ブランドの歴史、職人技への矜持、そして不変の哲学──世界のトップジュエラーのハイジュエリーが宿す、深遠な美の世界に光を当てる新連載が始まります。初回を飾るのは、「ティファニー」の伝説的デザイナー、ジャン・シュランバージェが生み出した傑作と、彼の美学を継承する作品の数々。その至高のコレクションを知的で凜とした美しさが魅力の女優・小雪さんがまとい、輝きに秘められたストーリーとともにご紹介します。
身につける人 小雪
レガシーストーンに佇む幸福な人生に寄り添う小鳥

1965年にシュランバージェによってデザインされた「バード オン ア ロック ブローチ」を再解釈して生まれた作品。ダイヤモンドをまとった小鳥のモチーフは、黄色のオウムに着想を得て誕生した。小鳥がとまる宝石は、「ティファニー」が世に広めたレガシーストーンのひとつであるモルガナイト。「バード オン ア ロック ブローチ」[モルガナイト56.95ct×ダイヤモンド計5.61ct×ピンクサファイア計0.02ct×PT×YG]¥108,130,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)
羽ばたくバードが表現する大いなる喜びと無限の可能性

伝説のバードが空を舞うネックレス。卓越した職人技が、シュランバージェの「自然の世界」をさらなる高みへ。「バード オン ア ロック バイ ティファニー ネックレス」[モルガナイト35.76ct×ダイヤモンド計58.72ct×ピンクサファイア計0.42ct×PT×YG]¥300,300,000・「ジャン・シュランバージェ バイ ティファニー セブンリーフ イヤリング」[ペリドット計11.28ct×ダイヤモンド計4.59ct×PT×YG]¥32,615,000・「ジャン・シュランバージェ バイ ティファニー フォーリーフ リング」[ペリドット4.09ct×ダイヤモンド計1.05ct×PT×YG]¥16,280,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク) ドレス/スタイリスト私物
繁栄を象徴する「蔓草」が躍動する自然の美を映して

1950年代から、蔓に絡む花や葉を創作のモチーフとしてきたシュランバージェ。このネックレスは、1983年のアーカイブ作品をベースにデザインされた。ひとつひとつの葉のフォルムが微細に異なり、不規則な自然の美を愛した彼の哲学を映し出す。「ジャン・シュランバージェ リーフ ネックレス」[ダイヤモンド計47.27ct×PT×YG]¥81,345,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)
花がほころび、蔓が伸び、鳥が羽ばたく――ジャン・シュランバージェが生涯変わることなく愛したのは、絶えず変化し、成長を続ける自然本来の姿でした。
庭に咲く草花、旅先で出合った鳥や昆虫、海洋生物など、多彩な自然が彼の創作の源泉となったのです。しかも、彼は目にしたものをそのままデザインにすることはなく、自由な想像力によってスケッチした題材を再構築し、独創的なジュエリーへと昇華させていきました。その作品には自然に潜む不規則な美や成長の気配までもが描き出され、今にも芽吹き、泳ぎ、飛び立ちそうな「生命の躍動」をも感じさせます。
そんなシュランバージェのクリエイションの根幹には、伝説のファッションデザイナー、エルザ・スキャパレリのもとで磨かれたシュルレアリスムの機知も深く息づいていました。ゴールド、ダイヤモンド、そして鮮烈なカラーストーンを大胆に共鳴させながら、彼は自然と幻想が交錯する唯一無二の世界を築き上げていったのです。
1956年、「ティファニー」へ迎えられると、世界屈指の希少な宝石のコレクションとアトリエの卓越した技術力を得て、シュランバージェの才能はさらに大きく開花していきました。彼の作品がレイチェル・バニー・メロンやジャクリーン・ケネディといった類いまれな審美眼をもつ女性たちを魅了した理由。それは、その創造性がジュエリーという存在をはるかに超越したものであったからにほかなりません。
時を超えて出合う創業者とシュランバージェの伝説に彩られた輝き
シンボリックなウォッチと芸術的ジュエリーの共鳴

