も広く多角的に増していくのではないでしょうか」

急速な変化を続ける日本社会にあって、「変わらないもの」の価値がより一層高まっていく。クラフツマンシップと職人たちが守り伝えてきた伝統を大切にするブルガリの魅力は、いま、より一層輝きを増しつつあります。

インタビュー・鈴木 深
文・安藤智郎
撮影(人物)・岡本隆史

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和樂web編集部

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