「ブシュロン」の革新的ハイジュエリーコレクション「カルト ブランシュ」──新作「IMPERMANENCE」は日本の伝統芸術「生け花」の文化と「侘び寂び」の思想を着想源に、自然の本質的な美を6つのコンポジション(作品)で表現しています。
COMPOSITION N°6
すべてが始まる、光にあふれた世界。生命が誕生する瞬間を永遠に留めて…

生命の誕生から終焉までの物語を詩情豊かに、6つのコンポジションで表現したコレクション「IMPERMANENCE(インパーマネンス)」。その最初の作品である「コンポジションNo.6」は、チューリップとユーカリ、トンボが織りなす、最も透明感と光にあふれた世界。植物はダイヤモンドの輝きを纏い、花や葉には特別なガラスが用いられました。職人たちはガラス加工技術を習得し、素材をわずか2ミリという極限の薄さに…。トンボの翅も、自然な虹彩が再現されています。●「コンポジションNo.6」[ユーカリ(ブローチまたはヘアジュエリー)、チューリップ(ブローチ)、トンボ(イヤリング):ダイヤモンド×ホウケイ酸ガラス×サファイアガラス×MOP×WG×ニチノール 花器:ホウケイ酸ガラス]予定価格¥170,280,000(ブシュロン)
COMPOSITION N°5
やわらかなホワイトのトーンで表現されたアザミの凜とした姿に宿る力強さ

野生のアザミは、1878年のパリ万国博覧会でグランプリに輝いたブローチに始まり、メゾンの伝統に深く根ざしてきた植物のひとつです。「コンポジションNo.5」は、その凜とした姿をやわらかなホワイトのトーンで表現。アザミの野性的な美しさを再現するため、トゲのある花冠はバイオ由来樹脂を用いて、高解像度3Dプリント技術によってつくられました。この素材はこれまでハイジュエリー制作に用いられた例がなく、職人たちは新たな課題に挑むことに。アザミ本体にはメタルの台座がないため、これまでの方法ではダイヤモンドをセッティングすることができません。そこで職人たちは「クチュールセッティング」という画期的な技法を開発。アザミの表面の微細な凹みに、ゴールドの台座にセットされた800石以上のダイヤモンドが手作業で縫い込まれました。アザミの茎、葉と同じようにホワイトゴールドで形づくられたカブトムシには、ホワイトセラミックコーティングが施され、ダイヤモンドが煌めきを放ちます。●「コンポジションNo.5」[アザミ〈大〉(ブローチまたはクロスボディジュエリー)、〈小〉(ダブルフィンガーリング)、カブトムシ(ブローチ):ダイヤモンド×透明バイオ由来樹脂×バイオ由来樹脂×WG×ホワイトセラミックコーティング 花器:ホワイトコンポジット]予定価格¥188,760,000(ブシュロン)
COMPOSITION N°4
素材のコントラストで表現された 光と闇の間に生まれる、儚くも美しい世界

素材の質感のコントラストによって、光と闇の間に生まれる儚くも美しい世界を描いた「コンポジションNo.4」。多彩なコーティング技術を駆使し、光の反射を巧みに操ることで、生命の移ろいが詩的に表現されています。ブラックラッカーに縁どられたシクラメンの花には約700石ものローズカットなどのダイヤモンドがセットされ、ステンドグラスのような美しさに。チタンによるオーツ麦の穂先にもダイヤモンドが輝きます。この小さな生態系には、2匹の昆虫の姿も…。毛虫が纏っているのは、絵筆に着想を得た繊細な毛。地を這っているようなリアルな造形は、伸縮可能な構造によって実現しました。翅を広げた蝶も、ダイヤモンドとブラックラッカーの対比によってドラマティックに表現されています。●「コンポジションNo.4」[シクラメン(ブレスレットまたはブローチ)、オーツ麦(ヘアジュエリー)、毛虫(ブローチ)、蝶(ヘッドジュエリー):ダイヤモンド×ブラックスピネル×ロッククリスタル×WG×チタン×合成繊維×ナイロンワイヤー×ブラックラッカー×ブラックDLCコーティング 花器:ダイヤモンド×WG]予定価格¥340,560,000(ブシュロン)
COMPOSITION N°3
ブラック&ホワイトの対比で描いた、闇へと移ろう自然の鮮烈な美