時計のデザインは、創業者が入手した約128カラットの「ティファニー ダイヤモンド」が着想源。シュランバージェによる有機的なイヤリングとリングが、そのモダンな意匠に個性と華やぎをもたらす。「カラット 128 ファセット ウォッチ」[ダイヤモンド計3.44ct×WG、アリゲーターストラップ、クオーツ]¥11,935,000・「ジャン・シュランバージェ ポタジェ イヤリング」[アクアマリン計7.08ct×ダイヤモンド計1.90ct×PT×YG]¥22,330,000・「ジャン・シュランバージェ バイ ティファニー フォー フラワー リング」[アクアマリン8.06ct×ダイヤモンド計2.76ct×YG×PT]¥19,745,000 (ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク) ドレス¥264,000(ミカコ ナカムラ 南青山サロン〈ミカコ ナカムラ〉)
火と光の芸術──幻となったエナメル技法を復活させて現代へ
確かな審美眼の女性たちが魅せられたエナメルの輝き

19世紀に生まれ、技術継承が途絶えてしまった「パイヨン エナメル」は、エナメル層の間に金属箔を閉じ込める高度な細工。その技術を駆使したブレスレットは1962年にシュランバージェが生み出し、現在も人気を博す名品に。下のブレスレットに用いられたのは、奥行きを感じる色彩と光沢が美しい「ヴィトリウス エナメル」。「エナメル ブレスレット」〈上〉[ダイヤモンド計17.54ct×アズールブルー パイヨン エナメル×YG×PT]¥56,155,000・〈下〉[ホワイト ヴィトリウス エナメル×YG]¥11,605,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)
時代を超えて受け継がれていくのは、形ある名作そのものではなく、その源流にある美学です。ジャン・シュランバージェの比類なきイマジネーションは、「ティファニー」が誇る至高のクラフツマンシップと響き合い、唯一無二の宝飾様式へと昇華されました。
現在、クリエイションを率いるチーフ・アーティスティック・オフィサーのナタリー・ヴェルデイユは、まずシュランバージェの膨大なアーカイブをひもとき、緻密な立体構造や生命力あふれる躍動感、意匠に潜む意外性などのデザインコードに着目。そのエッセンスを抽出し、プロポーションやジェムストーンの配置を現代的に再構築することで、名作に新たな生命を吹き込んでいきました。ブランドが時を超えて守り継いでいくべきもの。彼女はそれを明確に理解しているからこそ、アーカイブとは一線を画す作品を生み出すことができたのです。
シュランバージェの独創的な世界は今、ハイジュエリーからファインジュエリー、そしてウォッチへと広がり、異なるスケールのなかでモダンな輝きを放っています。これは単なるコレクションの拡大ではなく、彼の卓越した美意識を、ブランドの普遍的なスタイルへ昇華させる試みといっても過言ではないでしょう。シュランバージェの残した軌跡はもはや過去の歴史にとどまらず、今の「ティファニー」を牽引し、未来の傑作を生み出す、揺るぎない創造のフィロソフィーでもあるのです。
黄金色のデイジーを連ねた生命力あふれる造形美

園芸を愛したシュランバージェが、庭に咲くデイジーを着想源に生み出した名作。高度な金工技が、幾何学的なデザインに生命力を与えて。「ジャン・シュランバージェ バイ ティファニー デイジー ネックレス」[ダイヤモンド計7.87ct×YG×PT]¥37,730,000・「ジャン・シュランバージェ バイ ティファニー デイジー ブレスレット」[ダイヤモンド計4.08ct×YG×PT]¥16,280,000・「ティファニー ロープ イヤー クリップ」[ダイヤモンド計0.91ct×YG×PT]¥3,190,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク) トップス、パンツ/スタイリスト私物
「ティファニー」公式サイト
https://www.tiffany.co.jp
問い合わせ先
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク 70120-488-712
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撮影/下村一喜(人物)、小池紀行(静物、CASK) スタイリスト/押田比呂美 ヘア/hiro TSUKUI(Perle)メーク/三澤公幸(Perle)ネイル/井上由美(Hands-On)撮影協力/バックグラウンズファクトリー 文/福田詞子(英国宝石学協会FGA) 構成/ 吉川 純(和樂)
※文中のPTはプラチナ、WGはホワイトゴールド、YGはイエローゴールドを表します。
※本記事は『和樂』2026年10・11月号の転載です。
※掲載価格はすべて税込です。
※価格等は2026年9月1日時点の内容になります。最新情報は公式サイトなどでご確認ください。