誰がなぜ描いたのか…? 根津美術館で日本美術の源流を学ぶ

誰がなぜ描いたのか…? 根津美術館で日本美術の源流を学ぶ

目次

垂迹画の最高峰!『那智瀧図』

日本の絵画の歴史をひもとくと、平安時代までは仏画や宗教画が席巻(せっけん)し、自然や人物を題材にしたものは見あたりません。そんな中、鎌倉時代に描かれた『那智瀧図(なちのたきず)』はまさに、孤高の作品。日本人の自然に対する畏敬の念が表されています。
DMA-10001_2『那智瀧図』一幅 絹本着色 160.3×58.5㎝ 鎌倉時代(13~14世紀)根津美術館 国宝

ここに描かれている滝は実は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である熊野三社の御神体の飛瀧権現(那智の滝)。仏さまが神さまの姿を借りて人々の前に姿を現すという、本地垂迹説(ほんちすいじゃくせつ)に基づいて描かれた垂迹画で、御神体の滝という自然を描いた唯一の垂迹画とされます。だれがなぜ描いたのかは不明なのですが、この地を詣でた亀山上皇が御幸から戻り、京の御所にいながらにして那智瀧を拝するために描かせたのではないかと推測されています。その描き方は、日本に古くから伝わるやまと絵の手法を用いながら、中国・宋時代の水墨画の影響も見られ、日本の中世美術の状況を示していることが指摘されています。

注目ポイント①

山の右側の岩の上に月があり、夜の情景だとわかる。滝は闇の中に白く浮かび、神々しさが強調されている。
スクリーンショット 2017-02-20 12.43.05

注目ポイント②

墨と金泥を用いた岩肌は、中国・宋時代の水墨画の影響。水流や杉の老木など緻密な描写も見どころ。
スクリーンショット 2017-02-20 12.45.28

注目ポイント③

滝の手前には拝殿の屋根や、亀山上皇が参詣した際の碑とされる卒塔婆(そとば)などが描かれている。
スクリーンショット 2017-02-20 12.48.09

根津美術館

垂迹画の最高峰である国宝『那智瀧図』を所蔵しているのは東京都港区にある根津美術館。本作品以外にも実業家・初代根津嘉一郎が蒐集(しゅうしゅう)した国宝7件、重要文化財87件を含む日本・東洋の古美術品を所蔵しています。
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住所/東京都港区南青山6-5-1 地図
開館時間/10時~17時(入館は16時半まで) 
休館日/月曜(祝休日の場合は翌火曜休)、展示替え期間、年末年始 
入館料/特別展1,300円、コレクション展1,100円
ホームページ/http://www.nezu-muse.or.jp

那智瀧図のモデルになった那智の滝へ行かれる際にはこちらの記事もぜひご参考に!

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