自然が静かに闇へと移ろい、徐々に終焉が忍び寄る「コンポジションNo.3」。ダイヤモンドの輝きによって強調される、黒と白のコントラストが、深まる闇のなかに浮かび上がります。マットブラックの花びらにダイヤモンドが光のラインを描くアイリスの花。藤は軽量化と耐久性という相反する条件を両立させて、完成に至りました。セラミック、チタン、アルミニウムといった軽量な素材を組み合わせることで、ボリュームを損なうことなく、わずか150グラムに仕上げることができたのです。葉や花びらにセットされたダイヤモンドが、繊細な光のニュアンスを作品にもたらします。そして、花々に引き寄せられるように、作品の下部にはクワガタムシの姿が…。そのチタン製の体にはダイヤモンドの縞模様が施され、繊細な煌めきを放ちます。●「コンポジションNo.3」[アイリス(ショルダーブローチ)、藤(ヘアジュエリーまたはブローチ)、クワガタムシ(ブローチ):ダイヤモンド×ブラックスピネル×ホワイトセラミック×ロッククリスタル×ホワイト樹脂×WG×チタン×AL 花器:ブラックスピネル×AL×ブラックDLCコーティング]予定価格¥359,040,000(ブシュロン)
COMPOSITION N°2
翳りゆく世界のなかで咲くマグノリアはまさに生命の煌めきの象徴

深まる闇のなかで咲き誇るマグノリアが印象的な「コンポジションNo.2」。花のリアルな表現を目ざして、職人たちは本物のマグノリアを3Dスキャンし、再現を試みました。アルミニウムで形づくられたマグノリアは、自然の姿を映しながら水平に広がる、この花特有のフォルムに。ブラックセラミックコーティングを施したアルミニウム製の花びらには、ダイヤモンドが直線状に並び、繊細な輝きを放ちます。ホワイトゴールド製の雄しべには、ブラックロジウム仕上げが施され、ダイヤモンドをセット。そして、この光と影が交差する世界には、ダイヤモンドの輝きを纏った一匹のナナフシがひっそりと紛れ込んでいます。●「コンポジションNo.2」[マグノリア(ヘッドジュエリーまたはクエスチョンマークネックレス)、ナナフシ(ブローチ):ダイヤモンド×WG×SV×AL×ブラックセラミックコーティング 花器:ブラックコンポジット]予定価格¥283,800,000(ブシュロン)
COMPOSITION N°1
自然のひとつのサイクルの終焉──光は消え、暗闇のなかに幽玄の気配が漂う

コレクションを締め括る「コンポジションNo.1」では、自然のサイクルの終焉を映し出します。光は消え、すべては闇のなかへ。ポピーの花びらはマットブラックチタン製。表面には可視光の99.9%以上を吸収するベンタブラックRという特殊な物質がコーティングされ、限りなく完全な黒に。花芯には、キューレット(先端部分)を上にしたブラックスピネルをセット。スイートピーの花びらは、黒のアベンチュリンガラスとオニキスでつくられ、繊細な表情に。そして、幽玄の気配を纏って舞う蝶の翅には、漆黒でありながら透明感を併せもつ特別なガラスが用いられています。●「コンポジションNo.1」[ポピー(ヘッドジュエリーまたはブローチ)、スイートピー(ブローチ)、蝶(ショルダーブローチ):ダイヤモンド×アベンチュリンガラス×ガラス×オニキス×ブラックスピネル×WG×チタン×マグネット×ベンタブラック®×ブラックセラミックコーティング 花器:ブラックサンド]予定価格¥133,320,000(ブシュロン)
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撮影/武田正彦 書/新ヶ江若菜 コーディネート/鈴木春恵
※文中のALはアルミニウム、SVはシルバー、WGはホワイトゴールド、MOPはマザーオブパールを表します。
※本記事は『和樂』2025年10・11月号 付録の転載です。
※価格は2025年9月1日時点のものです。