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Jewelry&Watch

2025.11.07

「A.ランゲ&ゾーネ」創業の地で生まれる別格のクリエイション

内面からにじみ出る美しさというのは、しばしば品格のある人を形容する際に使われる文言ですが、「A.ランゲ&ゾーネ」のすべての時計はまさにそんな、目に見えない、だからこそ尊い美のオーラに包まれています。なぜなら? そこには、数多の「唯一無二の美学」が強く息づいているからです。

進化を続ける時計製造の理想郷

すべての部品はもちろん、使用する工具まで、職人が自ら手づくりすることも。

「A.ランゲ&ゾーネ」は、ムーブメントを構成する部品からすべて自社内で製造できる稀有(けう)なマニュファクチュールですが、その技術力の高さのみならず、見えない部分にまで施される「こだわり」の多さと強さにおいては、他メゾンの追随を許しません。

工房再設立の7年後、1997年にランゲ時計師養成学校を創立。工房内では高い技能を習得した若い職人の姿も多く見受けられる。

その気高い独自性を象徴するのが、ひとつの新作モデルをつくるときには、必ずムーブメントから新たに開発するという哲学。手間暇やコストのことを考えたら、そう実現できることではありません。現時点では別記事でご紹介している「1815」に搭載されているのが最も新しいもので、これは復興後75個目のムーブメントになります。

「A.ランゲ&ゾーネ」創業の地であるグラスヒュッテは、山あいののどかな町。現在は数棟の社屋と工房を擁し、ドイツの高級時計製造を牽引している。

また、通常では目に触れない部分や小さなネジに至るまで、徹底的に美観を追求することも「A.ランゲ&ゾーネ」の流儀。ミクロの世界と対峙(たいじ)する職人たちの超絶技巧の数々が、これらを実現させているのです。

卓越した精度と審美性への妥協なきこだわり
ムーブメントを構成する部品のひとつひとつに、繊細な装飾や独自の仕上げを施すことでも知られる「A.ランゲ&ゾーネ」。
上/「テンプ受け」という部品にエングレービングを施すのもメゾンの特徴。フリーハンドで彫刻し描く模様は、職人の筆跡のようなものであり、すべての製品に使用されている「テンプ受け」が、だれの手によるものかがわかっている。
下/自らの分身のような存在である彫刀はエングレーバーの手製。

そこかしこに息づく、職人たちの静謐なる情熱

比類なき「A.ランゲ&ゾーネ」のこだわりは、ムーブメントの組み立てにも見受けられます。それは「二度組み」という独自のプロセス。

すべてのムーブメントはまず、無装飾の状態で組み立て、機構が完璧に機能するか厳密にチェックが行われます。その際、ほんのわずかでも齟齬(そご)が発生した場合は入念に調整し、その後すべて分解。超音波洗浄機で汚れを落とし、最初に使用した無装飾のビスに替え、職人の手作業によって青く染められたビスを使って、最終仕上げが施された部品を組み立て。最後にもう一度調整を施し、ようやく完成に至るのです。

美しい自然と澄んだ空気のなかに立ち並ぶ工房は、近代的でいながら木のぬくもりを感じるインテリアなどによって、心落ち着く空間。組み立てや装飾といった作業の目的や、「クロノグラフ」、「コンプリケーション」といった時計の種類別に部屋が分けられている。

組み立ては、微細なネジをネジ穴に入れることひとつさえも、非常に高度な職人技が要される精緻を極めた作業。職人たちの高い技能と集中力が、高精度と美観を兼ね備えたムーブメントに魂を宿すのです。

それらのこだわりはすべて、精度の高い完璧な時計をつくるため。商品開発責任者のアントニー・デ・ハス氏は「時計とは情熱そのもの。情熱のすべてを注がないのなら、私たちが時計をつくる意味はありません」と言い切ります。

「決して立ち止まらない」という社是のとおり、より高みに向かって──。静かなる情熱の炎は燃やし続けられていきます。

話題の最新作をREPORT!
「リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド」から、ピンクゴールド製文字盤の限定モデル(写真左)が誕生。文字盤の繊細な色味と輝きによって、右の現行モデルとはまた異なるスポーティエレガンスを実現。[ケース:ホワイトゴールド、ケース径:39.9㎜、ストラップ:アリゲーター、手巻き]価格要問い合わせ ※世界限定100本(A.ランゲ&ゾーネ)

問い合わせ
A.ランゲ&ゾーネ
0120-23-1845
https://www.alange-soehne.com

※本記事は『和樂(2025年12月・2026年1月号)』の転載です。

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岡村佳代

東京都出身のウォッチ&ジュエリージャーナリスト。学生時代から執筆活動を開始。女性向け本格時計やジュエリーのムックに携わったのをきっかけに、機械式時計やハイジュエリーの深淵なる世界に開眼。歳月を重ねるにつれ魅了され、現在では「宝石」や「ムーブメント」はもとより、そこに宿る「人の物語」にときめきを覚えるように。
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